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米7月雇用統計、予想以下も株安止まらず

米7月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比20.9万人増となり、市場予想の23.0万人増より弱い結果となった。約2年ぶりの高水準を達成した4月の30.4万人増に次ぐ好結果だった前月の29.8万人増(28.8万人増から上方修正)からも、減少。過去2ヵ月分は1.5万人分、上方修正された。なお3ヵ月平均は24.5万人増だった。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が19.8万人増と市場予想の22.7万人増を下回った。前月の27.0万人増(26.2万人増から上方修正)からも減少し、6ヵ月ぶりに20万人を割り込んでいる。特にサービスが14.0万人増と、前月の23.2万人増から大きく伸びを縮小した。

(サービスの主な内訳)
・ビジネス・サービス 4.7万人増<前月は7.3万人増、増加トレンドを維持
そのうち派遣は0.9万人増<前月は1.4万人増、増加トレンドを維持
・貿易/輸送 3.9万人増<前月は7.0万人増で足元最大、増加トレンドを維持
そのうち小売は2.7万人増<前月は4.1万人増、5ヵ月連続で増加
・娯楽/宿泊 2.1万人増<前月は2.3万人増、増加トレンドを維持
・教育/健康 1.7万人増<前月は4.5万人増、増加トレンドを維持
・金融 0.7万人増<前月は1.8万人増、4ヵ月連続で増加
・情報 0.2万人増<前月は1.0万人増、2ヵ月連続で増加
・政府 1.1万人増<前月2.8万人増、増加トレンドを維持
連邦政府が前月の0.2万人増から±0万人へ転じており、州・地方政府が支えた

財政産業は5.8万人増となり、前月の3.8万人増を上回った。7ヵ月連続で増加している。
(財政産業の内訳)
・製造業 2.8万人増>2.3万人増、増加トレンドを維持
・建築 2.2万人増>1.0万人増、6ヵ月連続で増加

時間当たり平均労働賃金は、市場予想および前月の0.2%を下回る±0%の24.45ドルだった。前年比は市場予想の2.2%に届かず2.0%。前月の1.9%からは上昇した。週当たりの平均労働時間は5ヵ月連続で34.5時間となり、市場予想とも一致。製造業の平均労働時間は前月までは2ヵ月連続での41.1時間と2007年以来の高水準だったが、今回は40.9時間へ短縮した。

失業率は、市場予想の6.1%を超え6.2%。市場予想、および2008年9月以来の低水準を示現した前月値から上向いた。マーケットが注目する労働参加率は2013年10月、12月、14年4月-6月まで1978年3月以来の最低の62.8%だったが、今回は62.9%へ改善。労働市場に復帰した人数が増加した分、失業率の上昇につながった。

失業者数も、前月比19.7万人増と前月の32.5万人減から増加に転じている。雇用者数は13.1万人増と前月の40.7万人増を下回りつつ、3ヵ月連続で増加した。雇用率は2ヵ月連続で59.0%と、2009年8月以来の59%乗せを保った。経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全雇用率は12.2%と、前月の12.1%から上昇。2008年10月以来の12%割れから一歩遠ざかった。平均失業期間は前月の33.5週から32.4週へ短縮。2010年3月以来でもっとも短くなった。失期期間の中央値は2009年4月以来の水準に並んだ前月の13.1週から、13.3週へ延びた。

JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を受け「失業率の上昇は労働参加率の改善が主因」と説明した。半面、「不完全失業率の上昇や労働意欲を失った人数の増加、そして伸び悩む賃金などは、米連邦公開市場委員会(FOMC)が7月の声明文で示したように労働市場の『たるみ』を表す」とも指摘。Fedが政策を変更する材料とは判断しづらいとの観点から「7-9月期の成長率3.0%、第1弾の利上げは2015年7-9月期で維持する」とまとめた。

ヒルゼンラス記者も、「Fedは利上げ協議に忍耐強くなれる」との記事を配信。
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(出所 : WSJ

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のダッシュボードに含まれ、かつ「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全失業率 採点-△
7月は12.2%、前月の12.1%から上昇。2008年10月以来の12%割れが小幅に遠のいた。ただし、パートタイム就業者は3万人減の751.1万人となっている。
2)長期失業者 採点-×
7月は315.5万人、前月の308.1万人から2.4%増加。失業者に占める割合はも32.9%と、前月の32.8%から小幅上昇した。
3)賃金 採点-△
7月は前年同月比2.0%、前月と変わらず足元2.0-2.1%のレンジを維持。
4)労働参加率 採点-○
7月は62.9%と、1978年以来の低水準だった62.8%から小幅改善。6月の軍人を除く民間労働人口は1億5602万人と、前月比で0.2%増加した。

フルタイムとパートタイム動向をみると、フルタイムは前月比28.5万人増の1億1849万人となり、2013年10月以来で初めての減少となった前月から改善した。パートタイムは5.2万人増の2807万。1993年以来で最大の増加幅を記録した6月に続き、小幅ながら増加した。

以上の米雇用統計で、本日の金融市場動向は以下の通り。

原油先物 97.88 -0.29 -0.30%
金先物  1294.8 +12.0 +0.94%

米10年債利回りはは2.50%付近へ低下しました。

肝心の米株相場はというと、ダウ平均は5月後半以来の安値で取引を終え週足では1月以来で最大の下げ幅となりました。S&P500とナスダックは続落。S&P500は6月4日以来の1930p割れでクローズ、ナスダックは6月24日以来の安値で引けています。米雇用統計が予想以下で早期利上げ懸念が後退したとはいえ、米7月ISM製造業景況指数が約3年ぶり高水準だった半面、米6月建設支出が11年1月以来の落ち込みをみせ経済指標はまちまち。米金利は低下したものの米株はまだら模様の経済動向での緩和終了に冷や水を浴びせられたといえそうです。そういえばジャンク債ファンドからの流出は3週連続でしたし、明らかに来るべき緩和終了を警戒しているのでしょう。

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