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安倍政権の支持率低下の理由は政策ではない

安倍内閣の支持率が下落している。

読売の7/2~3日の調査では内閣支持率は前回調査(5/30~6/1)から9ポイント下落し、48%。
朝日の6/21~22日の調査では1か月前に比べて、6ポイント下落の43%。

主に男性よりも女性の支持率が落ちているようだ。

集団的自衛権の限定的行使の容認が支持率下落に貢献しているとの見立てが大勢だが、政策の内容よりも「先鋭的なタカ派」という安倍政権のイメージが危険視されている結果だということもできる。

なぜならば、集団的自衛権については政策の中身に関して十分に議論される前にイメージが先行したように見えるからだ。

これは派手な表現を好む安倍氏の(パブリシティの)自業自得と言える。

いくつか例を挙げる。

①(平成19年2月5日参院予算委員会で)
自らかえりみてなおくんば、一千万と言えどもわれゆかんと、この自分がやっていることは間違いないという確信を得たら、これはもう断固として信念を持って前に進んでいく、そのことが今こそ私は求められているのではないかと、このように考えます。

②(安倍内閣メールマガジン第22号)
「勇とは義(ただ)しき事をなすことなり」。新渡戸稲造の「武士道」にある言葉です。防衛大学校の卒業生に私のあいさつの結びとして送った言葉は、国のかじ取りを司るものとして、私の教訓と考えています。

③(成長戦略第3弾スピーチ)
今こそ日本人も、日本企業もあらん限りの力で「爆発」すべき時です。「民間活力の爆発」。これが成長戦略の最後のキーワードです。

④(IOC総会プレゼンテーション)
(福島原発にかかる)健康問題については今までも、現在も、将来も、全く問題ない。

つい先日、7/1に英国フィナンシャル・タイムス紙に寄稿した論文のタイトルが
My "third arrow" will fell Japan's economic demons.
(私の第3の矢は日本経済の悪魔を倒す。)

このような派手な表現が政治に詳しくない層を不安に陥れるのは当然だ。

「断固とした信念」はそれにそぐわない人たちの排除を予感させるし、「日本経済の悪魔」でメシを食っている人たちは矢に射殺されるイメージを抱かざるを得ない。

安倍氏の表現とは対照的な表現をものしていた政治家に、第68,69代内閣総理大臣大平正芳を挙げることができる。

大平は「讃岐の鈍牛」と言われた通り、言葉づかいに派手さはなかったが、好んで揮毫した言葉、「着々寸進 洋々万里」が意味するように、地道に一寸ずつ進んで、万里に値するほど長い行程をたどる、といった射程の長い政策を持ち味にしていた。

具体的には、外交では日米安保条約を中心に環太平洋連帯構想を進めながら、日中間の政府借款供与や文化交流協定をとりつけ、鄧小平の改革開放政策に大きな影響を与えた。

内政では、財政危機への対応から一般消費税の導入を図ったが、挫折。角栄の日本列島改造論を数段洗練化した田園都市構想では、都市機能の分散化を目指し、縦割り行政の廃止を含めた行財政改革の端緒を開いた。

具体的な政策の評価はさておき、大平の言説には特定層の排除ではなく、融和への意志を感じさせる。

大平は晩年、「政治とは何か」と尋ねられ、「枯れた花にも水を与えることだ。」と答えた。

翻って、安倍氏の「信念」では、枯れた花は引き抜いて新しい種をまけ、といったところだろう。

理想論としては耳に心地いいのかもしれないが、「枯れた花」サイドに自分が属しているかもと感じた層には逆に聞こえる。

集団的自衛権行使の限定的容認は徴兵制などにつながる政策ではないが、まことしやかにそのようにささやかれる背景には、国民の一定層に安倍政権の想定とは「逆側」にいるのではないか、その「逆側」は徹底的に搾取されるのではないか、という不安感がある。

これは安倍氏が煽ってきた言説の効果であり、当然の結果と言える。

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