記事

ネットだからプロとアマの垣根がなくなるというアングルは、終わってもいいんじゃないか

 ちと猛烈に忙しく、忙しいためか手慰みな感じになっちゃうけどご容赦。

大量のプロの表現者が食べていける時代は、終わってもいいんじゃないか【湯川】

http://techwave.jp/archives/51457840.html

 ここでいう、「大量のプロ」というものを、読み手がどう想像するかによって、実は結論が異なる。私は、大量のプロは新聞社であり出版社であり広告代理店であるというような大企業で働く記者や編集者や広告マンのことかなと思って読んだ。文中には、「作家やミュージシャン、カメラマン、ジャーナリスト」とあるが、彼らかてこれらのプロフェッションの対価はそれなりの割合が新聞社や出版社や広告代理店で得ているだろうからだ。

 彼らの存在が脅かされる対象として、アマター、すなわち無料の表現者によって市場を蚕食され、対価を貰わないシステムがネットの中で完成し、完結することによって収入が下がってしまい、プロとして自活できなくなるさまを表現しようとしている。

 理屈としては… 否定しない。だけどねえ、その手の議論はもうとっくに終わってるんだと思うんだよね。梅田望夫さんの快著、ウェブ進化論のテーゼそのものじゃないか。プロのマスコミ対井戸端会議の2ちゃんねる、という構造の焼き直しであって、もはやポストプロセスの問題、つまりは業界再編やら合理化のためのリストラやらの問題になっちゃってるんだと思う。

 だからこそ、それは情報産業で働く人々の流動性の問題だ、と主張する人も出る。まあそれはそうなのかもしれない。でも、装置産業としての新聞社や、事業モデルとしての新聞社といった切り口から見ると、彼らはそれらのシステムを回すための雇われでありパーツであって、ネットで表現している無数のアマターと比較されるプロの集団では元々なかったと思うんだよね。

 事実、新聞社で第一線で活躍してきた記者の人が、リストラに遭ったり独立したりして、アマチュアに混じってブログを書いたりネット論壇の一角を担っているだろうか? もちろん例外はいる。佐々木俊尚氏とか湯川さん本人とか。でも、地方新聞あわせると新聞業界だけで1万人近くが職を失い、出版社や代理店、テレビ局なんかをあわせると3万人以上が情報産業から転出している。でも、比較的ネットを見ている私ですら、あまりそういう情報産業OBが鈴なりになってネットで情報発信をしている姿は見受けられない。彼らは、本当にプロだったの?

 音楽や映像などの、純粋な表現者のプロたちはもっと状況は酷い。湯川さんに「大量のプロの表現者が食べていける時代は」とか講釈垂れられる前から、すでに仕事が充分にない状況に陥っている。メジャーになろう、とかそういう意識以前に、結構昔から表現者は喰えない。だから、バイトを続けながらバンドをやったりとかそういう苦労話が連綿と続く。

 確かにネット時代となって、そういう人たちが日の目を見られるようなサービスが盛り上がっているから、それでプロが割を喰ったといいたいのかもしれないけど、ネットによって彼らの存在が一般人に視認されるはるか前から喰えない表現者というのはずっと存在していて、ようやく知ってもらえる場としてのネットが隆盛して、アイデアひとつでメジャーにいかなくても有名になる方法が見つけられるようになった。これは進歩だ。

 一方で、いろんな人が進歩の方法を見つけた結果、多様性とは裏腹に、喰えるのに充分な支援者を集めることが困難な時代にもなった。マスコミもメジャーレーベルも同様に、お金を払ってもらうための仕組みが磨耗した結果、その存在を維持できなくなった。

 文化は多様化するのは素晴らしい、と安易に結論付けているが、クラスターが細分化されていった結末がアトム的に分散し放題の分断された社会となり、世間一般の常識が失われ、ちょっとしたことですぐブームになったり、ちょっと考えればすぐ見破れるようなオカルトを信奉する人々が集団で発生したりする。エリート主義的な言い方は好きではないが、そういう群盲を教導し、本来あるべき「質」や時代の志向性を知らしめるのが本来の集合知でありプロの仕事じゃないのかなと思う。

 そう考えるので、お前らustream観ろとか微妙すぎる結論にして書き飛ばして記事数とPVを稼ぐような雑な仕事で黒字化を目論もうとするのはどうなんだと思った。あと、既存のマスコミに対するルサンチマンもやめろとも感じた。結局、商売で売文をネットでやってるだけじゃないのか。

 そういう暴論を書く無名の表現者がネットから出てくることを湯川さんと一緒に私は希望しています。

トピックス

ランキング

  1. 1

    「支持できない」枝野代表に直撃

    たかまつなな

  2. 2

    内側から見た西野サロンの炎上

    森山たつを / もりぞお

  3. 3

    庶民に自粛させ豪遊する自公幹部

    田中龍作

  4. 4

    病院長解任に「旭川医大の酷さ」

    中村ゆきつぐ

  5. 5

    そこまでやる? トヨタ式在宅勤務

    PRESIDENT Online

  6. 6

    眞子さま 4月から無職の可能性も

    女性自身

  7. 7

    歯磨きで感染? 断定報道「誤り」

    川島透

  8. 8

    国民煽る河野氏「和製トランプ」

    SmartFLASH

  9. 9

    ワクチン接種 大混乱生む可能性

    川名 ゆうじ

  10. 10

    朝日と産経 動画でまさかの連携

    岸慶太

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。