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雇用統計は好調も、住宅着工件数は減速の謎

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雇用統計は好調も、住宅着工件数は減速の謎

June Housing Starts Declined Despite Positive Jobs Report.

米6月雇用統計は労働市場の改善を顕著に表した内容とされましたが、住宅市場の回復は引き続き低迷しております。

米6月住宅着工件数は89.3万件と、市場予想の102.0万件より弱い結果となった。前月の98.5万件(100.1万件から下方修正)を9.3%下回り、2ヵ月連続で減少。6ヵ月ぶりに90万件を割り込み、2013年9月以来の低水準を示す。

内訳をみると、一戸建てが9.3%減の57.5万件だったほか複合住宅も9.9%減とそれぞれ2ヵ月連続で減少した。前年比での住宅着工件数は7.5%増と、前月の9.4%増を含め増加トレンドを維持。複合住宅が前月の11.0%増に加え38.3%増と3ヵ月連続で大幅増だった半面、一戸建ては4.3%減と4ヵ月ぶりに減少に転じた。

4大地域別では、3地域が増加し前月の1地域を上回った。今回は南部が29.6%減と大幅減少に転じている。反対に北東部は14.1%増、中西部も28.1%増、西部も2.6%増と増加に転じた。

以上、地域別をみると住宅市場の規模が最も大きい南部の落ち込みが足を引っ張ってたことが分かります。5月に南部だけが増加していた反動とも読み取れますが、なぜでしょうか。

南部の特徴を考えてみましょう。所得の低い世帯が多いことで知られ、全米50州別ではワースト1位のミシシッピ州をはじめワースト10位のうちニューメキシコ州とオハイオ州以外全て南部の州で占めています。従って、金利上昇にも敏感に反応する可能性を示唆しているわけですね。

年収ランキング、ワースト10位のうち8位が南部の州。
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(米国勢局のデータを元に、My Big Apple NYが作成)

もうひとつ、6月の金利動向が挙げられます。5月は金利が低下していたものの、6月は上昇に転じていました。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で「経済は回復途上」、「住宅市場は停滞しているようにみえる」と発言したはずです。

米10年債利回りは、5月に顕著に低下していました。
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(出所 : Bloomberg)

また金利に敏感な理由は、所得動向への不安の現れとも言えます。南部の方の話ではなくあくまでもニューヨーク在住の筆者の聞き取り調査から得た回答では、1)高水準にある住宅価格、2)賃金の上昇・ボーナスへの不透明感、3)盛んに行われる合併・買収(M&A)を通じた職への不安——などが挙げられていました。特に3)は、いわずもがな2006年以来のブームに沸いており、大企業の方々を含め従業員にとって安穏としていられません。南部だけでなく、住宅市場が鈍化する懸念は払拭しづらいのが現状です。

(カバー写真 : Wonderlane)

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