- 2014年07月09日 18:55
「自然エネルギー自給率100%」目標
「自然エネルギー自給率100%」を目標に自然エネルギーを活用したまちづくりを行っている環境モデル都市 ゆすはら町を視察致しました。
ゆすはら町は、全国に先駆けて再生可能エネルギー導入をはじめとするCo2の排出を抑えた環境配慮の各種取組を行ってきた町の一つであり、2012年時点での自給率が28,5%から2050年を目途に100%を実現に向けて取り組みを進めていかれるということです。
今回は、そうしたゆすはら町の取組の経緯や内容について小水力・風力・太陽光・バイオマス発電や地中熱エネルギーの活用等の話を伺って参りました。
私のエネルギーに関する見解を申し上げれば、私たちの現状は、「原子力発電に頼るか頼らないかの時代」ではなく、「原子力発電に頼れない時代」であるとの明確な認識をもち、その覚悟の上に再生可能エネルギーや先端技術の活用などエネルギーの新たなベストミックスモデルを構築することによる新しい時代づくりをはじめる勇気が試されていると思います。
原子力発電所はひと言でいえば、まだ実用可能段階でなかったということなのだと思います。たとえば将来、次世代型の原子力発電所として、核燃料サイクル問題の解消や安心安全が確保された上でビル・ゲイツと東芝が開発しているような進行波炉などが利用可能段階になった時点での使用可能性を否定するものではありませんが、現状のように核燃料サイクルもままならない状況下ではとても今後利用できるものではありません。
こうした状況から、今まで原子力発電所に依存した形での経済・産業構造を作って雇用を創出してきた現状を踏まえて、極端な反原発や推進路線ではなく、しっかりとした産業構造の転換を踏まえた地域経済・雇用な担保させるモデルを確立するため、新たな技術革新を行い、自然エネルギーの普及・創エネ・省エネ・蓄エネの革新、小規模分散型モデルの導入拡大・水素E・シエールガス・メタンハイドレートなど新たなエネルギーの研究など、さまざまなエネルギーのベストミックスモデルの構築における2030年代、原発ゼロを目指した中期的なロードマップを具体的に描いていくのがベストであると考えております。
先日、私は福島第二原子力発電所を視察してまいりました。
福島第1原発半径20キロ圏内の立ち入り禁止区域の状態を見た時に、そこに住んでいる人たちが何十年もの年月と労力そして何億円・何兆円資金をかけて作りあげてきた道路・建物・ガードレール・文化・伝統が一瞬にして失われてしまったという現実を見たとき、私はこれがもし日本の中心部である東京・神奈川まで事故の被害が及んでいたとしたら・・・と背筋が凍るような思いをしました。
私も原発事故時の首相の元秘書という立場から今回”たまたま”被害が大きく拡がらなかっただけで、一歩違えば東日本の国土がほとんど使用不能になってしまったかもしれない重大な事故であったということを痛感しておりますし、現政権が「エネルギー基本計画」の案の中で、原子力発電所を「重要なベース(基幹)電源である」と位置付けたことは、私の個人的な見解で言えば、反対です。
現在を生きる世代の損得だけで、将来世代の未来を奪うことは許されないことであります。私たちは福島原発事故を教訓とし、子どもたちの未来への責任を果たすべく、あらゆる知見を集めて原発に頼らない社会の構築に向けた取り組みを始めなければなりません。
これらを実現するためにも、今回のゆすはら町での視察内容を教訓に神奈川県再生可能エネルギーの導入等の促進に関する条例にて掲げられているかながわスマートエネルギー計画を着実に前に進め、本県が全国のロールモデルになれるような安心・安全なエネルギーの未来モデルを構築して参ります。
【※抜粋】
環境モデル都市ゆすはら
~自然エネルギーによるまちづくり~
http://www.chiiki-dukuri-hyakka.or.jp/1_all/jirei/2014_energy/feature/kochi.html
高知県梼原町の概要
梼原町は、高知県の北西部、愛媛県との県境に位置し、四万十川の渓谷と急峻な山々に囲まれ、標高220mから1,455mまでの地点を有する高低差が大きい町である。面積の91%を森林が占め、日本三大カルストの一つである四国カルストに抱かれた自然豊かな町であり、「雲の上のまち」という愛称でも親しまれている。平成21年には国の環境モデル都市に認定されており、「エネルギー自給率100%」を目指して、町内では風力発電をはじめ様々な取組が行われている。
取組のきっかけ
梼原町は、全国に先駆けて再生可能エネルギー導入をはじめとする環境に配慮した各種取組を行ってきた町の一つである。今回、町の取組の経緯や内容について、梼原町環境整備課の久岡主幹及び那須主事に話を伺った。
(1)共生と循環の思想と絆
梼原町で早くから環境に配慮した取組が進められた特筆すべき背景として、梼原町の地域性が挙げられるという。梼原町は、913年(平安時代)に藤原氏の末裔と伝えられている津野経高によって開かれたと言われており、歴史や文化、先代から受け継いできた森などの自然環境を誇りとする気風に溢れた町である。そして梼原町は、まちづくりの基本理念としても「共生と循環の思想と絆」を掲げ、これまで先人たちが培ってきた自然を大切に活かし共生していく町を目指している
(2)風をおこし町をおこす
このように昔から自然との共生を目指してきた梼原町では、平成7年頃、自然環境の保全と活用を考えていく中で、地域資源を活用した町内でのエネルギー循環を目指し始めた。そして、「雲の上のまち」にふさわしい風を活かした風力発電に着目し、「風をおこし町をおこす」というスローガンの下、四国カルストに風力発電設備を設置することを決め、通商産業省(当時)や独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の補助を得て、約4億5千万円を投じて風力発電設備を2基建設し、町営で平成11年11月より風力による発電を行っている。
(3)新エネルギービジョン・総合振興計画
この動きと並行して、梼原町は平成10年度に新エネルギービジョンを策定し、「風」の他にも、「森」、「光」、及び「水」等の自然のエネルギーを活用した環境にやさしいまちづくりを進めることとした。
また、第5次梼原町総合振興計画(平成13~22年度)策定の際には、策定委員会委員が町内より公募され、委員として選ばれた18歳から74歳までの町民15名より、同計画のテーマの一つとして「環境」が提案され、計画に盛り込まれた。なお、町は計画策定後、環境先進国と言われるドイツ及びスイスへ同委員会委員を視察派遣するなど、町民の環境保全意識の向上にも努めてきた。
取組内容と実施成果
四国カルストで雄大に回る風車 梼原町で実施されている再生可能エネルギーや環境保全に関する様々な取組の一部について、以下、紹介する。
(1)風車と風ぐるま基金
梼原町では、四国カルストの標高約1,300mの地点に600kWの風車が2基設置され、年間平均風速7.2mという風況が良い場所で雄大に回り発電されている。年間の平均発電量は約3,000MWhで平成23年度までは売電収入の年間平均額は約3,500万円であったが、東日本大震災及び福島第一原発の事故を契機に「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」が成立したことを受けて、平成24年11月に売電単価が11.5円から17.83円に上がり、平成24年度は風況が良い日が多かったことと相俟って売電収入は約5,100万円に上った。なお、平成25年度からは平均で約6,000万円の売電収入が見込まれるとのことである。
この収入については、修繕費(年間平均額約1,500万円)等の支出を差し引いた分を平成13年度から環境基金「風ぐるま基金」として積み立て、新エネルギー等活用施設、及び森づくりの助成等に毎年必要に応じて取り崩しながら活用している。基金の残高は平成24年度は34,625千円で、平成25年度については51,854千円が見込まれている。
①新エネルギー等活用施設への助成
風ぐるま基金は、平成13年4月に施行された「檮原町新エネルギー等活用施設設置に関する条例」に基付く太陽光発電施設(ソーラーパネル)や太陽熱温水器、ペレットストーブ、エコ給湯、複層ガラス等の設置に対する補助金交付に活用されている。基金を活用することで、ソーラーパネルについては、1kWあたり20万円(上限4kW、80万円)と全国自治体で最高額の補助金となっている。この結果、町内では平成24年度末現在で114軒、全世帯の約6.4%がソーラーパネルを設置しており、設置割合についても全国でトップクラスを誇っている。
②森づくりの助成
梼原町は既述のとおり面積の91%を森林が占める町である。そのうち3割が国有林で、残り7割の民有林については、明治時代に、自主財源を増やすことで町民の税金をなくそうという「不要公課村構想」のもと、造林を積極的に展開したことから、豊かな森林が造成されたものの、間伐が必要不可欠な状態となってしまった。そこで町は、平成13年度に、風ぐるま基金の一部を活用し、間伐を行った森林所有者には1haあたり10万円を交付する制度を創設し、間伐を促進することとした。この制度の創設後、10年間で6,409haの間伐が進み、森林や水資源の保全に大きく寄与している。同時に、地域林業の活性化や町民の環境意識の高揚にも貢献している。また、この間伐材は次に述べるペレット製造にも活用されている。
運び込まれた間伐材等(2)木質バイオマスの製造と活用
①ゆすはらペレット工場
梼原町では、森林資源の有効活用と脱化石燃料を目的とし、間伐材や製材の端材、端コロと呼ばれる林地残材等をペレット化する工場を設置している。平成20年度に農林水産省の地域バイオマス利活用交付金事業として町が約2億5千万円を投じて建設したもので、工場の運営管理は第三セクターのゆすはらペレット株式会社が行っている。人件費を抑えるために、機械設備は1名で制御可能な設計を採用しており、乾燥には規格外のペレットが燃料として利用されるなど、効率的な工場となっている。
原料については、ゆすはらペレット株式会社が町から補助金を得て山林所有者から4,000円/tで買い取っている。なお、平成24年度からは山林所有者からの要望に応え、町は搬出助成として、2,400円/m³も買取の際に上乗せして補助金を交付することとしている。
②ペレットの活用
町では製造したペレットの活用を促進するため、町内施設に木質ペレットを燃料とする設備の導入を積極的に行っている。具体的には、教育施設や宿泊施設等に木質ペレット焚冷暖房機や給湯器、木質ペレットストーブの設置を進めてきた。町で製造したペレットの3分の1はこれらの施設で消費されており、残りについては高知県内の100km圏内の民間企業等へ販売されている。
街灯(小水力発電)(3)小水力発電で中学校へ電力供給
梼原町は町を流れる梼原川(四万十川に通じる支流)の水を利用し、小水力発電も行っている。この小水力発電は平成21年に町が国土交通省のまちづくり交付金事業の補助を得て2億円を投じ設置したもので、有効落差約6mを利用して最大出力53kWの発電が行われている。この小水力発電は発生した電気の利用方法が特徴的で、昼間は町立の小中一貫教育校「梼原学園」の中学校施設に供給され、これにより施設の使用電力の約90%が賄われている。夜間は、供給先が自動的に切り替わり、街の中心道路の街路灯82基を灯すエネルギーとして活用されている。また、主に休日の日中等に発生する余剰電力については四国電力に売っている。
発電量は年間平均約280MWhで、四国電力への売電収入は平成24年10月までは約126万円であったが、年間の維持管理費約150万円かかるため、経費面で運営が厳しい状態であったが、発電の仕組みが住民に見えて環境学習効果が高いという点で一定の評価がなされていた。なお、平成24年11月から買取単価が34.0円/kWとなったため、必要経費分について賄っていくことができると期待されている。
(4)梼原町総合庁舎における試み
梼原町は平成18年に建て替えた新庁舎にも、環境にやさしい仕組みを多く取り入れている。庁舎の屋根には、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)より総事業費(約1億3,600万円)の約1/2の補助金を得て、発電量80kWの屋根一体型のソーラーパネルを設置しており、発生した電気により、庁舎のエネルギーの約90%を賄っている。
また、環境省の環境と経済の好循環のまちモデル事業も活用し、総事業費(約5,500万円)の2/3の補助を得て、各種省エネ機器を導入している。屋根では、太陽熱も利用し、集めた熱を屋根と天井に設けられた隙間に外気を通すことで、冬季の空調機(暖房)の負荷軽減を図っている。空調機の負荷軽減については、
地中熱も活用しており、壁面に設けられた外気取入口から取り込まれる空気を、温度変化の少ない地下部分(クールヒートチューブ)を経由させ、予熱・予冷させた後に空調機に取り入れている。これらにより、空調エネルギーの利用削減が図られている。なお、空調機は深夜電力を利用する氷蓄熱ヒートポンプ空調システムを採用している。
その他にも、梼原産の木材を建物の外装・内装に使用しているなど、省エネやリサイクル性能等の点で環境負荷の少ない設計となっている。これらは高く評価され、環境評価基準CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)において最上位ランクのSランクの認定を受けている。
今後の課題と展望
梼原町総合庁舎外観
梼原町総合庁舎の省エネルギー設備(1)環境モデル都市として
梼原町では、再生可能エネルギーの導入を含め、多岐にわたる環境保全に関する取組を実施してきた。平成21年1月には、低炭素社会づくりの実現に向けた取組に関する提案書が高く評価され、国から「環境モデル都市」として認定され、現在も目標に向かって各種プロジェクトを進めているところである。
環境モデル都市として、低炭素社会の実現に向けて町民との絆を強める公民協働の仕組みづくりにより“生きものに優しい低炭素なまちづくり”を目指すこととしており、具体的には1990年を基準として2050年までに、温室効果ガスの排出量を70%削減し、吸収量を4.3倍増やすこと、及びエネルギー自給率を100%にすることを目標に掲げている。
上記の目標達成に向け、町では、①木質バイオマス地域循環モデル事業プロジェクト(木質ペレットの生産・利用、協働による森林づくり事業の展開等)、②CO2森林吸収プロジェクト(持続的な森林経営の実現等)、③CO2削減プロジェクト(再生可能エネルギーの導入促進等)、④人・仕組みづくりプロジェクト(森林セラピー等の環境産業の推進等)の4つのプロジェクトを進めている。「CO2削減プロジェクト」については、2050年までに、家庭用太陽光発電導入500戸、家庭用エコ給湯器導入200戸、家庭用ペレット焚きストーブ導入280戸等を計画として定めている。
梼原町環境整備課 久岡主幹(右)、那須主事(左)(2)今後の展望
今後について久岡主幹は、目標を設定したからその達成を目指すというのではなく、町の現状をしっかり勘案し、また、国のエネルギー政策の動向も注視しつつ、2050年の目標に向かって事業を進めていきたいと語ってくれた。エネルギー自給率については、平成24年度末現在で28.5%となっており、その数字は目標に向けて着実に向上している。
また、平成24年7月には梼原町を含む四万十川流域の5市町が、四万十川流域の自然や環境を守り、生活、文化等を構成に伝えていくために、再生可能エネルギーへの転換を進めていく旨、「四万十川アピール」として表明しており、再生可能エネルギーへの取組が梼原町を含む、四万十川流域全体で進められると見込まれる。
環境モデル都市として、再生可能エネルギーの導入や利活用をはじめとする梼原町の環境保全への取組に今後も期待したい。
- 中谷 一馬(Kazuma Nakatani)
- 衆・立憲/党青年局長



