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【実務者系雑談】STAP細胞特許の国内移行〆切を先延ばしにする方法

STAP細胞のPCT出願(PCT/US2013/037996)の日本への国内移行の〆切が今年の10月24日であることは以前に書きました。このタイミングを逃すと日本では特許化が不可能になります(他国ではもう少し〆切が先のケースもあります)。

小保方さんの検証実験が実際に始まるのは9月ごろかららしい(参照ニュース記事)のですが、間に合うのでしょうか。

しかし、10月24日の根拠は、最先の優先日(この場合は、米国仮出願61/637,6313の出願日)から30ヶ月ということなので、この優先権を取下げれば、国内移行の〆切日はもっと先になります(具体的には、優先権を主張されたもうひとつの仮出願61/779,533の出願日から30ヶ月後の2015年9月13日になります)。

90の2.3 優先権の主張の取下げ

a.出願人は、国際出願において第8条(1)の規定に基づいて申し立てた優先権の主張を優先日から30箇月を経過する前にいつでも、取り下げることができる。

b.出願人は、国際出願が2以上の優先権の主張を伴う場合には、それらの優先権の主張のいずれか又はすべてについて(a)に規定する権利を行使することができる。

c.取下げは、出願人の選択により国際事務局、受理官庁又は、第39条(1)の規定が適用される場合には、国際予備審査機関に対する出願人からの通告の受領の時に効力を生ずる。

d.優先権の主張の取下げが優先日について変更が生じる場合には、もとの優先日から起算した場合にまだ満了していない期間は、(e)の規定に従うことを条件として、変更の後の優先日から起算する。

e.第21条(2)(a)に定める期間については、国際事務局は、出願人、受理官庁又は国際予備審査機関により送付された取下げの通告が国際公開の技術的な準備が完了した後に国際事務局に到達した場合には、もとの優先日から起算したその期間を基礎として当該国際公開を行うことができる。

もちろん、優先日が後になることによって新規性・進歩性(および先願)を否定される可能性は高まります。

とは言っても、STAP細胞特許についてはそれ以前の問題がいろいろありそうなので国内移行の〆切を延ばせたからどうこうという話ではないのですが、テクニカルな手続上の話として書いてみました。

しかし、書いてから思いましたが、国内移行の〆切に間に合わないので優先権を取下げるという現実的ケースはあまり思いつかないですね。国内移行は書類一枚出せばすみ、翻訳文は後出しできるからです。まあ、中国等の翻訳文の後出しができない国もあるので、そういう国に対する国内移行が間に合わないとか、国際公開(最優先日から1.5年)を何らかの事情で遅らせたいとかのケースには役立つのかもしれません。

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