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- 2014年07月17日 06:11
日豪連携に対する中国政府の態度
ここのところ本当に時間がなく、更新の間隔があいてしまい誠に申し訳ありません。
最近の『環球時報』を見ていると本当にこだわっているのが、安倍首相が7~10日にかけて、オーストラリアを訪問した際、オーストラリアのアボット首相が、旧日本軍の技術や彼らの名誉心等を讃えたことです。
1 中国の反発
中国にしてみれば、当時の旧日本軍は卑劣にも中国を侵略し、「極悪非道の限り」をつくした方々ということになっているので、どうしても認めることができません。更に今回の安倍首相のオーストラリア訪問は、中国を念頭においた集団的自衛権を行使できるようにしつつ、中国に対する封じ込め政策の一環としてのオーストラリアとの連携強化なので、過去と現在という二重の意味で中国を刺激することとなったので、中国政府が強く反発しているのかと考えます。
実際、この発言あった後、中国はオーストラリアの最大の貿易国なのに、オーストラリアは日本に媚びて、中国との関係を一切反故にするつもりかくらいのかなり強い論調も見られました。
2 中国の反発2
そこで興味深かったのが、その環球網の「全澳中韩社区民调:91%反对澳总理献媚日本言论」という記事です。翻訳する時間もないので、概要だけ申し上げますと、オーストラリア在住の華人を対象に、ネットアンケートを行ったところ、91%の方が豪首相の発言に反対だったというものです。中国政府が、今回の豪首相の発言に反対しているのは上に書いた通り当然の話で、その影響を受けている中国人が反対するのも、ある意味、当然の話かと思います。
彼らが、オーストラリアに住んでいたとしても、中国政府の意向を強く受けた方々であることは間違いないのではないでしょうか(当然中にはこうしたことに関心のない方もおられるでしょうが、そういう方はそもそもこうした記事は見ないかと考えます)。
3 「世界」からの反発
そういう意味でこうしたことにどれだけ意味があるのかという話になるわけですが、世界各国が反対しているということを演出するために、こうしたことを良く使うのが、中国です(靖国参拝を世界各国が批判?(実際は中国だけか))。実際、言葉の問題があるので、中国語でアンケートを行えば、どこに住んでいようが、中国人しか答えないわけで、なおかつこうしたことにわざわざ答える方というのは、当然これらに対して強い関心を持っている方となるわけですから、何をかいわんやというところです。
フィリピンが中国との関係で日本と接近しておりますが、これについても中国は反発を強めており、そこでも日本の「侵略」を受けたはずのフィリピンが何故こうした行動をとるのか的な論調の記事もありました。
4 最後に
これらも見てもわかるとおり、中国としてみれば、中国は平和国家で正しいことをしており、世界(除くアメリカと日本)から賞賛を浴びているはずなのに、何故その他の国がという話になるのかと思います。やはり、中国に対して有効なのは、日本の味方を増やしていくという戦略です。ただ、ここでやっかいのはあまり鮮明にそれを誇示されると今回のようにいろいろ厄介な話になるので、グレーゾーンのまま基本的には日本支持位の感じが良いのではないでしょうか。
なんでもそうですが、はっきりと白黒をつけるのが必要なこともありますが、こうした問題では、敵味方とはっきりわけずに、あいまいさを残しておくのも必要で、結果それが日本に対して有利になるかと思っております。