- 2014年07月10日 09:00
東方とヤンキーと“よさこい”
私は2010年ぐらいまで東方シリーズを遊んでいて、BGMをiPodに入れるぐらいには好きだった。バランスの整った弾幕シューティングゲームを自宅PCで遊べるのも嬉しかったし、BGMや背景、弾幕ゲシュタルトもそれなり気に入っていた。
それでも、なにかが引っ掛かって東方シリーズの世界観に埋没しきれなかった。全体としては好きなんだけれど、私が嫌いなもの、私とは相容れないものが宿っていると感じていた。それが何なのか表現できないまま、5年間ほど経ってしまったけれど、最近、ある人にヒントを頂いて、その答えがわかったような気がする。
「東方は意外とヤンキーっぽい。」
何が引っ掛かっていたのか、その一言でわかった。そうだ、東方シリーズには、ヤンキー文化圏の(記号の)匂いがしていたのだ。
同じシューティングゲームでも、『グラディウス』『ダライアス』シリーズには、ヤンキー文化圏の匂いなど全く感じない。『バトルガレッガ』もそうだし『虫姫さま』『トラブルウィッチーズ』もそうだ。音楽はもとより、弾幕にすら、ヤンキー的な匂いが感じられない。
ところが東方シリーズには、どことなくヤンキー文化圏の匂いが漂っている。BGMのメロディライン、楽器の使い方(特にピアノ!)、弾幕表現にすらヤンキー的な何かが籠もっている。「弾幕のどこがヤンキー的?バカな事言ってるんじゃねぇ」と言う人もいるだろう。でも、例えばケイブやモスの弾幕と比べてみればいい。ビカビカしていて、マスゲームみたいで、ゲシュタルトが踊り狂って迫ってくるのは東方の弾幕だ*1。しかも、弾幕には凝った名前までついている。
ヤンキー的と言って語弊はあるなら、“よさこい”的と言い直したほうがいいだろうか。一糸乱れぬ統率された動きと、色彩感覚で訴えかけるあの感覚!背景の色彩感覚も、あれはトラディショナルなオタクだけを惹きつけるようなものではなく、もう少しヤンキー寄りの人でも惹き付けられる表現にみえる。
そういえば、東方のキャラクターのネームセンスも、オタク中二病的な漢字仮名遣いというより、ヤンキー的漢字仮名遣いだった。よしんば、あれをオタク中二病的漢字仮名遣いと認めたとしても、そのなかでは比較的ヤンキー的漢字仮名遣いに近い。ヤンキー的消費者でも咀嚼できなくもないというか。
たぶん私は、そのあたりが最初から引っ掛かっていたのだ。そして、私が引っ掛かっていたまさにそのヤンキー的テイストってやつが、東方シリーズの躍進の一助にもなったのかな、とも想像する。もちろん、それだけで東方がブレイクしたわけではないだろうけれど、純然たるオタクのほうだけを向いたデザインだったら、たぶん、ああはいかなかったのではないか?
東方がブレイクしていったゼロ年代は、オタク的なものとサブカル的なもの、オタク的なものとヤンキー的なものの境目が曖昧になっていき、区別が無意味になっていく途上段階だった。そうした融合と拡散が現在進行形だった時代に、二次創作性が高いだけでなく、オタク的な面持ちの裏側にヤンキー的な間口の広さを隠し持ったコンテンツとして東方が脚光を浴びたのは、幸運な巡り合わせだった、と思う*2。たぶん、ベストタイミングだったんじゃないのかな?もし、時機を見計らってデザイン&リリースとしたら、神主の慧眼恐るべし、である。
飽きてきたのでこのへんで。
とりあえず、引っかかっていたものを5年越しに言語化できたのは良かった。
- シロクマ(はてなid;p_shirokuma)
- オタク精神科医がメディアや社会についての分析を語る



