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日本の「ネイティブ広告」は、もっと真剣にネイティブにならないと読者にステマ広告扱いされてしまうんではなかろうか

ネイティブ広告というキーワードが、昨年から日本の広告業界でもかなり注目されるようになってきています。

個人的にも当然業界の片隅にいる人間として注目しているキーワードではあるんですが、どうも未だに自分の中での理解がしっくり来ません。
そんなこんなで先月にはFacebookでそんな悩みを書いてみたところ高広さん登場で丁寧に解説してもらい、ようやく自分の中で整理できたと思ったら。
その翌週には飲み会でWeb担の安田さんとネイティブ広告論になり、徳力の認識は間違ってると喝破される始末で、あいかわらず正直「ネイティブ広告」の定義には未だに自信が持てません。

ただ、そんなところに月曜日に公開された高広さんのコンテンツマーケティングのスライドを読んでいて、自分の中である程度整理できてきたことがあります。
(ちなみにこのスライドはコンテンツマーケティングを理解する上で、必読のスライドだと思いますので、マーケティングに関わる方は是非どうぞ)

それは「ネイティブ広告」というのは、

従来のいわゆる「マス広告」的な企業側が伝えたいことを一方的に伝えようとする手法が上手くいかなくなっているからこそ
読み手にとって有益な情報を企業側が作るというコンテンツマーケティングが重要な時代になり
そのコンテンツをスポンサードして読者の目に触れやすくするという新しい広告手法として注目されている、わけであって、

その根本を理解していないネイティブ広告はやっている手法だけネイティブ広告っぽくても、結局マス広告手法から抜け切れてないのノンネイティブ広告になってしまっているのでは無いかと言うことです。

先日外資系のネイティブ関連の事業をされている企業の方とお話しする機会があったのですが、その企業ではネイティブ広告枠はあくまで読者が読み物として認識しているエリアにスポンサードコンテンツを挿入する形になるので、記事形式以外の広告は断る、とはっきりおっしゃってました。
理由は簡単で、「読者にとって有益では無いから」、です。

ネイティブ広告とは、単純にバナー枠の役割がニュースフィードとか関連記事エリアに移動したという話では無く、読者にとっての「情報」が出るべき場所に企業が作った「情報」をお金をもらっているから優遇して表示するのであって、金を払えば何でも載せる場所では無いわけですよね。
新書の棚に並んでいるから読み物だと思って手に取ったらただのカタログだった、とかって読者ががっかりする行為でしか無いわけです。

ネイティブ広告が注目される一つのきっかけはFacebookのフィード広告だと思いますが、Facebookのフィード広告もあくまで誰でも投稿できてニュースフィードに表示されるフィード自体がお金を払えば表示される確率を上げられるという場所であって、金を払えばどんな画像でも掲載できるバナー広告枠ではありません。
そのため画像に占める文字の割合とか、通常のバナー広告的な画像になりすぎないように非常に厳しいルールになっています。

リンク先を見る

今までは「広告」と「情報(記事やコンテンツ)」というのは全く異なる場所にあり、組織も異なる、というのが従来のメディアの基本構造だったわけですが。
単純な広告では無く、読者や視聴者にとって有益な情報でないとなかなか届かなくなっているという現状において、情報を作ったけどなかなか簡単には多くの人に見てもらえないので、お金を払って見てもらう機会を増やしたいというのがネイティブ広告の基本構造にあるはずで。
あくまでネイティブ広告に掲載されるべきは「広告」では無く「情報」なんですよね。

「情報」の中に「情報」として「ネイティブ」に溶け込めるから「ネイティブ広告」なわけで、ネイティブ広告自体は従来の「広告メッセージ」では駄目なわけです。
(なんか自分でも書いてて哲学的で良く分からなくなってきますが)


で、そういう視点で考えてみるとちょっと不安に思うのは日本のネイティブ広告の現状。
丁度、昨日こんなジャストシステムさんが出したアンケート結果が出てました。

ネイティブ広告で騙された気分に? ジャストシステムがスマホ広告印象調査
リンク先を見る

ネイティブ広告をクリックしたことがある448人に対して「騙された気分になるか」を聞いたところ、4分の3を超える合計77.3%が「あてはまる」か「ややあてはまる」と回答してるそうなんですよね。
この記事のタイトルとアンケートの結果だけ聞くと、ネイティブ広告は、ある意味通常のバナー広告やSEM広告より印象が悪い広告に成り下がりかねない印象です。

もちろん、この手の数値はアンケートの聞き方次第で大きく変わりますし、まぁこう聞かれればこう答えるでしょ、というアンケートである印象も無くは無いですが。

実際スマホニュースアプリのスポンサード広告とか、記事なのかな?と思ってクリックしたらいきなりアプリのダウンロード画面に飛ばされる、というのが個人的にも実際に多い印象で。
こういう読者の期待と異なる導線になる広告がネイティブ広告の代表としてアンケート回答者に認識されれば、こういう結果になるのも当然という気は正直します。

極端な議論かもしれませんが、あまりそういう取りあえずクリックさせれば良いんだろ的なネイティブ広告が増えてしまうと、結局ネイティブ広告がバナー広告の劣化枠どころか、ステマ広告枠扱いされるようになるリスクも無いわけでは無いと思うんですよね。
ネイティブ広告枠が、リテラシーの低い人しかクリックしなくて、極端な話クリックすると馬鹿にされるような広告枠になってしまうと、それはもはやネイティブ広告の元々の理念から遠く離れた代物になってしまうんだと思います。


一方で昨日の日経デジタルマーケティングの記事によると、グノシーは広告出稿依頼が順調で逆に消化しきれないからインフィード型のアドネットワークに戦線を拡張する、というような話も出てきている模様。

グノシーがネイティブ広告ネットワーク参入、事業モデルを転換か
リンク先を見る

記事を読む限り、グノシーさん自身が自らをネイティブ広告ネットワークと名乗っているわけでは無いようですが。
広告出稿は非常に順調なようで、そういう意味では広告主側のニーズは高いと言うことだと思うので、早期にグノシーさんあたりが、音頭をとって日本のインフィード型の広告における読者にいやがられない広告のあり方みたいなものを確立してもらえると良いのではないかなと、思ったりします。

いや、7年前にAMNでブログの関連記事の中に企業ブログの記事を表示させるという、ネイティブ広告的な手法にチャレンジして失敗した人間の戯言ではあるんですが。
5年ぐらい前に「クチコミマーケティング」という皮を被って、ステマ系事業者が大量に出てきてしまった過去が日本にはあることを考えると、正直あまり笑い事じゃ無いんじゃ無いかなと思ったりもします。

せっかく出てきた新しいネイティブ広告という流れが、ジャストシステムさんのリサーチ結果に出てるような「騙されたと思う広告」になってしまうのは業界にとっても良くないと思うので、なにとぞよろしくお願いします。

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