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「アラブの春」の現状

シリアでは7月に入っても、ハマ、ヒムスなどの地方都市で数万人という規模の市民の抗議活動が展開されている。一方、体制側は国民調整委員会の名のもとで、7月10日に予定されている「国民対話集会」を政治的解決にふさわしいものにするため、反体制派勢力を懐柔しようと努めている。
国際社会は、アサド政権に対し市民に対する武力行使を即時停止するよう要請しており、市民の犠牲者が増える中で、「安保理はこれ以上黙っていることはできない」との発言のも見られ始めている(6月21日のフランスのフィヨン首相の発言)。

このようなシリアと同様に、体制派と反体制派の対話が試みられながらも、こう着状況が続いているのがリビアとイエメンである。
リビア情勢では、その状況を打開するため、フランスが人道的な状況の悪化を理由に、国連安保理決議が定めた武器禁輸に違反すると考えられる武器供与を反体制派に行い始めた。
ロシアのプーチン首相は、このようなリビア情勢について、「作戦を扇動しようとしても状況が良くならないことは明らかだ」と述べている。

また、イエメン情勢では6月29日、CNNテレビのインタビューで、ハディ副大統領が、政府は5つの州で支配権を失ったが、サーレハ大統領には依然として300万人の支持者がいると語り、国内対立が深刻であることが改めて露呈した。

一方、政変が起きたチュニジア、エジプトでは、抗議運動において主導的役割を果たした若者たちが、新たな国造りの場で力を発揮できていないようだ。これらの国では、現在、エジプトではムスリム同胞団が、チュニジアではナフダ運動に代表されるイスラム勢力が政治組織をつくり、国民議会選挙で多数の議席を獲得すべく勢いを増している。

どうやら「アラブの春」と呼ばれる政治変動は、アラブの国々が世俗的な民主国家へと向かうだろうとの国際社会の当初の期待とは異なる方向に動いているようだ。

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