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ノルウェーの同時テロ事件について

中東地域での市民の抗議活動は、リビアではカッザーフィー政権にとって軍事上の兵站拠点となるセブハの攻防が注目される。また、米・仏から、カッザーフィー氏のリビア退去に関し、柔軟な発言が見られていることも注目点である。

一方、シリア、イエメン情勢では政権打倒を求める市民と治安関係者との対立が続いている。

ここで気になるのが、イエメンのアビヤン州における「アラビア半島のアルカイダ」の活発化である。7月19日付ウォールストリート・ジャーナル紙(電子版)が、米国政府関係者の話として、アルカイダの戦略について報じている。同紙によると、ビンラディン容疑者殺害時に押収した証拠品から、(1)アルカイダの指導者となったザワヒリ容疑者は、パキスタン、イエメン、ソマリアでのイスラム過激派勢力との連帯を重視している、(2)米国国外でのテロ攻撃を考えていることが判明した。

それから数日後の7月22日、ノルウェーの首都オスロの官庁街で爆弾テロ(7名死亡)と、オスロ郊外のウトヤ島での銃乱射事件(80名以上死亡)が発生した。

この事件の犯行目的は捜査中であるが、ロイター通信などは、ノルウェーがNATOの一員としてリビア、アフガニスタンの軍事行動に関与いていることが関係しているのではないかとのコメントをつけて報じている。

また、「アンサール・アル・ジハード」と名乗るグループがウェブサイト上で犯行声明を出したとの報道もあった(後に関与を否定)。

アルジャジーラをはじめいくつかの報道では、イスラム過激派の犯行ではないかとの識者のコメントを紹介している。

一方、身柄を拘束されたレイビック容疑者が極右と関係があるとの報道もある。また、ノルウェー警察が同容疑者は「キリスト教原理主義者」と述べたとも報じられている。

そこで、この事件について、3つのシナリオを考えてみた。

第1は、オスロの爆弾テロとウトヤ島の銃乱射事件は関連性があり、爆弾テロで治安関係者を混乱させ、銃乱射行動の成功率を高めたというシナリオである。

第2は、オスロの爆弾テロとウトヤ島の事件は異なるグループ(または個人)の犯行であり、偶然、同時に起きたというシナリオである。

第3は、ウトヤ島の事件の犯人が、爆弾テロが起きたことを知り、計画していた銃乱射を急遽実行に移したとのシナリオである。

この中では、第1のシナリオの蓋然性が高く、おそらく犯人はアルカイダ関係者もしくはそのシンパではない。

その理由として、リビアとアフガニスタンの現状に鑑みれば、テロの脅かしによってノルウェー政府が単独で撤退することは考えにくい。また、リビアでは事態が収束方向にあり、アフガニスタンでは7月17日にヘルマンド州やバーミヤンで国際治安支援部隊からアフガニスタンに治安権限移譲を行っている。さらに、米軍も予定通り13日にはアフガンからの撤退を開始している。その上、アフガニスタンでは、反体制勢力がカルザイ政権の要人たちの暗殺へと戦術を変えつつあるようだ。

これらのことから、なぜ、このタイミングでノルウェーにおいてイスラム過激派がテロを行いのか、の説明がつきにくい。

また、アルカイダ関係による犯行であれば、ビンラディン容疑者殺害の報復攻撃として、ノルウェー政府施設ではなく、米国関連施設を標的とする蓋然性が高いだろう。

いずれにしても、事件の捜査が進む中で、事件の真相は明らかになるだろう。

この事件から言えることは、イスラム圏だけでなく、中立的対外政策をとっている国においても、国内事情によってはテロが起き、それに巻き込まれるリスクがあるということである。

爆弾の作り方や生物兵器の製造方法について、インターネット上で知識を得ることができ、武器売買もなされている。

国家が国民の安心、安全を維持するのが本当に難しい時代を迎えている。われわれ一人一人もそのことを認識しておく必要がある。

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