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政経塾で獅子吼

 7月15日のTokyo自民党政経塾に、元総理の麻生太郎氏を迎えた。自民党が野党の時に来てくれているから、これが2回目の講義となった。

 「1時間、話をせよと言われたが、相手が深谷塾長だから、無駄な抵抗はやめようとやって来た」と、冒頭から笑わせた。この人は心底明るい性格で、一番難しい筈の経済について、冗談を入れながら、易しく話して塾生を終始飽きさせない。

 マスコミが例のごとく失言を狙って取材を申し入れてきたが、丁重にお断りした。どんなことでも意地悪く書こうとすればなんとでも書けるものだ。

 彼らしく、むしろざっくばらんに語ってもらいたいと思ったからである。
 「景気と言うように大事なのは「気」だ。安倍第2次内閣の誕生で、明らかに景気は向上している。デフレからの脱却という仕事は、長老の深谷塾長も経験の無いように、俺達(発言のまま)にとっては初めての経験だ。高橋是清がやった英断は、ルーズベルトのニューディール政策でそっくり真似られたが、今ようやく日本でも効果を上げ始めている。

これから大事なことは日本の歴史と伝統のある「モノづくり」だ。それも「皆で協力する」といった日本人の良さを生かしていかなければいけない。

 日本の新幹線のように正確に到着する列車は、まず他の国にはない。

 それは、日本人の知恵と、皆で協力する総合力から生まれたものだ。東京駅に新幹線が到着すると、作業の婦人たちが一気に掃除し、わずか6分で万事用意が完了する。客にまで背もたれを戻してくださいと言い、皆当たり前のように協力しているではないか」。
私まで釣り込まれて、あっという間の1時間であった。最後は得意の漫画に及んで、世界の人が日本の漫画から日本人の良さを知ってくれるに違いないとばかり、具体的な漫画主人公の名前まで挙げて薀蓄を傾けていた。

 こんな風に話したら、多くの国民はきっと喜んで聞き、納得してくれるだろうな、と思いつつ、でも、悪く書こうと思えば書ける材料も豊富だな・・とも考え、複雑な思いもあった。
 麻生太郎という人は、本当に好人物だと、しみじみ思ったものである。

 私の講義は、政治専門コースだから、選挙の戦術戦略について、経験を元に詳細に語った。
 手元に、昭和57年12月に出た自民党員研修資料の小冊子がある。私の講演集なのだが、すっかり忘れていたものだ。

 過日の私達夫婦の金婚式で、石破幹事長が、政治家を志した頃に、この本を読んで大いに参考にしたと言われた。私もようやく思い出し、捜したところたった1冊出て来たのだ。

 この日の授業の為に、改めて読んでみたが、自分で言うのも変だがなかなかなもので、隠れたベストセラーと言われただけのことはあると思った。 

 当時は当選3期目、47歳の働きざかり、全国から集まった活動家に対する熱の入った講演で、なんだか読んでいるうちに、その頃を思い出し感慨無量になった。時はなんと早く流れるものか・・・と。
 
満員の塾生への講義は、この日は一層厳しいものになっていく。政治家になろうとする志は素晴らしいが、簡単になれると思うな。何のために政治家になろうとしているのか、自らに厳しく問え。政治家の基本は愛国心だ、この国の為に死ねるか・・・。

 出馬を決めたら、昨日までの自分と全く違った人になれ、どんなことでも耳を傾け、謙虚、低姿勢で過ごさなければならない、いつも身ぎれいで礼節をわきまえ、毎日を大切に真面目に過ごせ。

 区議や市議の公認を受けるためには100人の党員集めが義務づけられている。一人党費を4千円頂く作業は大変だが、それが出来ないようなら出馬をあきらめよ。集められたら、まずその人たちに後援会発起人になって貰う。その方に紹介を頼み、会員募集の為に飛び回れ、足で稼ぐのだ。但し、法に触れないように「選挙法」を熟知せよ・・・。

時代は君たちのもの、しっかり頑張れと獅子吼した。
 びっくりした塾生もいたかもしれないが、私はそうして50年の波乱万丈の政治生活を送ってきたのだ。

 終わって、中屋都議と田端代議士と連れ立って湯島鳥居前のすし屋「安田」で一杯。久しぶりだったので店の主人夫婦も大喜び、他の客も笑顔で迎えてくれて、「先生、前より若く、優しい顔になりましたね」。

 この店には、昔、私が描いた絵が飾ってあった。マッチの棒で店の佇まいをスケッチし、絵具でさらっと仕上げた、 我ながらいい絵だ。

 ああ、今日も愉快な、満足できる良い1日を過ごせた。酒も美味い、寿司も美味い、触れ合う人がいい・・。

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