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オランダ大使館のバスさんに聞く、「De Correspondent」の今とこれから

画像を見る▲バスさん(左)と伊東さん(右)

昨年9月にオランダで、クラウドファンディングで1億7千万円の資金を集めてできたオンラインジャーナリズム・スタートアップ「De Correspondent」。News of Newsでも以前紹介しました。

De Correspondent:クラウドファンディングで1億7千万円集めた、オランダのオンラインジャーナリズム・スタートアップ

SHIBAURA HOUSEの伊東勝さんに声をかけていただき、オランダ大使館のバス・ヴァルクスさんによるDe Correspondentの勉強会に参加をしてきました。大きな注目と期待を集めてスタートしたDe Correspondentの、今とこれからを聞くことができました。

De Correspondentとは?

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De Correspondentを始めたのは、オランダを代表する全国紙・NRC Handelsbladで「NRC Next」という若者向けのメディアの編集長を務めていたRob Wijnberg(ロブ・ワインバーグ)さんと、同じくNRCでウェブ版の編集長をしていたErnst-Jan Pfauth(エルンストヤン・ファウス)さん。今年32歳のロブさんと28歳のエルンストヤンさんという、メディア界で活躍する若手2人が始めたことで、De Correspondentは注目されました。

De Correspondentは購読者しか読めない課金制をとっており、その購読料は年間€60(約8000円)。人口1600万人のオランダで3万人以上が購読しているといいます。De Correspondentができるまでの経緯は以前の記事で書きましたが、今回バスさんに、詳しいメディアの中身を聞くことができました。

まずDe Correspondentでフルタイムで働くのは7人、寄稿者は著名な人から若手までを含めた約30人いるとのこと。寄稿者はそれぞれ専門性を持ち、テクノロジー、経済、国際、メディア、教育、エネルギー、宗教、文学といったものから「忘れられた戦争」や「宇宙人」などのオリジナルなものまであるそう。読者はお気に入りの記者をフォローすることで、ページの右側に彼らの記事をタイムラインのように表示させることができます。

De Correspondentでは1日5つの記事を更新し、そのなかの1つは目玉記事と呼ばれます。また週に1度、ロブさんおすすめの他のメディアの記事を集めたキュレーションや、その週で最も人気だった記事の紹介もあるとのこと。

画像を見るvimeoのスクリーンショットより。バスさんは、写真のクオリティが高いことがDe Correspondentの好きなところの1つだと言います。右側のタイムラインには、フォローしている記者の記事が表示されます。

バスさんが注目しているのは、「Nieuw Nederland(ニューオランダ)」というコーナー。Jelle Corstiusさんという記者が”これからのオランダ”を考えるために、1年間かけて食、経済、メディア、教育、医療、エネルギー、水、空間、高齢化、社会のつながり、宗教、愛といった12個のテーマについてオランダ中を回って取材をするというもの。プロジェクトの特集ページをつくって、取材の様子をマッピングする取り組みもおもしろいです。

またバスさんは、De Correspondentの魅力はコンテンツだけでなく、コメント欄にもあると言います。購読者だけがコメント(De Correspondentではコントリビューション=貢献と呼ぶ)を書くことができ、名前は実名のみ。読者は名前の横に、自らの職業を明記することも可能です。

バスさんが言うにはコメントの質が良く、書いた記者自身もよくコメント欄に現れるので、そこで議論が発展するといいます。De Correspondentが実践する魅力的な記者と読者の関係については、小林恭子さんがまとめています。

記者と読者の関係を変える、オランダの「コレスポンデント」(小林恭子の英国メディア・ウォッチ)

今年9月が正念場

そんなDe Correspondentですが、始まる前の期待が高かっただけに批判の声もあるとのこと。

たとえば、De Correspondentは「緊急ではないけど、読者の生活に関連する情報を提供する」スロージャーナリズムを目指していますが、それは裏を返せば今すぐ読まなければいけない情報ではないとも言えます。また調査報道というよりも意見や哲学的なエッセイが多すぎるといった声や、メディアの性質上長い記事が多いため、読まれにくくなっているとも言われているそうです。

またマニフェストでつくると言っていた記者と読者の交流ページ”gardens”もまだできていません。バスさんによると、ロブさんは「まだやりたいことの5%しかできていない」と言っているそうです。

De Correspondentは「今年9月が正念場」だとバスさんは話します。なぜなら昨年9月にスタートした購読の契約が、1年経って更新時期を迎えるから。9月になって購読者の数を維持できるのか、あるいは減らしてしまうのか。この1年間の評価が問われます。

カルシウムを与えるネットメディアができるために

かわいい猫の画像や「◯◯すぎる□□10選!」といったキャンディニュースだけでなく、おいしくないかもしれないけれど必要なカルシウムをネットメディアがきちんと与えられるかどうか― De Correspondentが挑戦しているのはこういうことだと思います。

そのために必要なのは、読者に、ネット上のコンテンツでも価値のあるものにはお金を払ってもらうこと(カルシウム記事は必ずしも多く読まれるわけではないので)。De Correspondentが記者と読者の関係に気を配るのも、払っているお金以上の価値があると読者に感じてもらいたいからでしょう。

広告費に頼らず、購読料だけでメンバーの給料や取材費が賄える。そして読者にとって大切な、生活に関連する情報を提供する。De Correspondentのようなメディアができるためには、読者も共に育っていかなければいけないのだと今回の話を聞いて思いました。

▲菅谷さんのツイートを思い出しました。

9月を迎えてどうなるかはまだわかりませんが、De Correspondentが今後もうまくいけば、これを成功事例として同じようなメディアが増えてくるかもしれません。De Correspondentにはこれからも注目していきたいと思います。

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