- 2014年07月15日 07:00
カレー、チンして食べたら治りました――スプリング・躁鬱・スーサイド! / 坂口恭平×末井昭×向谷地宣明
5/7明日のほうがダメになるって誰も思わないんですよね。でも、その右肩上がりっていうのを止めてくれるのが病気なわけですよね。
向谷地 そうですね。アラームのように。
末井 アラームが鳴るように病気になるんですね。幻聴が聞こえ出したり、気持ちが沈んだり。
坂口 右肩上がりって気持ち悪いですよね。「俺は右肩上がりだぞ」って歩いている人多いですが、右上がりの時は、ちょこっと戻さないといけない。
末井 電車に乗るとすごいんですよね。僕もあんまり最近満員電車に乗らなくなったんですけど、すごい顔してますよ、みんな。朝なんか睨まれちゃう、女の人に。別に痴漢しようと思ってこう触れているわけじゃないんだけど、後ろから押されると、どうしても身体がくっついちゃったりするんで。「すいません」って感じでいるんだけど、向こうはギッとこう睨み返して。
まぁ、顔がちょっと痴漢に見えたのかもしれないけど。なんかそういうこと毎日、みんなやってるのって大変だなっていう。あそこでもうくたびれちゃう感じありますよね。
向谷地 べてるでは、ありのままを大事にしています。自分にそぐわない頑張り方をすると、やはり無理が出てくるんです。たとえば、患者さんの早坂潔さんは、嘘をつくと具合が悪くなるんですよ。
たとえば、彼はパチンコが好きなんです。「潔さん、最近パチンコ行ってるらしいね」って声をかけられて、負けてるのに「勝ってる」って見栄をはってしまったとします。そうしたら入院するんですよ。我々は「パチンコ入院」って言ってるんですけどね(笑)。
末井 嘘ついたら身体調子悪くなるって、いいですね。僕は平気で嘘ついたりしてた時期があるんですけど、嘘つくと気持ちが沈んで元気がなくなるんです。会社にいたときなんか、みんなの前で心にもないことなんか言ったりすると、とたんに元気がなくなって、声も小さくなってくるんです。
嘘つくと、自分の中に罪悪感みたいないや~なものが残ってきて気持ちが悪くなるんです。ホント、嘘つかない生活っていうのはいいなぁって、あこがれてたんですけどね。まぁ、結婚してるのに愛人がいたり、なんやかんやで、そんなこと妻に言えないですからね。すごいつらかったんですけど。今は嘘つかないからもう晴れ晴れして。
脳の誤作動
向谷地 これまでに、鬱病と診断されたこともあると伺いましたが。
末井 はい。何ヵ月も会社休んだこともあるんです。もともと僕は、慢性的にちょっと鬱じゃないかなと思うんですけど。でも、そんなに落ち込むってことはなくて、軽い鬱状態が続いている感じですね。
『自殺』に書いてるんですけど、一時期ホントに自分がなんにも能力がないみたいな気持ちになって。いまの奥さんと一緒に住み始めたころに、奥さんに責められ続けてた毎日があるんですけど、それで自己嫌悪になってしまって。ギャンブルばっかりやって、嘘ばっかりついて、お金を人にバンバン貸して、みたいな。
そういう僕を見て、すごい不安になったんだと思うんですよ。それで、「末井さんは人にいい顔したいだけなんじゃないの」とか、「大切にしたいものがないんじゃないか」とか、「もとの奥さんのところに帰ったらいいんじゃないか」と決定的なことも言われて、すごい落ち込んで、じゃぁ自分は何をすればいいのかみたいなことで悩んで、泣きながらオロオロ近所を歩き回ったりしていた時期があって、そのころノートに書いていた日記みたいなのが残っているんです。それが、坂口さんが鬱日記で書いていたこととすごく似てるんですよ。
坂口 (笑)。
向谷地 『坂口恭平躁鬱日記』を読んでいると、躁の時はイメージ優位な感じがありますが、鬱の時は言葉優位というか、イメージの跳ねが無くなっていますよね。



