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自国の「過去」の精算すらアメリカに頼ろうとする英国

今日の横浜北部は朝からすっかり晴れております。そして気温はやや抑えめ。夏の終わりまでこれくらいだとありがたいですね。

さて、昨日の生放送でも触れた、イギリスの「帝国主義の償い」のネタを要約しました。

著者はなんとアメリカの外交問題評議会(CFR)で中東専門家として活躍している人物なのですが、名前からもわかるように、中東系の移民の家族に生まれたイギリス人です。

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大英帝国が問題を残した。われわれはこれを解決するのを恐れてはならない
by エド・フセイン

●私はサッチャー時代のイギリスで、自国の偉大さを感じながら育った。10年前にはシリアとサウジ・アラビアで3年間過ごしたが、アラブ人たちはイギリス人を非常に尊敬してくれていた。彼らはわれわれの君主制と言語(英語)を尊重してくれていた。

●その後に、私は世界最大の民主制国家であるインドを訪れたが、ここではイギリスが植民地にしていたにもかかわらず、彼らはイギリス人のことを「文明化されて思慮深く、マナーのよい人間だ」と見なしていた。

●4年前に私はアメリカに移ったが、そこでははじめて私の母国が、誇りと恥の対象となったのである。

●誇りを持ったのは、私自身が、多民族国家イギリスそのものを体現した存在だったからであり、私の国を代表して、アメリカのトップレベルの人々とつきあい、米政府や軍の高官たちにアドバイスし、中東情勢を分析・説明して、アメリカの対外政策の選択肢を示すことができたからだ。

●また、私が母国を誇りに思ったのは、ジョン・ロックのようなイギリスの思想家が、アメリカの多元主義の誕生に影響を与えたことや、イギリスの議会制がアメリカの連邦議会制度として花開いたこと、そして世界で最も強力な国家であるアメリカが、イギリスを尊敬・尊重してくれたからだ。

●しかもこれはイギリスが軍事力ではなく、国家間のシンクタンクとして情報を集めて共有し、世界の紛争におけるアメリカの外交面でのトップのチームの一員であるからだ。

●アメリカの偉大さは「何かをしなければ」という衝動や、その解決法を、政府の関与のあるなしにかかわらず探ろうとするところだ。

●その反対に、私がイギリス(そしてヨーロッパ全体)のことを恥ずかしいと思うのは、われわれが段々と臆病・怠惰になってきていることだ。イギリス国内で見られつつあるのは、イラクやシリア、パレスチナ、ナイジェリア、そしてパキスタンなどを始めとする世界の問題が、われわれとは無関係なものだという態度で認知されつつあるという点だ。

●たとえばわれわれは「イスラエルとパレスチナの問題はアメリカに肩代わりしてもらえばいい」と暗黙の了解として思っている。いいかえれば、われわれは目立たないようにしながら、ローンの残金を払いつつ、温暖なところで祝日を楽しみたいだけなのだ。

●ところが問題は、われわれはスイスではない、ということだ。

●イギリスは特別な国であり、マグナ・カルタから大英帝国のように、言葉と法律、そして鉄道やゲーム(クリケット、ホッケー、フットボール)、そして衣服や文化に至るまで、それが生み出してきたものが達成してきたことを、世界中から尊敬の眼差しで見られているからだ。

●帝国は、前の世代に急速に終焉に向かったのだが、これこそがイラクやパレスチナ、ナイジェリア、そしてパキスタンを始めとする国々で、いまだに殺戮が続けられている原因の一つである。

●たとえばイラクというのは、1932年にイギリスが「イラク王国」として建国する以前は存在しなかった概念であり、われわれが統治する都合のために勝手にまとめあげられたものである。

●パレスチナは広域の「レバント」という地方の一部であり、オスマントルコの統治下でシリアとレバンも含んだ概念であった。パレスチナのイギリス統治は1948年に終わったが、これは聖地のユダヤ人とイスラム教徒たちの総意を得たものではなかったために、彼らの戦いは現在でも続いている。

●ナイジェリアのボコ・ハラムの問題も、北部のイスラム教徒が南部のキリスト教徒に不満を持っており、彼らは互いに歴史的に一つの国家を共有した経験を持っていないのだが、これはイギリスが1914年に北部と南部を統一しまい、しかも1960年に一つの国家として独立させてしまったことに原因がある。

●インドではパキスタンという無理のある概念の国ができる際に、百万人以上が死んでいる。それまではインド内のヒンズー教徒とイスラム教徒は静かに共存できていたにもかかわらず、イギリスは分割統治の手法をジンナーとネルーに使い、これによってわれわれは暴発寸前のインドから脱出することになったのだ。

●われわれの世代は、前の世代のように拙速になってはいけないし、われわれの政治家は怠惰になってはいけない。また、企業は緊張を避けようとして臆病になってはいけない。われわれは、自分たちの子孫に、さらに問題が山積みになって、しかもわれわれの安全を直接脅かしてくるような世界を残してはいけないのだ。

イギリスには「歴史的な過ちを正すべき」という道徳的義務がある。好むと好まざるとにかかわらず、すでにわれわれは世界の紛争の多くを(つくりあげたとは言えないにしても)間違った形で処理してきた状況を引き継いでしまっているのだ。

アメリカとのパートナーシップの下、われわれはキプリングが述べた(現在は政治的に使えない用語だが)「白人の責務」を背負わなければならないのだ。

●もちろん「戦争疲れ」があるし、「解決不可能の問題にこれ以上かかわるのは懲り懲りだ」という感覚もよくわかる。十年近く続いているイラク・アフガニスタンでの戦いの後には、まさにこのような状況が色濃くなっているからだ。

●1940年代に生きていたイギリス人たちが、300年間続いた帝国や、ボーア戦争、両大戦、そして帝国内のほとんどの地域で反乱や抵抗を経験してきた後に一体どのような感覚を持っていたを考えてみてほしい。私は彼らが拙速に物事を進めたかった理由が理解できる。

●ところが我々の将来の世代の人間たちは、現在の世代の臆病さや怠惰に関しては理解してくれないだろう。

●労働党のエド・ミルバンドが去年8月にシリアのアサド政権の軍事施設に空爆をしかけようとしていたアメリカに反対し、保守党のキャメロン首相に対してアメリカの行動を支持しないようにする決議案を議会で通したことは、私にとって非常に恥ずかしいことであった

●これについてパディー・アッシュダウンは「私は50年間この国に議員として奉仕してきたつもりだが、これほどまでに落ち込んで恥を感じたことはない」という言葉でこの時の雰囲気をうまく表現している。

●この決議案のおかげで、オバマ大統領は連邦議会で空爆の議決を求めることを諦め、アメリカが将来の紛争でイギリスに頼る度合いを弱めることになったのだ。

●もちろん私は、ネオコン的な軍事的解決法によって、政治的な透明性をもった文明的な社会や文化を持たない人々に対して民主制を拡大するような方法を提唱しているわけではない。「アラブの春」が教えてくれたのは、革命より漸進的な発展のほうがましだということだったからだ。

アメリカ側に求められているのは、イギリス人の頭脳と洞察力、ニュアンス、戦略的な計画力と独特な知識である。もしこれをやめてしまえば、アメリカ人はわれわれのことをイタリア、スペイン、もしくはオーストリアのような目で見るようになるだろう

●世界政治におけるわれわれの強さの源泉は、親戚であるアメリカとの距離感の近さにある。われわれはこれを労働党の左傾化によって失うことはできない。キャメロン首相が本気でヨーロッパから手を引きたいのであれば、イギリスはアメリカとの貿易と外交関係をさらに深化しなければならない。

●われわれの最も偉大な首相である、チャーチル、サッチャー、そしブレアの3人は、それぞれ別々のモデルを提供している。それは、1)アメリカを呼ぶ、2)アメリカを導く、3)アメリカを補佐する、というものだ。

●ところがここで「アメリカから離れる」という4つ目のモデルを追及することになると、イギリスはほぼ一夜にして3級国家に成り下がってしまうだろう。われわれはこのような事態に陥ることを防がなければならないのだ。

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この記事の肝は、イギリスが過去に犯した歴史の罪を償うために、アメリカと共に世界に積極的に介入しろというところでしょうか。

しかも自分はネオコンではないといいつつ、実際はネオコン的な問題の解決法を提唱しているところがパラドックスしてて興味深い。

また、アメリカとの近さを保つことで他のヨーロッパの国々(イタリア、スペイン、オーストリア)とは違うという点を強調しているところは、逆にイギリスの優越感を示していますね。

それにしてもイギリスの「業の深さ」というものを感じざるを得えないわけで。

今夜も生放送します。ご期待ください。

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