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市民の相談窓口を封鎖した鎌倉市~生活保護相談窓口封鎖事件を考える~

神奈川県鎌倉市が生活保護相談窓口を封鎖して、市民からの相談を回避すると同時に、虚偽の説明を行って相談者を追い返していた事実が発覚した。

NPO法人POSSEのブログに詳細が記載されている。

ぜひお読みいただきたい。

事件は、鎌倉市に相談した男性が「不適切な対応を受けた」とNPO法人POSSEに相談したところから明らかになった。

相談窓口のカウンターが棚で塞がれ、相談できないだけでなく、生活保護に対する正しい情報も伝えられないという。

POSSEスタッフから報告を受け、「さすがにそんな悪質なことはないだろう」と思ってしまった。

しかし、事実としてその状況があったようだ。同行したスタッフの報告は以下の通りだ。

カウンターが棚で塞がれた異様な状況につき、POSSEスタッフは課長に抗議しました。課長の説明では、2012年に職員が増員した際、職務スペースを増やすために「やむを得ず」棚を置いて窓口を封鎖したということです。2年間もこの状況が続いていることになります。なぜ生活保護窓口を選択したのかという点については、説明がありませんでした。

 今回これが原因で相談もできずに帰ってしまった人がいることを伝えても、課長は棚を撤去するつもりが無いと回答しました。カウンターをつぶすしか選択肢が無いそうです。
出典:NPO法人POSSEブログ

生活保護法は、憲法25条に根拠があり、国は国民を救済する責務を明示している。

その国の役割を代替するのが、各自治体である。

国民の生命や財産を守るのは、国の最低限度の役割であることは言うまでもないことだ。

これを果たせない、あるいは果たさなくてもよいと考える自治体の暴挙が今回の事件である。

当然、これらの自治体の行為は違法行為であり、「水際作戦」と呼ばれて非難されてきた。

例えば、埼玉県三郷市では、過去に自治体から違法な対応をされ、訴訟を起こされる事件があり、三郷市が非を認めることとなった。このような裁判は全国でいくつも報告されている。

そして、驚くべきことは勝訴の割合が低い行政訴訟のなかでも、生活保護裁判は勝てる割合が高いということだ。

生活保護裁判をめぐる動きは、生活保護裁判連絡会のHPを参照いただきたい。

要するに、裁判所が認める明らかな違法行為が各地で横行していることを示している。

だから、厚生労働省も繰り返し、違法行為がないように、また疑われることもないように、通知を発出し、是正を促している。

しかし、事件はまた発生してしまった。

何度も何度も厚生労働省も弁護士会も市民団体も是正を促しているにも関わらず。

そして、以下の記事のように、担当課長は様々な指摘を受けて、ようやく相談窓口の問題を認め、改善に向けた対応を行うこととなった。

4月に同課を訪れたものの「相談を受け付けていない」と思い帰宅したという50代の男性が、6月に労働問題などに取り組むNPO法人「POSSE(ポッセ)」に相談し発覚。同法人の川村遼平事務局長(27)は「受給(希望)者を制度から遠ざけるような対応は、あってはならない」と市に改善を求めていた。

 同課の曽根健治課長は「勇気を出して訪れる市民がほとんどの窓口で『来て良かった』と思われる対応が必要だった」などと不備を認めている。
出典:神奈川新聞

わたしたちは生活に困りたくて困るわけではない。

失業や倒産、離婚や家族の不和、病気や障害など、様々な理由で生活に困ってしまうことがある。

それは多くの場合、誰にでもあてはまることだ。

その時に頼るのがお住まいの自治体の相談窓口だ。

相談窓口が丁寧に対応し、支援してくれるか否かで人生が左右すると言ってもいい。

相談者の命運は福祉課が担っていると言っても言い過ぎではない。

現実には、窓口で相談したが、解決に至らずに、餓死や孤立死、自殺へと市民を追い込んでしまう自治体がある。

だからこそ、最低限の責務を自治体に求めている。

本日7月1日から改正生活保護法が施行される。

各福祉事務所が生活保護の理念や趣旨をはき違えることがないように、鎌倉市のようなあってはならない事件を再発しないように、再発防止対策を要請したい。

そして、審査庁(都道府県)や厚生労働省は、国民の生命が不適切な対応で失われることがないように、監査指導を徹底していただきたい。

非常に残念なことだけど、「福祉事務所は違法行為をする」という性悪説での是正指導が求められるだろう。

緊張感を持って対処していただきたい。

皆さんが向き合っているのは「人」であり、大切な「命」なのだから。

※Yahoo!ニュースからの転載

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