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【ガザ発】 一瞬にして19人の命は奪われた

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少女はガレキの上を裸足で歩いていた。裸足の子供は珍しくない。=14日、ガザ市ザイトゥーン地区 写真:筆者=

 鼓膜を突き破るような金属音が突然、耳元で響いた。子どもたちは拍手でたたえる。ハマスのロケット弾がイスラエルに向けて飛んだのである。

 青い煙が立ち込めていた。発射基地があるのだ。通訳を務めてくれている友人に「テーク・フォト・オーケー?(写真を撮っていいか?)」と聞いた。

 友人は「そんなことしたら(ハマスに)殺されるぞ」と怒った。

 ガザ東部のザイトゥーン地区は、ハマス軍事部門「カッサム旅団」の訓練キャンプがあることから、イスラエル軍の標的になっている。

 エスマイルさん(64歳)宅周辺は今回の空爆が始まって以来3回も爆弾を投下された。家は部屋の中までコンクリート瓦礫が散乱している。

 「ノーサインだった」。エスマイルさんによれば、イスラエルによる事前通告はなかったという。

 エスマイルさんの悲劇は、ハマスよりも過激とされる「イスラム聖戦」の幹部が隣に住んでいたことだった。幹部は逃げて無事だった。何とも皮肉である。

 「ハマスもイスラエル軍も嫌いだ」。エスマイルさんは顔をしかめた。

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ガレキの下に埋もれなかった13人は遺体が収容され、質素に埋葬された。=14日、アル・シジャーイヤ地区 写真:筆者=

 ザイトゥーン地区の東に隣接するアル・シジャーイヤ地区を訪ねた。

 同地区はイスラエルとのボーダーだ。当然イスラエルは“自衛”のため、アル・シジャーイヤ地区への攻撃を強化する。

 11日夜、同地区の住宅密集地にイスラエル軍の空爆があった。一瞬にして19人(乳児1人含む)の命が奪われた。うち6人はいまだに瓦礫の下だ。妊娠6か月の女性と乳児も埋もれたままだ。

 攻撃対象となった家屋は、ハマスとは何の関係もない。

 着弾時、外で食事をしていたために難を免れた少年(14歳)が現場に戻ると、肉片が飛び散っていたという。

 23歳の青年は「アラーの神のいる天国だけを望む。この世には何もない」と話す。淡々とした口調に絶望を感じさせた。

 ボーダー沿いの敵対民族を正確な情報もなく叩くイスラエル。過剰防衛は悲劇を生むだけだ。

 ◇

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