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飲食チェーンの労働環境問題について

先日、シンガポールのMc Cafe(マックカフェ)でラテを飲みました。
日本と違ってセミオートマシンを使ってエスプレッソを一杯一杯抽出し、ミルクもしっかりとスチームされていて、美味しかったです。
私が住んでいた6年前から同様のスタイルで展開をはじめ、スタバやコーヒービーンズなどの競合がひしめく中で、今も尚続けているのは立派だと思います。

第三者委員会の調査報告書による「すき家」の労働環境改善策が話題になっています。
24時間勤務や深夜に1人で営業する「ワンオペ」など、皆さんが聞いたら驚くべき内容ばかりだと思います。しかし、正直に言うと、タリーズも創業して2年ぐらいはそのような時代がありました(と言うか、私自身がずっとそのような状況で仕事をしていました)。
飲食業の立ち上げにはよくある話だと思います。

しかし、2000店舗を展開する上場企業がそれで良いはずがありません。小川会長は「成功体験を体の中にもった幹部の意識は変えられなかった」と言っているようですが、その何十分の一の店舗数の時には既に方策を変えていた私の経験からすると、言い訳にしか聞こえません。

どうしても、安い・早い を志向するチェーンは、店舗従業員への過度なプレッシャーをベースに成り立っているところが多すぎます。日本以外の国では絶対に続かないビジネスモデルです。日本が協調性を重視して教育(家でも学校でも)を行う結果、従業員が「他の社員も頑張っているんだから、自分も休めない」というピア・プレッシャーに陥ってしまうのでしょう。

大分前の話しですが、日本マクドナルドが24時間化をすると聞いた時は前社長に止めるべきだと提言したことがあります。
例えば夜10時‐朝6時は24時間の1/3ですが、売上全体の1/6程度にしかならないでしょうから、人件費や光熱費を考えると利益はマイナスの可能性があります。そして、夜間特有のトラブル(強盗、不良少年、酔っぱらい)の対処は、店長や従業員にとって大きな負担となります。
これも、喜ぶのは売上増加によってロイヤリティ収入が増えるアメリカサイドやフランチャイズ本部だけなのです(2006年に始まったマクドナルドの24時間営業は、現在、削減の一途を辿っています)。

有効求人倍率の改善と共に時給が上がり、デフレ脱却の兆しが見える中で、「安い・早い」を前面に出したビジネスモデルは今後さらに厳しくなってきます。
先月の中国鶏肉問題もそれを物語っています。

今後、ファーストフード各社はどのように変革していくのか。
まずは人件費や原材料費を削減する戦いから、メニュー開発、ライフスタイル、ホスピタリティー(五感や空間も含む)、そしてディスクロージャーの戦いへとシフトすることが最低限必要になってくるでしょう。

シンガポールのマックカフェも一つのヒントになるのかもしれません。

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