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可哀想でも……いらぬお世話の誤認保護

先日、ツイッターのタイムラインに可愛い仔タヌキの写真が流れてきました。その愛くるしさに心安らいだのもつかの間、写真を撮影した人の発言を遡ってみると、住宅地で1頭でいた仔タヌキを「保護」したとのことで、一気に暗澹たる気分になりました。本人は純粋に善意で「保護」したつもりなのでしょうが、これは「誤認保護」の恐れが濃厚です。

春の出産期を過ぎた現在、野生鳥獣は子育てのハイシーズンにあたります。このシーズンに相次ぐのが、人間による幼獣の「誤認保護」です。まだ幼い鳥獣が一匹でいるのを見かた人が、親とはぐれたと思い込み「保護」してしまうケースが跡を絶たず、京都市動物園では2013年の5~6月だけで、5頭のニホンジカの幼獣が持ち込まれたそうです。では、何故これらの「保護」は「誤認保護」と呼ばれるのでしょうか。それは動物の子育ての習性にあります。

シカやカモシカ、ウサギ等の動物は、母親が食事に出かけている間、幼獣を草陰に隠していく習性があり、この間幼獣は草陰で母親の帰りを待っています。母親はちゃんと隠した場所を記憶していますので、いずれ幼獣の元に戻ってきます。ところが、幼獣が1頭でいる所を人間に見られた場合、人間が親とはぐれた幼獣だと誤認してしまい、そのまま幼獣を「保護」してしまう事があります。こうなってしまうと、親子は二度と会う事は叶いません。これらの「誤認保護」を、人間による「誘拐」と厳しく批判する専門家もいます。

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幼獣が1頭しても、迂闊に保護は禁物(Roberto Ferrari撮影

一度人の手に慣れてしまった幼獣は二度と親と会えないばかりか、自然に返ることも出来ずに動物園に引き取られ、その飼育費用は動物園・行政が負担する事になります。本人は良かれと思って「保護」したとしても、動物にとっても、他人にとっても、ただの迷惑以外の何物でもない行為になります。

また、最近の野生鳥獣は都市化が進んでおり、人間の生活圏に近い所で子育てを行っているのも多くいて、住宅地の側溝等を移動や子育ての場としています。住宅地で仔タヌキ等の幼獣を見かけたとしても、可哀想だからと「保護」せず、そのまま立ち去るのがその動物のためです。

本来、行政の許可無く野生鳥獣を捕獲することは、法令により固く禁じられています(狩猟除く)。目的が野生動物の保護であっても、許可を得ずに保護飼養を続けた場合、鳥獣保護法違反に問われる可能性があります。それにも関わらず、ネット上では許可を取らずに野生鳥獣を飼養していると思しき人を散見しますが、これは違法行為ですので真似してはいけません。

以上を踏まえた上でも、それでも保護が必要と思われる場合は、各都道府県の野生鳥獣保護窓口(担当課は都道府県により異なります)に連絡を取り、対応を仰いでから行動して下さい。「地獄への道は善意で舗装されている」の格言のように、貴方の善意が動物の親子を引き裂いているのかもしれないのですから。

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