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カレー、チンして食べたら治りました――スプリング・躁鬱・スーサイド! / 坂口恭平×末井昭×向谷地宣明

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いまここに自殺する人がいると想定して、その人に話しかけるみたいな気持ちで書いていたから、両方ともすごい嬉しい。嬉しいお言葉だと思いました。

向谷地 執筆のきっかけはなんでしょうか。

末井 きっかけは頼まれたからですね(笑)。まえがきに書いたんですけど、最初はすごくイヤだったんですよ、自殺について書くっていうのは。なんか、書いても楽しくないだろうなと。あと、僕は自殺についての知識が、自殺に関するデータのこととか、そういうのが全然なかったんで、じゃ、何書いたらいいのかなっていうのがあって。

しばらく書くような書かないような、あいまいな状態で、担当編集者の方と打ち合わせを2ヵ月に1回ぐらいやってたんです。それが1年ほど続いて、だんだんひょっとしたら書けるかな、みたいな気持ちになってきて。それで、3.11が後押しになって書き始めたっていう。ちょっと時間がかかっちゃったですね。

向谷地 『自殺』を書く前と書いた後で、自殺に対して思うことは変化しましたか。

末井 こうしてトークイベントとかやっていると、いろいろ教えられることがあって、少しずつ変化してますね。あの、変な言い方だけど、自殺する人っていうのは、命がけなんですよね。

向谷地 そうですね。文字通り「命がけ」ですね。

末井 自分が果たして、じゃあ命がけでなにかやったことあるのかって、反省じゃないけど、自問するわけですよ。そうすると、僕はちょっといい加減で、ダラダラ生きている人間だなぁと思って。ホントに命をかけて何かをしたかっていうことはないんで、どんどん、その、自殺する人に対してコンプレックスを持つっていうのはありますね。最初っから、自殺する人にはかなわないって思ってましたから。そういう気持ちがどんどん強くなってるっていうのはありますね。

向谷地 書いたことによって、「自殺する人、すごいなぁ」と敬うような感覚になったのでしょうか。

末井 かなわないっていう感じですよね。あと、自殺する人が好きというか、いとおしい気持ちもありますね。

向谷地 これを読んでいて、自殺について語るのが前向きになりました。自殺も精神疾患も、社会にあるはずなのに、見て見ぬふりされていますよね。このトークライブでは、それをあえて見る趣旨があるかもしれませんね。

末井 だいたい自殺する人のことを負け組だとか脱落者として見ますよね。見るんじゃなくて、意識の中でそう決めて、見ないようにするんだと思うんですけど。その人のなかに、自分もひょっとしたら、みたいなところもあるかもしれないし、それで自殺ということが禁句みたいになるんですけど、どんどん話すことで気持ちも楽になるし、解決策も見えてきたりしますよね。

向谷地 なんかこう、語られていない言葉がいっぱいある。

右肩下がり

末井 向谷地さんは、べてるの家で、ずっと育ったわけですよね。

向谷地 はい。

末井 べてるの家って、みなさんご存知かどうかわからないですけど、僕が知ったのも今年になってからなんですよ。医学書院の『べてるの家の「非」援助論』っていう本を読んでからなんです。それを読んでビックリしましたね。べてるの家って北海道の浦河町にあるんですけど、そこでいろんな精神病の方々が生き生きと暮らしているんです。

言葉として覚えているのは、右肩下がり。右肩上がりってみんな思ってますよね。学校で一生懸命勉強するのも、一流企業に就職するのも、みんな今日より明日のほうがよくなると思ってるわけですよ。明日の自分が今日より素晴らしくなってると。経済なんかも、みんなそういう考えですよね、明日のほうがもっと景気がよくなるとか。

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