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法人税減税、代替財源は必要か

政府が先日発表した新たな成長戦略。最大の柱は法人税減税で、現在、35%程度の実効税率を数年で20%台に引き下げる方針を盛り込みました。年末の税制改正に向けてこれから「代替財源探し」が本格化しますが、そもそも代替財源は必要不可欠なものなのでしょうか。

 政府が毎年6月頃、翌年度予算の編成や税制改正の大枠を示す骨太の方針。今年は「経済財政運営と改革の基本方針2014~デフレから好循環拡大へ~」と題し、法人税減税や農業や医療、雇用規制の緩和などの成長戦略を盛り込みました。

 昨年6月に安倍晋三首相が発表した成長戦略第一弾は内容が踏み込み不足だとして市場の落胆を誘い、株価が急落しました。この時のトラウマから、首相はとりわけ今年の成長戦略に強い思い入れで取り組んできました。その柱こそ主要国の中でもひときわ高い法人税の引き下げです。

 法人税を1%引き下げると約5000億円の税収減となります。仮に6%引き下げて29%程度にしようとすると3兆円の税収が減る計算。国の財布をつかさどる財務省やその意を受けた自民党税制調査会幹部は「代替財源を見つけなければ法人税減税は認められない」と主張してきました。

 しかし、3兆円もの財源を見つけるのは容易ではありません。政府・与党内では租税特別措置(租特)の廃止・縮小や、赤字企業にも課税する外形標準課税の中小企業への適用、はたまたパチンコへの課税案などが浮上しましたが、予想通りにそれぞれの業界から強い反発が出ました。

 首相の強い意向を無視するわけにもいきませんし、財務省や自民税調の顔もつぶせません。そこで今回の骨太方針には財源について盛り込まず、今後の調整に委ねることとしました。年末に向けて「ターゲット」とされている業界同士の綱引きが活発化しそうです。

 成長戦略と同時に財政再建は重要です。一部の業種に偏った租特を見直すことや、法人課税を広く薄くするという発想も間違いではありません。しかし、税制の枠組み内で代替財源を見つけなければならないという発想には疑問があります。歳出規模の維持が前提となっているからです。

 ここに直近10年間の政府の一般歳出額の推移があります。これを見ると2009年度から急激に伸びています。2008年夏にリーマンショックが起きて景気が冷え込んだため、当時の麻生政権が景気刺激策として大幅に予算額を積み増したのが原因です。

 当時の取り組みが間違っているとは思いません。しかし、リーマンショックの傷が癒え、景気回復局面に入った今も同規模の歳出を続けているのはおかしいのではないでしょうか。

 今年度予算の一般歳出額は95.9兆円。リーマンショックが起きる前年の2007年度に比べて14.1兆円も増えています。社会保障給付負担が毎年1兆円規模で増えているのは事実ですが、それを除いてもさらに5兆円ほど多いのです。

 やはり代替財源の本命は「歳出削減」であるべきです。無駄な歳出、無駄ではないけれども今すぐ急ぐ必要のないもの、特定の「既得権益者」に流れているもの。不断の見直しはもちろんのこと、今回の代替財源探しを良い機会とし、歳出の抜本的見直しをすべきです。

 せっかく決めた法人税減税。歳出規模の維持にこだわって同じ法人部門に増税を課せば、また昨年のように市場から落胆されかねません。

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