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地域密着がキーワードのECサイト「Strolby」

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「シャッター商店街」という言葉が出てきて久しい。突然大手チェーンが地方に乗り込み、地場のスーパーマーケットや量販店、個人商店のビジネスを奪い取り廃業に追い込まれた光景をリアルに表現している。

一方で「地域密着」という言葉は、シャッター商店街を救ってくれそうなポジティブな言葉だ。地域密着型のビジネスは、商店街のシャッターをもう一度開ける存在になってくれるのでは、と皆が期待している。

今回紹介する米国の「Strolby」は、そんな地元のショップの商品がオンラインで購入できる地域密着のECサイトだ。現在はニューヨークのブルックリンとハドソンバレーのショップの商品を扱っている。

2015年に向けて地域を拡大する予定も進めており、これまでに約40万ドル(約4000万円)の資金調達にも成功。Time誌の「2014年注目のスタートアップ」に選ばれるなど注目度も高い。

地元のショップの商品を手軽にオンラインで

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Strolbyの創業者はLara Fitch(以下フィッチ)氏。テキサス州サンアントニオ出身で、マサチューセッツ州の名門校アマースト大学を卒業。卒業後はマーケティングの分野で活躍し、大学時代の同級生と結婚。夫の仕事の関係でニューヨークに移ってきた。

その後2人の子どもにも恵まれ、ニューヨークのブルックリンに住まいを購入。マンハッタンでマーケティングの仕事を続けながら、2児の母として多忙な日々を送っていた。

やがて毎日の忙しさに追われるようになり、子どもの洋服や、家族への誕生日やクリスマスのプレゼントなどを買いに行く時間がなくなった。

空いている時間に商品を選び、家や職場まで届けてくれるAmazonなどのオンラインショッピングで常に買い物をしていたというフィッチ氏。ある日、子どもたちと近所を散歩しながら地元ブルックリンのショップを巡る機会があった。

"ブルックリンには小さなブティックや雑貨屋がたくさんあるんだけど、オンラインでは買えないような素敵な商品をたくさん売ってることに気がついたのよ。それで、オンラインで手軽にこんな商品が手に入ったらいいな、って思ったの。ローカルのショップをサポートすることにもなるし、面白いビジネスになるんじゃないかって"
- フィッチ氏

さっそくフィッチ氏はブルックリンのショップを自分の目で見て回り、ユニークな商品を探して歩いた。ヨーロッパの珍しいオモチャを扱う店、地元ブルックリンのデザイナーが作る子供服の店、イギリス出身の皮職人が作るハンドバッグの店などちょっと変わった商品を扱うお店をピックアップし、サイトをロンチ。

2013年の創業当初はブルックリンのショップのみを扱っていたが、2014年4月にはニューヨーク近郊の自然と歴史の街として有名なハドソンバレーを追加。少しずつではあるが着実にサイトとして成長を遂げている。

商品、ショップ、そして地域全体をサイトで紹介

Strolbyでは、小さなブティックの洋服やアクセサリー、オーガニックの化粧品、外国製のオモチャや珍しい調味料など、ユニークな商品を数多く扱っている。商品は「女性」「男性」「アクセサリー」「本」などのカテゴリーから探すことができる。

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商品をクリックすると詳細が表示されるが、このサイトではショップについての説明がとても詳しいのが特長だ。ショップの所在地や概略はもちろんのこと、オーナーの名前までもが掲載されている。

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また、ショップの紹介ページも用意されている。そのショップの商品がまとめて掲載されているのに加え、ショップの写真やオーナーの一言などが添えられており、実際のショップの雰囲気を楽しむこともできる。

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こうした街の小さなショップは自前のサイトやfacebookページにて店や商品を紹介することが多い。しかし、そのショップを実際に知らない人がサイトにたどり着くことはなかなか期待できない。

マーケティングにかける費用も限られているし、自身のショップに合ったデザインのサイトを作成するにも費用がかかる。サイト上でショップの商品を販売するとなると、それこそ運営には費用だけでなく労力もかかり、小さなショップでは相当な負担となるはずだ。

その点、Strolbyに掲載されれば、ショップを知らない人にも商品に興味を持ってもらうことができ、商品を気に入ってもらえればショップの名前を覚えてもらうことも可能だ。商品からショップ自体を宣伝できるという逆の宣伝効果もあるわけだ。

Strolbyでは商品の売上によってショップ側が手数料を支払うしくみになっているという(パーセンテージは非公表)。売上の手数料のみでマーケティングやサイトの運営にかかる負担がなくなるのは、小さいショップにとってはありがたいしくみだといえるだろう。

またショップだけでなく、ブルックリンとハドソンバレーの街そのものを紹介しているページもある。街の歴史や名所が紹介されているのも興味深いが、通り沿いにある建造物やショップをガイドブックのように眺めることもでき、ぜひ訪れてみたいという気にさせられる。Strolbyはただのショッピングサイトではなく、街全体をプロモートするサイトでもあるのだ。

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地域そのものをサポートするサイトとして成長

Strolbyという名前の由来は「Stroll by(散歩する)」という熟語からの造語だという。気軽に近所を散歩する感覚で地元のショップでしか手に入らないような商品がオンラインで購入できる、地元密着型のECサイトだといえるだろう。

近年大手チェーン店の増加によって地元のショップが苦戦を強いられているという。地元のショップではなく大手チェーン店で買い物の買い物する人が増え、地域内で回るはずのお金が違う所へ回ってしまい、結局大手チェーンだけが潤っているという状況が問題になっている。

商品の品揃えなどは大手チェーンにはかなわないかもしれないが、地元のショップには地元のショップの良さがある。その良さを見直してローカルのショップを応援しようという動きが活発になってきている。

Strolbyが地域そのものをサポートするサイトとして成長を続けているのは、そんな世の中の動きからも自然な流れだといえるだろう。

ひとつひとつのショップが別々のサイトで商品を販売するのではなく、ひとつのサイトに商品をまとめ地域ごとにショップをまとめて紹介することで、ユーザーにとってもショップにとってもメリットをもたらしているのだ。

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