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日本の議会ではよくあること

国会でも女性蔑視ヤジ「まず自分が産まないとダメだぞ」(朝日新聞)

 4月の衆院総務委員会で、日本維新の会の上西小百合(うえにしさゆり)議員(31)=比例近畿ブロック=が質問中、委員会室にいた男性議員から「まず自分が子どもを産まないとダメだぞ」というヤジを受けていたことがわかった。東京都議会で塩村文夏(あやか)都議(35)に対する女性蔑視のヤジが問題になったばかりだが、国会でも行われていた。

 朝日新聞が4月17日に行われた同委員会の映像データを確認したところ、上西氏が新藤義孝総務相に「一極集中を防げれば、過疎化も解消される」と質問している最中、男性議員がヤジを飛ばした。上西氏側によると、ヤジの前に「早く結婚して」という発言もあったという。周囲からは笑い声が起き、上西氏は「がんばります」と返した。その際、高木陽介総務委員長(公明)が「不規則な発言は注意してください」と制した。高木氏は「このヤジについては覚えていない。これまでも議事進行のために、不規則発言は注意してきた」と話している。

 先月は東京都議会でも女性議員に対するヤジがセクハラ云々と取り沙汰されたわけですが、その煽りで3ヶ月ばかり前の国会でのヤジが掘り起こされたようです。ヤジを飛ばした人は既に名乗り出て公開での謝罪ということになりましたけれど、まぁ日本の議会にヤジは付き物ですから、探せば似たようなものは出てくることでしょう。3ヶ月前の事例が今さらになって持ち出されてきたことが意味するのは要するに、3ヶ月前の時点では特に問題視されていなかったということです。この発言をその場で制したとされる高木総務委員長にしても、よくあることとして特別に記憶に止めたりはしていないことが分かります。

 東京都議会の方のヤジ問題では、議場でのヤジを飲食店などでの迷惑な席取り行為に擬えて語りました(参考)。この席取り行為も日本ではよく見られる代物ですが、当人は専ら「当たり前のこと」と何ら疑いを持っていないものではないでしょうか。議場でヤジを飛ばす人もまた同様、そういう文化に何の疑問も持っていない、特別に悪いこととは思っていなかったはずです。それが幸か不幸か、大きく騒ぎ立ててくれる人がいたおかげで、良いことか悪いことかが今さらながらに問われるようになったと言えます。願わくは、セクハラという狭い枠にとらわれずに考慮されて欲しいところですが。

 それはさておき、日本の政治家は男性及び高齢の人間に偏りがちですが、維新やみんなは(政治家としては)若い女性が(形はどうあれ)脚光を浴びましたね。政治家が年寄りばかりだ、女性が少なすぎる云々と不満を述べているような人は、この維新やみんなといったキワモノをどう思っているのでしょう。よく若者の得票率が低いと嘆息する人はいますけれど、先の東京都知事選で若年層の田母神票が大きく伸びたことからも類推されるように若くても極右層は政治参加に積極的です。若者が本を読まなくなったとも嘆かれるところですが、書店で平積みされている本を見るに若きレイシストには読書家が多そうな印象を受けます。若い女性が目立つ党、投票に行く若者、本を買う若者、一見すると好意的に語られそうなものですけれど……

 もう一つ思ったのは「まずお前がやれよ」的な、子供の喧嘩の論理が日本社会では大人の間でも割と通用しているのではないかな、ということです。少子化問題を語るなら、まず自分が子供を作れと言い出す人も偉い人の中にいるわけですが、そうでなくとも似たようなことは多いのではないでしょうか。少子化に限らず何らかの問題を論じれば、「じゃぁ、お前がやれよ」的なことを何の疑問もなく口にし始める人は市民の中にも犇めいているはずです。実にナンセンスな言動ですけれど、しかし本人はそれで相手の発言にダメ出しできたつもりになっている、そんな光景は政治家だけの話ではありません。

 総じて分業的な発想は日本社会において嫌われがちと言いますか、何かを他人に委ねつつ己は己の得意なところで的な考え方は否定的に捉えられているような気がしますね。食糧の調達やエネルギー供給とか夫婦の役割とかには典型的でしょうか。片方が土地を活かし片方が金を出す、片方が金を稼ぎ片方が家庭に云々みたいな状態は総じてネガティヴに語られるものです。では政治に影響を及ぼしうる立場の人間が環境整備を語り、そうでない立場の人間が子供を作る――というのはどうなのでしょう。自分では子供を作らない人が、他人が子供を作りやすい環境のために動くというのもアリだと私は思いますが、あまり日本社会には馴染まないのかも知れません。

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