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「三四郎」など

石破 茂 です。
 滋賀県知事選挙敗戦の総括、福島・沖縄知事選挙への対応、概算要求基準の決定、各省庁幹部人事異動の挨拶受け、党本部で開催される各種研修会での講演など、国会閉会中もその日その日の日程に追われる毎日が続きます。
 一・二期生の頃は国会が閉幕するとひたすら地元での挨拶回りや国会報告会をこなすとともに、自民党青年局や議員連盟の海外視察に何度か出かけたものですが、今は全くそのような余裕がありません。
 党本部に設置されている「幹部在室表示灯」に「幹事長」の在室ランプだけが灯っている時は、この仕事は一体何なんだろうね、と思ってしまいますが、休会中は党所属議員たちが心おきなく各地での仕事に集中できるための留守居役に徹するのも、与えられた役割の一つなのでしょうね。

 世界各地で航空機の事故や事件が頻発しています。
 マレーシア航空機の事件はいかに冷静に、客観的に真相を究明するかにかかっており、取り扱いを一歩間違えると極めて深刻な事態になりかねません。昭和58年、中曽根内閣時に発生した大韓航空機撃墜事件は、日本がリスク覚悟で電波情報を開示したことによりソ連は言い訳の効かない立場に追い込まれたのですが、高性能地対空ミサイルが使用された今回、そのようなことは期待できそうにもありません。
 種類にもよりますが、地対空ミサイルはそう簡単に入手できるものでも使いこなせるものでもない代物なのですから、その特定が一つのカギとなるようにも思われます。

 夏になると、戦争や軍事に関する議論があちらこちらで交わされ、特集番組やドラマが放映される機会も多くなります。
 私は見逃してしまったのですが、2009年8月に放映されたNHKスペシャル「日本海軍400時間の証言」は秀逸な番組であったようです(NHKの報道姿勢には時折「?」と思わされるものもありますが、視聴率にとらわれない優れた番組を作る局でもあります)。
 これを単行本化したものが2011年に新潮社から出版されており、この夏暇を作って是非読んでみたいと思っています。「陸軍は暴力犯。海軍は知能犯。いずれも国あるを忘れていた。開戦へと突き進んだ舞台裏、特攻作戦が生み出された真相、東京裁判での隠蔽工作の実態。門外不出を条件に密かに行われていた大戦の検証」、表現の妥当性はともかくも、帯にはそう書かれています。
 国家の命により戦地に赴き散華されたことの尊さは、戦争の勝ち負けや是非に関わらず決して変わるべきではありません。しかし同時に、何故敗戦必至と最初からわかっていた戦争に突入し、大勢の命が失われる結果となったのかについての検証も怠ってはならず、これを次代に引き継いでいかなくてはなりません。

 集団的自衛権行使容認を含む法制整備に限らず、安全保障論議においては戦史についての幅広い知識が不可欠です。不覚にも私はこれを読んでもいなかったのですが、一年間で11刷になっているところをみると相当に多くの人々が読んでいるのでしょう。活字離れ、と言われる現代にあって、そのことに一種の安堵感を感じるとともに、世の中には自分の知らないことがいかに多いかを思い知らされます。

 先日、「週刊文春」から「40歳にして読む夏目漱石」という特集記事の取材を受けました。
 多くの漱石の著作の中から一冊だけを挙げるのはとても難しく、「こころ」にしようか、「草枕」にしようか、はたまた「虞美人草」もいいかな…と悩んだのですが、結局「三四郎」をお勧めの一冊としました。
 勿論、成年日本人のほとんどが一度は読んでいる作品でしょうが、何度読み返してもその都度新鮮な思いがする名作です。廣田先生の口を借りて語られる漱石の社会批評、文明論、日本論は今の時代にもそのまま通用する不滅のもので、「坊ちゃん」で論じられている教育論もまた同様です。
 亡父が生前「漱石と鴎外さえ読めばあとは何も読まなくてよい」と言っていたことをふと思い出しました。

 週末は選挙区に帰って各種行事にいくつか顔を出す予定です。
 関東地方も梅雨明けし、昼は酷暑、夕方は雷雨という日々が続いています。
 皆様お元気でお過ごしくださいませ。

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