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新入社員の4人に1人が「サービス残業」容認 将来の幸福のために「今は我慢」?

残業代ナシで時間外労働を行う「サービス残業」は、れっきとした違法行為である。しかし実際には多くの企業で行われており、働く人たちの中にも「普通のこと」と思われている節がある。異常事態といっていいだろう。

そんなムードは、入社したての新入社員にもすでに伝わっているようだ。日本生産性本部が発表した2014年度の「新入社員働くことの意識」調査によると、残業は「手当(の有無)に関わらず仕事だからやる」という回答が、依然として24%を占めているという。

報道にも「違法行為」という認識が足りない

「手当に関わらずやる」という回答は、第一次石油危機の1972年には50%台半ば、第二次危機の1979年には40%台半ばを記録していた。

平成に入ってから30%前後で落ち着き、2011年には30%台半ばまで上昇したもの、ここ数年は急速に減少傾向が続いており、今年は調査始まって以来の最低レベルとなっている。この傾向について朝日新聞は、

「ブラック企業問題が注目され、残業代が出ないサービス残業はしたくないとの考えが強まっている」

という調査元の客員研究員のコメントを掲載している。しかしサービス残業はゼロであって当然のこと。コメントは客観的な分析だが、賃金不払いが「違法行為」であることへの批判的なスタンスが、もう少しあってもいいのではないか。

ただ、先輩社員の中には「新入社員は実質的な見習い期間なので、残業代を気にするのはおかしい」という考え方の人も、残念ながら少なくないのが事実だ。

今年4月に放送されたバラエティでも、「モンスター新人」の項目のひとつとして「残業代が出るか気にする」が挙げられていた。あるキャリコネ会員は、給与明細に残業代が入っていないことを抗議したところ、女性上司から、

「じゃあ今月から、自分の能力を考えて残業時間をつけなさいね」

と皮肉を言われたという。

「第一志望に入れた:55%」が根本的な原因か

ただし調査結果を見ると、上司や先輩からの圧力以外に、自ら「サービス残業」を選択する背景になりそうなデータもある。ひとつは、就活戦線の激化だ。「第一志望の会社に入れた」と答えた人は昨年から少し改善したものの、55.0%にとどまっている。

ようやく入れてもらった会社を、どうしてもクビになるわけにはいかない。そんな気持ちから「残業代ウンヌンと言って、会社から目をつけられたくない」というプレッシャーが掛かっているのではないか。

「仕事中心」的な価値観の復活も見られる。社会人生活を「(私)生活中心」で送りたいと答えた人は、1991年に23%にまで高まったが、その後は急降下。ここ数年は10%を下回っており、2010年以降は「仕事中心」に追い越されてしまっている。

「この会社で定年まで働きたい」という回答も、一昨年の34.3%より減ったものの28.8%あった。「将来の幸福のために今は我慢が必要だ」という項目に「そう思う」「ややそう思う」と回答した人は84.6%にのぼっている。

将来の幸福のためには、会社に居続けなければならない。それと引き換えなら若いうちの「サービス残業」など安いもの、という構造になっているとすれば残念なことだ。

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