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続・リビアで今、起こっていること 〜アーデル・スレイマンさんインタビュー

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「40年間泣き寝入りしていた人たちが、やっと動き出したんです」

――リビア人の父親と日本人の母親を持つ大学生、アーデル・スレイマンさんが、「祖国」リビアで起こった反政府デモについて、そう語ってくれたのは今年3月のことでした。

その後、NATO軍による介入を経て、反政府デモは「革命」へと拡大。何度か政府軍による反攻が伝えられながらも、8月20日にはついに首都トリポリが陥落、40年以上のカダフィ独裁政権下にあったリビアは、国として新たな一歩を踏み出すことになりました。

この半年間を、日本で暮らすアーデルさんはどう見ていたのか?そして今、リビアの人々はどうしているのか?今後の支援活動の可能性を探るため、9月に現地を訪れたというアーデルさんに、そのときの体験も交えて改めてお話を伺いました。

◆NATOの空爆とトリポリの「解放」


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トリポリの殉教者広場を埋め尽くす人の波。三色旗があちこちに見える。


――まずは、前回インタビューさせていただいた後のことを聞かせてください。リビアで反政府デモが起こったばかりだった3月初めの時点で、アーデルさんは「人道支援を除いて、国際社会にはリビアの問題に介入してほしくない」という意見だったけれど、結果的には3月半ばにNATO軍の介入が行われることになりました。

複雑なところですね。もともと革命勢力――国民評議会は、治安維持などのために海外勢力が入ってくるのは仕方ないにしても、それは欧米ではなくアラブ諸国に頼みたい、と表明していたし、一般のリビア人の多くはそれさえいらない、治安は自分たちで守れる、と考えていたと思います。

やっぱり、イラクやアフガンの記憶が鮮明なだけに、外国勢力が入ってきて国がめちゃめちゃになってしまうのが怖いという思いがあったんですよね。

ただ、一方でNATOの空爆がなかったらカダフィ勢力を倒すのは無理だったんじゃないかというのも、多くのリビア人の共通認識になっています。やっぱりカダフィ派は軍事的に非常に強くて、武器も大量に所有していた。

結果としてはそれを使用する段階になる前に制圧されることになったけれど、そうでなければもっと闘いは泥沼化していたかもしれない。…もちろん介入を歓迎したわけではないし、まったく嬉しいことではなかったけれど、結果的にはそれがあったから被害がまだ小さくて済んだという部分もあるのかもしれなくて。

とにかく、複雑な思いがあります。

――そうして状況が動いていく中、アーデルさんは日本で、どうされていたんですか?

前回お話ししたように、本当は反政府デモが起こったあと、日本で留学生仲間や支援してくれる人たちと、リビアへの人道支援を行う団体を立ち上げようとしていたんです。でも、そこで3月11日の東日本大震災が起こって…。もちろん報道も「震災」一色になったし、ここでリビアへの支援を訴える

、募金やデモをやるといっても絶対に無理だと考えたんです。それで、ともかく今は日本で自分にやれることをやろうと思って、3月末からゴールデンウィークまでは、宮城県の石巻市で被災地支援のボランティア活動に参加していました。

もちろん、その間もリビアのことはずっと気にしていて、報道を見ながら留学生仲間と連絡を取り合っていました。特に一時はカダフィ派の攻勢が強まって激戦になっていたし、「やっぱり革命は無理なんじゃないか」とか「NATOの介入はどこまで必要なのか」とか、いろいろ議論をしましたね。

――そして8月20日に、ついに首都のトリポリが陥落する…。

「革命軍がどんどんトリポリに向かっている」という報道を見て、もちろん嬉しい反面、「ついにやばいことになるんじゃないか」という怖さもありました。それまで、トリポリではゲリラ戦は起こっていたものの、大規模な市街戦はまだなかったんです。

だけど、何千、何万という単位の革命勢力がトリポリに入ろうとすれば、カダフィは何が何でも抵抗するだろうし、ひどいことになるんじゃないか、と。

それで、アルジャジーラや反政府側メディアの報道をずっと同時進行でチェックしていたんですが、やがてトリポリの中心である殉教者広場に革命軍が入った、というニュースが流れ始めた。ところが銃撃戦はまったく起こっていないという。

これにはいろいろ噂があるんですが、当初カダフィ派はわざと革命軍をトリポリ市街地に入らせて、そこで街を封鎖して外から攻撃を浴びせるという計画だったとも言われています。

実際、解放後になって、トリポリ市街周辺で、街の中心のほうを向けて配置されたミサイルなどが大量に発見されたという話もあって… ところが、革命軍がトリポリに入って、いざ交戦というところで、カダフィ派の将軍が革命側に寝返ったんだと言われています。

ともかく、結果的にはトリポリ市街は大きな交戦はないままに解放されて。留学生仲間と「やったー!!」「トリポリ解放だ!!」と喜びあいました。リビアの家族にも電話してみたんですが、受話器を通じてすごい賑やかな声が聞こえてくるんです。「どこにいるの」と言ったら、「家だよ」と。

街中がお祝いムードで盛り上がっていて、みんな街に出て三色旗(カダフィ政権以前のリビア国旗。今回の革命のシンボルとして使われ、国民評議会によって正式国旗として採用された)を掲げてお祝いしている、その声が家の中まで聞こえてきていたんですね。家族の声も、これまで電話で話していた中で一番明るかったと思います。

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