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- 2014年06月27日 08:54
公明党は集団安全保障「解釈改憲」の受け入れも覚悟して集団的自衛権「解釈改憲」を受け入れるのか!?
はじめに
(1)集団的自衛権(他衛権)行使についての高村自民党副総裁「試案」は、その前の「おそれ」を含む見直し案と本質的に変わらないにも関わらず、公明党の山口代表が地方組織の意見も聞かないまま、受け入れることを表明したことについては、批判をしてきました。たとえ限定できたとしても集団的自衛権(他衛権)行使は個別的自衛権行使とは異質だ!
(2)これには、集団安全保障の場合など多国籍軍の戦争への参戦は含まれていませんが、高村試案を受け入れてしまえば、公明党は、今後、これについても受け入れるを迫られるでしょう。
このことについて、投稿することにします。
1.自民党「日本国憲法改正草案」(2012年)の立場
(1)2012年の自民党「日本国憲法改正草案」は、集団的自衛権行使だけではなく、多国籍軍の戦争への参戦も目指しています。
まず、その点についての自民党「日本国憲法改正草案」を確認しておきましょう。
(国防軍)
第9条の2 我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2・・・・
3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
4・・・・
5・・・・
(2)これにつき、自民党「日本国憲法改正草案Q&A」は、「国際機関による制裁措置…は、禁止されていないものと考えます。」と解説しています(Q7の答)。
この解説は、国連安全保障理事会の決議がある場合を前提にしています。
(3)しかし、前述の条項には、国際連合(国連)の表現はありません。
ですから、「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」は、必ずしも国連安全保障理事会の決議がある場合に限定されない可能性が高そうです。
つまり、自民党は、国連安全保障理事会の決議がある場合の戦争(例えば1991年「湾岸戦争」)への参戦だけではなく、同決議のない戦争(例えば大量破壊兵器についての国連の査察中に開始された2003年「イラク戦争」)への参戦も想定しているのでしょう。
(4)安倍首相は、昨年3月、、自民党の憲法改正草案に関連して「(日本が)国際的な集団安全保障の中に参加できる道は残した方がいいのではないか」と述べていました。
朝日新聞2013年3月10日0時28分
安倍首相「集団安保に道を」 改憲草案、国連軍参加想定
安倍晋三首相は9日のBS朝日の番組で、自民党の憲法改正草案に関連して「(日本が)国際的な集団安全保障の中に参加できる道は残した方がいいのではないか」と述べた。
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国連憲章は集団安全保障を原則とし、加盟国への侵略行為などに対して国連軍による武力行使を含む制裁を認めている。一方、憲法9条では、国際紛争を解決する手段としての武力行使を認めていない。
2.「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書(2014年5月15日)の立場
(1)憲法の専門家が一人しか参加していない憲法の素人集団の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書(2014年5月15日)は、集団的自衛権行使による参戦だけではなく、集団安全保障による戦争への参戦についても、解釈改憲を主張していました。3.軍事的措置を伴う国連の集団安全保障措置への参加
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憲法第9条が国連の集団安全保障措置への我が国の参加までも禁じていると解釈することは適当ではなく、国連の集団安全保障措置は、我が国が当事国である国際紛争を解決する手段としての武力の行使に当たらず、憲法上の制約はないと解釈すべきである。国連安全保障理事会決議等による集団安全保障措置への参加は、国際社会における責務22でもあり、憲法が国際協調主義を根本原則とし、憲法第98条が国際法規の誠実な遵守を定めていることからも、我が国として主体的な判断を行うことを前提に、積極的に貢献すべきである。・・・・・・・・・
憲法前文で国際協調主義を掲げ、国連への協力を安全保障政策の柱の一つとしてきた我が国が、同じ国際社会の秩序を守るための国連安全保障理事会決議等に基づく国連の集団安全保障措置であるにもかかわらず、軍事力を用いた強制措置を伴う場合については一切の協力を行うことができないという現状は改める必要がある。
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(2)ところが、この報告書につき、安倍首相は、公明党の妥協を引き出すために、集団適時試験講師による参戦は肯定したもののに、多国籍軍の戦争への参戦(ここでは、後方支援は別)についての「解釈改憲」を否定しました。
毎日新聞 2014年05月16日 東京朝刊
集団的自衛権:安倍首相記者会見 要旨
◇冒頭発言
「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)から報告書が提出された。今後どのように検討していくか、基本的方向性について国民に直接説明する。
考えるべきことは、私たちの命を守り、平和な暮らしを守るため、何をなすべきかということだ。
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<報告書への対応>
今回の報告書では二つの異なる考え方が示された。
一つは、個別的か集団的かを問わず自衛のための武力の行使は禁じられない。国連の集団安全保障措置への参加といった国際法上、合法の活動には憲法上の制約はない、とするものだ。
しかし、これまでの政府の憲法解釈とは論理的に整合しない。私は憲法がこうした活動のすべてを許しているとは考えない。いわゆる「芦田修正論」は政府として採用できない。自衛隊が武力行使を目的として、湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことはこれからも決してない。
もう一つの考え方は「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある時、限定的に集団的自衛権を行使することは許される」との考え方だ。
憲法前文、そして憲法13条の趣旨を踏まえれば、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を取ることは禁じられていない。そのための必要最小限度の武力の行使は許容される。従来の政府の基本的な立場を踏まえた考え方だ。さらに研究を進めたい。
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3.政府自民党の本音の復活
(1)もっとも、その後、上記安倍首相の、多国籍軍の戦争への参戦についての「解釈改憲」を否定した発言は、本音に向かって軌道修正され始めました。
朝日新聞2014年6月20日05時03分
集団安全保障でも武力行使 政府・自民が容認へ転換
自民党の高村正彦副総裁は19日、朝日新聞の取材に対し、集団的自衛権を使えるようにするため、自身が示した自衛権発動の新しい3要件について、「国民の権利が根底から覆される事態であれば、国連の集団安全保障でも適用できる」と語った。高村氏は「新3要件で、集団安全保障の武力の行使もしばる」とも述べた。爆撃などの戦闘行為は認められないが、機雷の爆破による除去などに限定した行為は許されるとの考えを示したものだ。
別の自民党幹部も同日、「集団安全保障でも機雷掃海はできる。そうしないとおかしい」と語った。政府高官も、こうした考えを公明党に提示することを認めている。政府・自民党は集団的自衛権の行使を認める閣議決定の際、こうした方針を盛り込みたい考えだ。
安倍晋三首相は記者会見や国会答弁で、集団安全保障での武力行使については「自衛隊が武力行使を目的として、湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは決してない」と繰り返し否定してきた。集団安全保障は他国への制裁であり、日本の防衛と直接関係がないため、「集団的自衛権よりも集団安全保障に基づく武力行使の方がハードルは高い。憲法改正で対応すべきだ」(官邸関係者)との考えからだ。
しかし、政府・自民党内で、集団安全保障でも武力行使を認めないと問題が生じる、との指摘が出た。議論の対象は、首相が集団的自衛権の必要性を説明する際に取り上げてきた中東ペルシャ湾のホルムズ海峡での機雷除去の例だ。
仮に、自衛隊がホルムズ海峡にまかれた機雷を、集団的自衛権を使って取り除いていたとする。その途中に、国連安保理が決議を出せば、事態は「集団安全保障」に変わる。今のままでは、自衛隊は活動を中止しなくてはならなくなる。
自民党の与党協議メンバーの一人は「首相が集団安全保障にしばりをかけ過ぎてしまったことは失敗だった」と漏らす。・・・。
(2)しかし、公明党が反発します。
朝日新聞2014年6月20日13時22分
自民、集団安保で武力行使を提案 公明は猛反発
自民党は20日、集団的自衛権をめぐる公明党との協議で、国連の決議に基づいて侵略行為などをした国を制裁する集団安全保障の際、自衛隊が武力行使できるようにする案を公明党に示した。だが、公明党は自衛隊による海外での武力行使が際限なく広がるとして強く反発。大詰めを迎えた協議の最大の論点となっている。
与党協議で自民側は、集団的自衛権を含む自衛権発動の前提として示した「3要件」に、集団安全保障での武力行使も認めるよう提案した。空爆など前線での戦闘行為は認めないが、海にまかれた機雷を爆発させて除去するなどの行為は許されるとの考えだ。
安倍晋三首相は、集団的自衛権の必要性を説明する際、自衛隊の活動範囲を地理的に縛らないとの考え方から、中東ペルシャ湾のホルムズ海峡など海上交通路(シーレーン)での機雷除去を例に挙げてきた。ただ、集団的自衛権を使って機雷除去にあたる途中で、国連安全保障理事会の決議で事態が「集団安全保障」に変わると、憲法9条を踏まえて自衛隊は活動を中止しなくてはならない可能性があり、政府・自民は支障が出るとみている。また最初から国連決議で多国籍軍が結成された場合、機雷除去などにまったく参加できなくなるとの懸念もある。
しかし、公明党はこうした方針が急浮上したことに猛反発している。与党協議で北側一雄副代表は「いままで(集団的)自衛権の要件を議論していた。いきなり集団安全保障と言われても、党内をまとめられない」と反論。引き続き調整することになった。
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(3)そこで、政府・自民党は、集団的自衛権行使の「解釈改憲」を優先し、これを一応棚上げします。
朝日新聞2014年6月24日05時00分
「集団安保で武力行使」棚上げ 自民、閣議決定に明記せず 合意優先、別の手段探る
政府・自民党は23日、侵略した国を国連決議に基づいて制裁する集団安全保障の際、日本が他国と一緒に武力行使できるようにする案を閣議決定に明記しない方針を固めた。自衛隊の海外での武力行使の範囲が際限なく広がるとして公明が猛反発し、提案からわずか3日で棚上げした。だが、閣議決定への明記以外で集団安全保障の武力行使ができないか、さらに別の手段を模索する考えだ。
自公両党はこれまで、集団的自衛権の行使を認めるかどうかを議題に協議してきた。だが、自民党は20日の与党協議で、戦争中に中東のホルムズ海峡にまかれた機雷を爆破処理する例を念頭に、集団安全保障の枠組みでも武力行使を可能にする案を突然提案した。
背景には、集団的自衛権の行使が認められたケースで自衛隊が機雷を除去中、国連安全保障理事会の決議があり、事態が集団安全保障に移行した場合の想定がある。従来は集団安全保障における戦争中の機雷除去は武力行使に当たるとされ、憲法9条で認められていない。このため、自民は除去活動を中止しなければならない可能性があると問題視する。
そこで、集団安全保障での機雷除去を空爆などの戦闘行為と区別し、戦争中でも「受動的かつ限定的」な武力行使として認められると憲法解釈を変更。これを集団的自衛権行使のための閣議決定の中に一緒に明記するよう求めた。しかし、公明は自衛隊の海外での武力行使の範囲を日本周辺に限りたいため、強く反発。本来の集団的自衛権をめぐる自公協議が難航していた。
自民は、集団的自衛権行使の閣議決定を優先させるため、ひとまず集団安全保障の提案を取り下げることで公明の理解を得る狙いがある。だが、集団安全保障の際の武力行使そのものは断念していない。閣議決定に明記しないことで一時棚上げし、今後、憲法解釈を変えずに武力行使を伴う集団安全保障に参加できないか別の手段を探る考えだ。
・・・。
(蔵前勝久)
4.次は多国籍軍の戦争への参戦の「解釈改憲」へ
(1)以上の経緯を考えれば、公明党が、集団的自衛権行使についての「解釈改憲」を受け入れ、閣議決定すれば、公明党は、次に、政府自民党から、多国籍軍の戦争への参戦の「解釈改憲」を迫られることは必至でしょう。もちろん、それがすぐにやってくるのか、当分ないのかは、現時点では不明です。
(2)また、国連安全保障理事会の決議がある場合に限定されるのか、当該決議のない場合も含まれるのか、それも、現時点では不明です。
(3)しかし、集団的自衛権行使による参戦と多国籍軍の戦争への参戦との相違性より類似性が強調され、公明党は、今後(あるいは将来)、最終的には国連安全保障理事会の決議のない倍も含め、多国籍軍の戦争への参戦についての「解釈改憲」の受け入れを迫られることになるでしょう。
(4)それでも、公明党は、高村自民党副総裁の集団的自衛権行使についての「解釈改憲」の試案を受け入れのでしょうか!?



