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真面目に荒唐無稽

毎日、地域回りをしていると、一番印象的なのが「空き家」の問題です。普通に地域を回れば、公選職にある人間なら誰でも問題意識を持つでしょう(人口が増えている地域ではそうでないかもしれませんが)。

 以前も書きましたが、固定資産税の問題は大きいですね。今の日本の制度は、人口が増えることを前提に出来ています。つまり、土地が足らない日本で人口が増えていけば、土地の有効活用をしなくてはなりませんから、平地で寝かせている土地には高い固定資産税が掛かるようになっています。逆に言えば、家屋が立てば(有効活用すれば)固定資産税は減免されます。

 これ自体は、人口が増え続ける限りは合理的な制度なのですけども、人口が減っている世の中では予期せぬ結果を招きます。つまり、家屋を解体するインセンティブを害して、空き家を放置する効果があるのです。家屋を解体して平地にすると固定資産税が上がってしまうので、空き家であろうともそのまま放置してしまうのが合理的だという判断になります。家屋を解体するのには、普通の場所であれば坪2万円、重機を入れにくいところなら坪3万円と言われたことがあります。100万円近く払って家屋を解体したら、固定資産税が上がってしまうというのであれば、誰も解体などしません。それが日本中で起こっているように思います。

 これに加え、私はもう一つ荒唐無稽なことを考えています。というのも、地域を回っていると「ここ、とても住みやすい地域なんだけどな」と思う場所に空き家が多いというパラドックスに出会うことがあります。そういう場所でよくあるのが「土地が細切れになっている」ということです。折角の良い土地が、例えば、空き家と小規模駐車場ばかりになっているというのはとても残念なことです。ある程度、土地が纏まれば新たな住宅地開発もできるのになと思うことは少なくありません。今後、日本のあちこちでコンパクトシティの方向性を目指さざるを得ないでしょう。その時に、コンパクトシティとして住居整備をする障壁は除去しておきたいと思うのです。

 色々と聞いてみると、結構難しいのが「相続等を経て権利関係が複雑化している」ということです。遺言がない状態で、民法上の規定に基づいて相続が行われた結果として、相続したご本人も意識していない状態で土地や家屋に対する権利が生じていることがあります。なので、一つの空き家を処理しようとすると、そのすべての関係者を追わなくてはなりません。この手間がとてつもないことになっているのが現状です。行政書士の方と話すと「数ヶ月掛かった」、「関係者が外国にいて書類のやり取りに苦労した」、そんな話は稀ではありません。その結果として、「纏まった土地」を作り出すことが難しくなっています。

 ここからが荒唐無稽なのですけど、空き家について何らかのかたちでこの権利関係の整理を簡略化することが出来ないのかなと思います。例えば、権利者のすべて又は一部が直ちに判明しない土地については、一定の手続き(例:一定期間の公示)を経れば行政代執行による整理が可能になるというのが分かりやすいです。それが出来れば纏まった土地を生みだすことができるんじゃないかな、と思える場所はかなりあります。

 所有権に制限を掛ける法改正をやらないと出来ません。当然、憲法上の問題が生じます。スタンダードな法律の考え方からすれば荒唐無稽であり、とてもやれる話ではありません。やり方を間違えると、悪徳業者が巣食う可能性すらあります。しかし、それくらいの強烈なことを考えたくなるくらい、本来コンパクトシティに必要な住環境として整備するのに相応しい土地が細切れで放置されています。

 この件、荒唐無稽だからこそ自分なりに追ってみたいと思います。大学で殆ど民法系を学んでいないので、素地がない所からのスタートではありますが。

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