- 2014年07月09日 12:07
「戦争」を軽く見てはいけない - 水島さつき
安倍内閣が解釈改憲によって、集団的自衛権の閣議決定をしてからはや1週間。安倍首相は早々とオーストラリアを訪問し、首脳会談を持ち、防衛装備の共同開発を進めるための新たな協定に署名。集団的自衛権容認への支持もしっかりアピールしました。スピーディで「積極的」な安倍首相のこうした行動が、国民にとって「頼もしく」うつるのか、それとも「危ない」と見えるのかは、来週早々に発表される、世論調査の結果などからもわかることでしょう。
先日、来日中の国際ジャーナリスト、重信メイさんにお話を聞く機会を得ました。重信さんは、レバノン・ベイルート生まれ。いつも「戦争」が身近にあり、自分の身を守るため、いざという時には銃をとる。そんな厳しい環境で生まれ育ちました。
「中立的で平和主義の日本と日本人のことを、アラブの人たちはみんな尊敬している。このイメージを捨て去ることは、日本にとって大きな損失。アメリカは世界各地の戦争、紛争に参加し続けたけれど、その結果が9・11のNY同時多発テロ事件でした。戦争に参加するということは、自分たちに敵対する気持ちを持つ相手をつくるということだから、それは必ずいつかブーメランのように自分たちのところに戻ってきてしまうんじゃないでしょうか」
たぶん3年前なら、同じ話を聞いてもこれほど焦燥感にとらわれることはなかったのでは、と思わされました。「日本が戦争に巻き込まれることは断じてない」と安倍首相は言います。彼の言葉を私も信じたいのですが、「戦争に関与するということを、軽く見ちゃいけない」。そう語る重信さんの言葉の方が、はるかにリアリティを持って聞こえてくるのです。
理屈ではない、しかしこの肌感覚を共有していくことも、大事なのではないか、そんなことを感じた重信メイさんのインタビューでした。