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次のスティーブ・ジョブズを探せ by 総務省

6月27日に総務省から次のような発表があった。
総務省は、平成26年度「独創的な人向け特別枠」について事業名を「異能vation」(いのうべーしょん)とすることに決定しました。またその業務実施機関を選定するとともに、「独創的な人(ICT技術課題に挑戦する個人)」の公募を平成26年7月14日(月)から行うこととしましたのでお知らせいたします。
すでに5月22日に、平成26年度「独創的な人向け特別枠(仮称)」に関わる業務実施機関の公募を行っていて、その公募に応募した企業や法人の企画競争の結果、委託先を(株)角川アスキー総合研究所に決定したとある。5月の発表にちょっと(応募してみようかと)興味を持って添付資料を読んだのだが、そのときは独創的な人の公募ではなく、タイトルにもあるように独創的な人を管理する業務実施機関の公募だった。業務実施機関とは、広報、ICT技術課題に挑戦する個人の研究管理、事業運営等、本事業の広報・運営・管理に係る業務を実施する機関だということだ。なんとも複雑なしくみだ。この特別枠の目的は次のようなものだと書いてある。
「独創的な人向け特別枠(仮称)」は、情報通信審議会中間答申「イノベーション創出実現に向けた情報通信技術政策の在り方」(平成25年7月5日)を踏まえ、平成26年度より新規に開始する事業として、予測のつかないICT分野において破壊的な地球規模の価値創造を生み出すために、大いなる可能性がある奇想天外でアンビシャスな技術課題に挑戦する人を支援するものである。常識にとらわれない、いわゆる「変な人」への支援を行うことで、イノベーションの創出を目指す人材の異色多様性を拓き、「Disruptive Change」をもたらす契機を拡大することを目的とする。
なにやら壮大なことが書いてあるようなのだが、最初はまったく理解できなかった。
  1. この事業(異能vation)は、変な人が大いなる可能性がある奇想天外でアンビシャスな技術課題に挑戦することを支援する。
  2. 変な人を支援するとイノベーションの創出を目指す人材の異色多様性が拓かれ、「Disruptive Change」をもたらす契機が拡大される。
  3. それによって、予測のつかないICT分野において破壊的な地球規模の価値創造を生み出される。
ということのようだ。「イノベーション創出」とか「破壊的な地球規模の価値創造」とか「Disruptive Change」とかは同じ意味だろう。「イノベーションの創出を目指す人材の異色多様性を拓く」ことがポイントだと理解した。

問題は、イノベーターはきっと変な人だろうが、変な人はほとんどイノベーターではないということだ。
なんども引用するが、ジョブズを発掘したAtariの共同ファウンダーであるノーラン・ブッシュネルが書いたFinding the Next Steve Jobs(次のスティーブ・ジョブズを探せ)には、企業がそういった人物を探すための心構えが書いてある。そういった人物を招き入れて力を発揮させるには経営者の考え方や企業側の体質を変える必要があると。



そんなことは総務省にはとてもできないから外部に委託するのだと考えると、話の筋は通っているようにも思える(笑)。
しかし、業務実施機関の公募要領には細かい選定基準が書いてあるが、応募書類審査基準および採点表には、応募してきた変な人がイノベーターかどうか見極める能力について審査する項目がないようだ。「変な人」についての記述は次のようなものしかない。
  1. 挑戦する個人の独創的な個性を十分に生かし、かつ、モーティベーションを保ちながら研究目的に導くような工夫がなされているか。(スーパーバイザーとのコミュニケーションのためのバーチャル研究室環境など)
  2. スーパーバイザーを支える体制が十分か。またそのための費用は適切か。
  3. 挑戦する個人を対象に課題公募に関わる効果的な広報がされているか。春の学校イベント運営などで独創的な挑戦する個人のモーティベーションを上げること効果的に行うための工夫がなされているか。
この「変な人」とは、どうやらスティーブ・ジョブズをイメージしているようだ。彼の言葉を引用して「価値ある失敗」を推奨している。失敗を恐れなくていいということはありがたいが、資料は研究が成功することを想定していないようにも受け取れる。もちろん、米西海岸ではスタートアップに失敗した企業家にも次のチャンスが与えられるといわれてはいるが、実際に失敗すると一時的にせよ大きな痛手を被る。その緊張感のなかで成功を信じてイノベーションを目論むのがイノベーターじゃないかと思う。

「変な人」の公募は平成26年7月14日(月)から同年8月20日(水)まで行われ、書類審査と面談によって10名程度が採用され、総務省からの任命書を受け取って誓約書などを提出すると晴れて国に認められた「変な人」となって、スーパーバイザーの監視下ではあるが300万円の研究費をもらって一年間の研究ができる。春の学校イベント運営とやら、研究以外のこともいろいろやらなければならないようだが。
これに応募する人はきっと変な人だ。でも、イノベーターかどうかはわからない。

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