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「民主党代表選、岡田氏が手を挙げれば選ばれる可能性は高い」〜田原総一朗氏インタビュー

集団的自衛権行使容認を巡る閣議決定、ウクライナ情勢、相次ぐ地方議会の不祥事…国内外で起きている問題について、田原総一朗さんに話を聞いた。【大谷広太(編集部)】

マレー機墜落、一番憤激しているのはプーチン

ウクライナでは親ロ政権が潰されたEUに入りたいと言う中で、明らかににソ連軍が管理する中で住民投票が行われ、クリミア半島がロシアに編入された。これに対してアメリカ、とくにEUは通り一遍の批判しかできなかった。これはやっぱりEUがロシアからガスを輸入しているからだろう。それで図に乗ったプーチンがウクライナ本体の、親ロ勢力の多い東部にも介入し、一種の内戦状態になった。

プーチンはやりたい放題やっている。オバマはどんどん影が薄くなっている。
そのきっかけはシリアの問題だった。シリアのアサド政権が国際法で禁じられている化学兵器を使ったことについて、オバマ大統領は"レッドラインを超えた"と言った。つまり攻撃をする、と宣言した。ところがアメリカの世論は反対の声が強く、デモも次々と起きた。本来、大統領が宣言をしたのだからシリア攻撃をできるはずが、オバマ大統領は議会で承認を得ることにした。上院はかろうじて承認したけれども下院では承認を得られず、オバマ大統領はどうしようも無くなって、困惑しきっていた。

そのときにプーチン大統領がアサド大統領と交渉、謝罪と化学兵器を国連の管理下に置くことを約束させた。オバマ大統領の存在案が薄れるとともに、プーチン大統領が男を上げたのだ。こうして、オバマ大統領の存在感がどんどん霞んでいっていたのに比べて、プーチン大統領の存在が非常に鮮やかに浮かび上がってきていた。

そこで起きたのが今回の墜落事故だ。
これはアメリカがほぼ断定的に言っているように、ロシアから親ロ勢力に渡った地対空ミサイルが撃墜したのだろう。
ロシアはこの事件をどうするのか。「俺達は関係ない、親ロ勢力を管理できていない」と言いたいのだろうが、そんなことは通用しない。

マレーシア航空機の墜落事件で一番憤激しているのはプーチン大統領だと思う。"何を馬鹿なことをやらかしてくれたんだ"、と。
僕は、この事件でプーチン大統領が一気に危機に立たされたと思う。今後のやり方次第では、政治生命が危なくなることもありうると思う。

相次ぐ地方議会の不祥事、再点検のきっかけに

野々村兵庫県議の事件や東京都議会の野次問題に象徴されるように、地方議会は議員の質が低い。国会議員についてはいろいろとやかましく言われているけれど、地方自治・地方議会についてはマスコミも目配りしてこなかったんだと思う。

国の在り方を変えようとするならば、地方を変えるしか無いと思うが、例えば東京では都議会議員選挙、区議会議員選挙の投票率も恐ろしく低い。橋下徹氏の「大阪都構想」もそれなりに注目されたけれど、その地方自身が色々な問題を露呈している。
野々村議員の問題で、政務活動費の制度のいい加減さがわかったと思う。これから地方議会の再点検が必要だと思うし、こういう事件が相次いだことが、その良いきっかけになるのではないか。

野党がどこまで頑張れるか

集団的自衛権行使容認の閣議決定について、朝日新聞や毎日新聞は「解釈改憲は暴挙である」、読売新聞、産経新聞は「画期的な方法だ」と言った。要するに新聞は"解釈改憲だ"と言ったわけだが、僕は新聞とは違って、解釈改憲になってないと思う。

例えば、「我が国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し」。この「密接な関係にある他国」、これが集団的自衛権についての記述だ。そして、「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において…」とある。つまり、集団的自衛権と言いながら、「わが国の存立が…」と言っている。つまりこれは個別的自衛権の延長だと考えたほうがいい。

そして、安倍さんはよくあそこまで妥協したなと思っている。あれは明らかに公明党に対する妥協で、妥協しすぎなくらいだ。自民党幹部や政府の担当者に話を聞いたところ、「いや、安倍さんはここまで妥協するのに相当嫌がった」と言った。自民党は公明党との選挙協力の関係から、公明党が野党になると、少なからぬ議員が議員でいられなくなる。だからなんとしても公明党に妥協しなくてはならない。

一方、公明党は選挙部隊である創価学会婦人部が集団的自衛権には強い反対をしている。公明党としては、婦人部に「いや、解釈改憲じゃないよ、これは個別的自衛権の延長なんだ」と言えるような線にまで持っていったということだ。 だから極めて曖昧な文書だと思う。

今後、自衛隊法の改正などの作業を行わなければならない。単純に言うと、今の自衛隊というのは"ポジティブ・ルール"、つまり"これはやってもいいよ"と書いてあることしかできない。自衛隊幹部にも何度か話を聞いたけれど、"ネガティブ・ルール"、つまり"こういうことをしてはいけない"、というように変えないと、戦えない。今の自衛隊は、"能力はあるけど戦えない軍隊"だ。それを、"戦えるけれども戦わない軍隊"に変える、それが法改正のポイントになると思う。

それらの法改正は、本来ならば9月下旬の臨時国会でやるべきなのに、安倍政権は、臨時国会ではやらない、来年の通常国会でやる、と言っている。自民党としては、国会では閣議決定みたいなごまかしはできないので、統一地方選が終わった後に引き延ばしたいというのが本音だと思う。

ここで公明党なり野党がどこまで頑張れるかが勝負だ。僕は民主党の岡田克也氏にも、野党がどこまで頑張れるか、ということを言った。民主党代表選では彼が手を挙げると思うし、手を挙げれば彼が代表になる可能性は高いと思う。

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