記事

国連人権理事会のイスラエル非難決議に賛成できない日本の「積極的平和主義」とは

 あまり大きなニュースにはならなかったが、国連の人権理事会は、この23日にイスラエルのガザ侵攻を非難し、調査委員会を派遣することを決議した。この委員会は47の理事国で構成されており、決議は29カ国の賛成で採択されたが、アメリカ1国のみが反対し、日本はEUなど西欧諸国とともに棄権したということだ。日本はアメリカが反対する決議には賛成できない。棄権するのが精一杯で、それは度重なる核兵器禁止決議などでも同様に繰り返されてきた。

 国連人権理事会は2006年に創設された常設機関で、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)がその事務局機能を担当している。国連加盟国における組織的で深刻な人権侵害事件などに早急に対応するために設けられた。理事国は地域別に定数を決めており、アフリカ、アジアに各13、東ヨーロッパ6、ラテンアメリカ・カリブ海8、西ヨーロッパとその他のグループ7となっており、国連総会で選んでいる。人権侵害の問題が起こりやすい地域を優先して配分しているように思われる。

 今回は、アラブ諸国が結束して提案国となり、決議の採択を主導したということだ。イスラエルはもちろん「バランスを欠く」と反発して、アメリカはそれに同調した。決議は採択されたものの、現地での調査は、イスラエルが協力しない以上は実効性に乏しいのではないかと報じられている。しかし国連の名において人権理事会に報告書が提出されることの意味は小さくはない。

 こういう場合に、日本はどうして独自の判断で行動することができないのだろう。日本の1票で採決が左右されるわけでもない場合でも、律儀にアメリカの判断にしたがって、「賛成」したくても「棄権」で逃げているのだ。賛成したら、恐ろしい制裁を受けるのだろうか。もし一度でも賛成してアメリカが理不尽な制裁をしてきたら、逆に大国としての度量を問われるだろう。核兵器禁止では、一度だけ国連で賛成したことがあると聞いている。ビキニの水爆で反核の世論が高まった年だそうだ。

 安倍首相の言う「日本を取り戻す」や「積極的平和主義」が本物なら、イスラエルのガザ侵攻に圧力をかけ、公正な調査を要求する決議ぐらいには賛成票を投じて日本の独自性を出して欲しかった。アラブ諸国の日本に対する好感度は高まり、それは日本の安全に寄与しただろうと思う。それが出来なかったところを見ると、やはりアメリカ主導の世界秩序に奉仕する「積極的平和」でしかないのがわかる。

あわせて読みたい

「国際連合」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。