- 2014年07月16日 05:00
まずは課題の調査から。そのための資金を提供します:「あいちの課題深掘りファンド」に共感する
とても地味ながらすばらしい取り組みですね、これ。
公益財団法人 あいちコミュニティ財団 | 「あいちの課題深掘りファンド」2014年度助成先募集
課題を深掘りするための資金を提供します
画像を見る社会問題に対して取り組んでいく際には、事前のリサーチがたいへん重要になってきます。少子高齢化でも介護でもうつ病でも環境問題でも何でもいいんですが、「こんな解決策できるんじゃね?」と思っていざ取り組み始めてみたら、まったく想定外のニーズが見えてきた、なんてケースは多々あります。
場合によっては、これって時間の無駄になっちゃうんですよね。リーンスタートアップの文脈でも語られていますが、まずはリサーチをして、ニーズをよく検証してから事業化を進めるべきです。
…が、社会問題の解決というのは基本的にお金にならないことが多いので、初期のリサーチにコストを掛けにくいのです。たとえば高知県は犬猫の殺処分件数が多いんですが、その課題が「なぜそうなのか」をリサーチするのは、どうしてもお金が掛かるのです。
現在、日本では犬猫合わせて年間に約16万頭が殺処分されている。全国の都道府県と同様に、高知県の殺処分数も減少傾向にあるが、猫の殺処分数は2012年まで10年連続「人口比で全国ワースト」を記録。2012年度は3487頭が処分された。
最近はクラウドファンディングで調査費用を賄う、というケースも増えてきていますね。
- 「就活自殺」増加の背景に迫る「就職活動に関わる意識調査」(清水康之) - READYFOR?
- 3年で辞めた若者100人インタビュー 早期離職白書 (Yoichiro Inoue) - READYFOR?
- 若年無業者白書-その実態と社会経済構造分析-(工藤啓) - READYFOR?
クラウドファンディングは合理的な選択肢になりえますが、それなりに手間が掛かるので万人向けではない気がしています。調査の内容によっては寄付を集めるのも難しいでしょうし。
そういう背景があるなか、「あいちコミュニティ財団」が課題を深掘りするための助成金を提供しはじめました。これ、すばらしい着眼点ですね。
1.「あいちの課題深掘りファンド」とは?
「あいちの課題深掘りファンド」とは、市民公益活動団体(NPO)が解決に挑む地域や社会の課題を深く追求する(深掘りする)ことで、その課題の緊急性や重要性を巻き込みたい対象者に伝えられるようになることを目指して設置しました。あいちコミュニティ財団と助成先のNPOが一緒になって「解決に挑む地域の課題」と「解決策の先行事例」を可視化するプログラムです。
公益財団法人 あいちコミュニティ財団 | 「あいちの課題深掘りファンド」2014年度助成先募集
一件あたりの助成額は最大10万円。加えて、公務員や「ブラザー工業」の従業員の方々がボランティアでリサーチに関わってくれるとのこと。たいへん地味ながら、こういう取り組みをしっかり助成しているのはさすがですね。
すでに採択事業は決まっておりまして、以下の三つの調査がこれから進められていきます。
1. 愛知の視覚障がい者の職業実態調査事業
2. 外国にルーツのある子ども(外国人児童生徒)の発達障害に関する調査事業
3. 高齢者の暮らしのニーズとリズムの深掘り調査事業
「外国人児童生徒の発達障害」というのはかなりニッチなテーマですね。類似の調査はほとんど行われていなそうなので、社会的意義も高いと思われます。
一度NPOなどに関わったことがある方はおわかりだと思いますが、社会問題というのは一般的に十分にリサーチされていません。ぼくがビッグイシュー・オンラインで関わっているホームレス問題ひとつとっても、色々明らかになっていないことがあるんですよねぇ(ホームレスは本当に減っているのか、女性ホームレスの実態、地方におけるホームレスの実態、LGBTとホームレスなどなど)。
「社会問題の調査」というのはかなりマニアックな助成ですが、こうした支援が増えていけば、社会問題の解決も加速していくと思われます。あいちコミュニティ財団に続く助成財団がバンバン現れることを期待します。
- Hayato Ikeda
- プロブロガー



