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「国産戦車は世界最新鋭」陸上自衛隊の戦車不要論を専門家一蹴 「専門家」の見識

世界にはこれに匹敵する第4世代の戦車は存在しない。これまでの90式戦車より軽量で安価、それでいて打撃・防御力に優れている。ハイテク電子機器を満載した10式戦車の射撃の命中精度はすこぶる高い。また、味方戦車との情報共有と高度な指揮統制を実現するC4I機能を備えており、連携が容易になっている。
 
 一部で戦車不要論が持ち上がっているが、戦車戦闘だけでなく対ゲリラ戦闘にも使える戦車は現代戦には不可欠の存在である。

「国産戦車は世界最新鋭」陸上自衛隊の戦車不要論を専門家一蹴
http://www.news-postseven.com/archives/20101203_6651.html
 はあ、「よかったですね」としか言いようがないですね。

 著者の井上和彦氏は先のユーロサトリも取材されていたようですが、何をご覧になっていたのでしょうか。10式を世界最高と言い切るのは「恋は盲目」というものです。

 そもそも第四世代の戦車は存在しません。10式も3.5世代です。

 まあ明確な定義がこの業界にはありませんから、自称というのはありですが。

 もっともそれはアフリカあたりの山賊上がりの軍閥の親玉とか、大尉クラスの白人傭兵が「将軍」を自称するようなものですけどね。

 確かに10式の主砲は優秀でしょう。ですが、防御力は劣っております。特にIEDや地雷に対してはそうですが、更にタンデム弾頭RPGやトップアタック型の対戦車ミサイルやスマート砲弾の類には極めて脆弱でしょう。

 軽いにはわけがあります。

 良くぼくが例に上げることですが、スカートを見れば一目瞭然です。わすか数ミリの圧延装甲板でタンデム装甲のRPGが防げれば世界の装甲メーカーは苦労しません。10式の複合装甲などの特殊装甲の使用量は値段を下げるために限定的に使用されているにすぎません。

 見本市でイスラエルやドイツのメーカーを取材すれば、お分かりになるかと思いますが。

 防御力が弱いというのはゲリコマでは一番不利です。

 何しろゲリコマで戦車に期待されるのは打たれ強さです。それが弱いわけですから。

 戦車の主砲に関しては諸外国が現用の120ミリ滑腔砲より強力な砲を開発していないのは、その必要性が低いからです。それよりも防御力とネットワークを重視しています。

 また陸自では10式用にも90式ようにも市街戦で必要な多目的榴弾のような弾薬を開発も輸入もしていません。これでゲリコマ重視と言われてもほんまですか?てなものです。

 10式のネットワーク化といってもほとんどが戦車中隊内での完結です。歩兵や砲兵などとネットワーク化けしているわけでもない。しかも歩兵と連絡をするための外部電話も装備していない。これまたゲリコマでは不便この上ない。

 ケチってエアコンもつけていないので、夏場のNBC環境下では使い物になりません。

 井上氏は著書「こんなに強い自衛隊」の中で、防衛研究所で研修を受けた韓国の大学のセンセイの著書を引用して、自衛隊はこんなに評価されているとおっしゃっておりますが、そのセンセイ、零戦が強かったのはカーボンファイバーを使用して軽量化したからだと、井上氏が引用した著書に書いている方です。

 その本には事実誤認だけではなく、結構アレな思い違いがてんこ盛りで敢えていえばトンデモ本の類です。

 自衛隊を褒めるためなんでも利用すれば宜しいのでしょうか。

 また防衛研究所の研修を受けているのがエラい、権威があるというのならば井上氏がお嫌いな朝日新聞の記者もその研修を受けていたりします。

 また井上氏は過去軍事見本市で、中国人は必ず4名のチームで情報集収集をしていると書いていたことがありますが、そのようは事実はないでしょう。

 ぼくはこの世界のショーのメジャーなショーを最も多く取材している日本人ジャーナリストと自負しておりますが、少なくともぼくは一度も見たことがありません。

 井上氏は今回前回のユーロサトリを取材されていたようですが、それ以前にぼくはこの種の見本市で氏をお見かけしたことがありません。この2回のサトリにおいてもそのような4人組は見ておりません。

 井上氏がどのような取材をされていたのか興味深いですね。

 事実を見ずにひらすら「自衛隊無双」礼賛を行うのはいかがなものでしょうか。井上氏がお嫌いな朝日新聞も戦前は同様なことをやっていたような気がしますが。

 その結果がどうなったかは、いまさら申し上げるまでもないでしょう。 

新しい防衛航空宇宙専門サイトを始めました。
「東京防衛航空宇宙時評・Tokyo Defence & Aerospace Review」

http://www.tokyo-dar.com/

NEXT MEDIA "Japan In-Depth"[ジャパン・インデプス]に以下の記事を寄稿しております。
NEW<海上自衛隊のシーレーン防衛はフィクション>日本には戦時に守る対象となる自国の商船隊が存在しない
http://japan-indepth.jp/?p=6994

<バーバリーと三陽商会>ファッション業界「ライセンスビジネス」の怪
http://japan-indepth.jp/?p=6198
<防衛産業も営利企業>政府は防衛産業の持続可能な利益確保の必要性を国民に説明すべき
http://japan-indepth.jp/?p=5052

<武器禁輸緩和>安倍政権は「防衛装備生産基盤の危機回避」という本意を国民に説明せよ
http://japan-indepth.jp/?p=5014

<200億円の海自P-1哨戒機>性能も怪しい高コスト機の開発ではなく現有機の近代化を
http://japan-indepth.jp/?p=4818

朝日新聞のWEBRONZA+に以下の記事を寄稿しました
NEW国連加盟は憲法違反である
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014061900005.html?iref=webronza

国益のために国内ヘリ産業を潰すべきだ
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014051200007.html?iref=webronza

ロシアとウクライナが簡単に刀を抜けない理由
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014041500002.html

知られざる日本発のクールジャパン的ヒット商品「エア・ソフト・ガン」はなぜ市場を失いつつあるのか?
http://astand.asahi.com/magazine/wrpolitics/2014032400011.html

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