記事

川内原発 世界最高水準ではないままで再稼働はすべきではない

 原子力規制委員会は、九州電力川内原発が新たな規制基準に適合しているとしてする審査書案を了承。再稼働へ動き出した。再稼働するということは、安倍首相が言うように世界で最も厳しい水準にクリアしたというのだろうか? ヨーロッパの基準と比較すれば、とても世界最高基準とは思えない。
 
 田中俊一原子力規制委員会委員長は記者会見で「基準の適合性を審査した。安全だということは申し上げない」(沖縄タイムス2014年7月18日社説)、「一定程度安全性が高まったと思う」(毎日新聞2014年07月16日)と述べているように、世界最高水準での安全性を認めたことではないことが伺われる。

 どうも、世界最高水準というのは、特に規定があるわけではなく、言ったもの勝ちの言葉遊びではないかだろうか。

 菅直人元首相が質問主意書で「世界で最も厳しい水準の規制基準」という根拠は何かを問い質している。安倍首相から届いた答弁書には、『世界最高水準の基準となるよう策定した』と書かれており、なるようにはしているが、具体的に何が最高水準なのかが明確に書かれていなかった。

 欧州加圧水型炉(EPR。第3世代の加圧水型原子炉)には、次のシステムが採用されているという(ウイキペディア 欧州加圧水型炉

①原子炉の停止後1-3年にわたって続く崩壊熱を冷ますに十分な300%の冗長性を持つ4種の独立した非常冷却用システム
②原子炉の密封封じ込め
③溶融炉心を炉外に逃がす際の外部コンテナと冷却面
④飛行機の衝突や内圧に耐える、合計の厚さが2.6mの2層のコンクリート壁

リンク先を見るリンク先を見る 原発の安全対策として、航空機がぶつかっても大丈夫なのか。これはテロとしてあり得るケースだが、検討をしておらず対策していない。

 福島原発のようにメルトスルーした場合の対策として炉を二重にすることや炉の下にコアキャッチャーと呼ばれる溶融した炉心燃料を閉じ込めて冷却する装置が欧州では設置するようにされているが、これもない。地震や津波への対策は強化されたかもしれないが、そもそもの危険への対応を考えていないことになる。

 福島原発の事故が起こる前年、2010年9月にあった日本原子力学会のセッションで東芝のエンジニアから『世界標準と安全設計 について ~原子力エンジニアからの一提案』の発表があった。

 ここには、航空機の衝突にも耐えるようにすること、コアキャッチャーが安全対策として必要なこと、世界的な流れでもあることが指摘されている(画像は上記提案より転載)。福島原発事故前から指摘されていることを無視しようとしているように思えてならない。

 つまり、世界最高水準ではなが、それでもいい。再稼働ありきとしか言いようがない。他にも住民の避難計画もできていない。言葉遊びにだまされていないだろうか。これで再稼働がいいはずがない。

 以下は菅直人元首相による質問主意書と答弁書。
 詳細は菅直人元首相公式サイトで
エネルギー基本計画に関する質問主意書

一 「世界で最も厳しい水準の規制基準」という根拠は何か。

たとえばフランスのアレバ社は航空機の衝突に耐えられるように格納容器の壁を二重にし、さらにメルトダウンに備えてコアキャッチャーを装備した原子力発電所を建設している。こうした安全対策は日本の規制基準には含まれていないがそれでも「世界で最も厳しい水準の規制基準」といえるのか根拠を示されたい。

二「原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね」とある。しかし、地域住民にとって最も重要な事故発生時の安全な避難や安全な帰還などの判断は原子力規制委員会では行わないと、本年二月二十一日付の答弁書で政府は答弁している。明らかに矛盾しているが見解をうかがう。

 なおこの点に関して、本年二月十三日提出の私の質問主意書に対する本年二月二十一日付の政府答弁書では次のように述べられている。「同委員会( 原子力規制委員会) は、( 中略) 原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則等( 以下「新規制基準」という。) への適合性について審査を行っている。( しかし) 新規制基準には、地域防災計画に係る事項は含まれていない」

三 国民が最も懸念しているのは原発事故が起きた時に安全に避難でき、また短期間で安全に帰還できるかどうかにある。そうした地域住民の安全性について誰が最終的に判断をするのか、お答えいただきたい。
右質問する
衆議院議員菅直人君提出エネルギー基本計画に関する質問に対する答弁書

一 について

 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律( 昭和三十二年法律第百六十六号。以下「 原子炉等規制法」という。)第四十三条の三の六第1 項第四号の規定に基づき定められている実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則( 平成二十五年原子力規制委員会規則第五号)等( 以下「 新規制基準」という。)については、国際原子力機関や諸外国の規制基準を参考にしながら、我が国の自然条件の厳しさ等も勘案し、地震や津波への対策の強化やシビアアクシデント対策の導入を図った上で、世界最高水準の基準となるよう策定したものである。

 なお、新規制基準においては、事業者が満足しなければならない性能の水準を定めており、これを実現する方法の詳細についてあらかじめ指定しておらず、国際的にも、原子力に係る規制基準においては、性能基準を規定していると承知している。

二及び三について

 原子力規制委員会は、原子炉等規制法により発電用原子炉( 原子炉等規制法第二条第五項に規定する発電用原子炉をいう。以下同じ。)の規制を行い、発電用原子炉設置者から提出された原子炉設置変更許可申請書等に関し、新規制基準への適合性について審査を行っており、「 エネルギー基本計画」( 平成二十六年四月十一日間議決定)において記述されているとおり、「 原子力発電所の安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね」ている。なお、同委員会により、新規制基準への適合性が確認された原子力発電所については、その判断を尊重し再稼働を進めることとしており、その際、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう、取り組んでまいりたい。  また、御指摘の「 地域住民の安全性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、都道府県及び市町村において、原子力発電所が再稼働するか否かにかかわらず、住民の生命、身体及び財産を災害から保護することを目的として、当該地域の事情を勘案した上で、災害対策基本法( 昭和三十六年法律第二百二十三号)に基づき、地域防災計画の作成等がなされており、政府としては、原子力防災会議の下、関係府省庁による同計画の作成の支援等を行っているところである。

あわせて読みたい

「原発」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。