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訪日外国人1000万人達成!なんて浮かれていたら、あっという間に足元をすくわれる

昨年実績で訪日外国人1000万人を達成した我が国の国際観光産業は、2020年のオリンピック誘致の成功もあって、とにかく意気揚々といったところです。しかし正直、この調子で浮かれていると、近いうちに思わぬ形で足をすくわれる事になるでしょう。

昨年、1000万人の訪日外国人が達成されたのには大きく3つの要因が存在しています。

1)ここのところ続く円安傾向で、外国人にとっての相対的な観光コストが下がっていること
2)LCCの本格的なスタートにより、外国人にとっての日本への到達コストが下がっていること
3)訪日ビザの免除により、特に東南アジア諸国の人々が日本に来やすくなったこと

このうち最も影響が大きいのが1)の円安。国際観光産業は一種の輸出産業であり、円安になれば相対的な価格競争力が上がり、当然ながら外に向けてたくさん売り易くなります。しかし、為替なんてのはミズモノであって、政府の施策によってあっという間にトレンドが変わるもの。いつ、またモノが売れない時代が来てもおかしくありません。

一方で我が国におけるLCCの本格的な立ち上がりに関して、今のところポジティブな影響として捕えられていますが、これは必ずしも良い影響だけではないのですよ。多くの人が認識していないですが、外国人にとって「日本に来やすくなった」という事は、同時に外国人にとって「日本から出やすくなった」と同義であるということを忘れてはなりません。

我が国では、成田から入国し「関東→箱根→富士山→関西」と巡るルートが外国人観光客にとっての定番のゴールデンルートとされてきました。しかし、このような構図はLCCの台頭によって徐々に変わってくるでしょう。なんせ今、LCCを利用した東京=ソウル間の移動は1万2千円程度、2時間半もあれば到達できますからね。東京から関西方面に新幹線で移動するのと、時間的にもコスト的にもほぼ変わりません。LCCの登場によってお隣の国がここまで安く・近くなってしまえば、近いうちに日本の各都市が外国人観光客を巡って、韓国と直接競合し始めます。

逆に、我々が海外旅行をする時の事をイメージして貰えれば判りやすいのですが、例えばヨーロッパなど隣国との国境を超えることが容易な地域を訪れた場合、皆さんは一国に長期滞在しますか? それとも複数カ国の周遊観光をしますか? 同じような選択肢が、例えば東南アジアや、それよりも更に遠くから日本を訪問する観光客に生まれつつあるワケで、実体としてそういう二つの選択肢を与えられた場合、多くの観光客は複数カ国の周遊観光を選びます。

こういう事を主張すると、「我が国の歴史文化と自然環境は韓国と比べ物にならない。かの国に負けるワケがない」などという反論が来るのは容易に想像できるのですが、その慢心が私としては一番恐ろしいのですよ。我が国の歴史文化と自然環境が、韓国のそれと比べて遥かに豊かであることは私も同意します。しかし、これは私がいつも主張している事ですが、その種の観光資源は観光客を引き付けるための誘因力になったとしても、「お金」にはなりにくいんですよ。歴史や自然がいかに魅力的な観光資源であったとしても、観光消費というのは依然としてショッピングやグルメなど、周辺消費から生まれるものだということはキッチリと認識しなおす必要があります。

一方、地政学的に中国、日本という強大な観光資源を持つ国に挟まれながら存在してきた韓国は、己の観光資源が隣国にかなわない事は100も承知です。彼らが観光資源として売っているものはグルメ、ショッピング、美容、エンターテイメントなど、非常にわかりやすくお金に直結する観光資源。彼らは「持たざる」者として、的確に「売れる商品」、「儲かる商品」に特化した観光戦略を取ってきていて、今やそれが彼らの強みにすらなっている。

我が国がもし、このまま豊かな歴史文化と自然環境に「甘えた」観光政策を取り続けるのならば、近いうちに多くの国際観光客は歴史や自然を日本で満喫し、ショッピング、美容、エンタメを韓国で楽しむという観光スタイルに移行します。そうなった場合、外国人の観光消費を謳歌するのは韓国であり、損をするのは歴史や自然などの儲からない観光資源に「ただ乗り」をされる日本側となります。正味な話、韓国側は虎視眈眈と狙ってますよ、そういう状況を。

私が日本の観光政策において、もっと「消費」を意識した政策が必要であると訴え続けているのは、そのような急速な競争環境の変化が前提にあるが故。我が国の観光政策は、早急に転換を図る必要があるのです。

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