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ポールとストーンズと、日本に漂う「死の匂い」

■50才息子、73才母

僕は今年50才で、僕の母親は73才だ(父は15年前に病死)。ふたりをよ~く観察すると、僕の髪は白髪が目立ってるし、母の歯もビミョーな感じではある。

が、見た目は20年前とそれほど変わらないような気がしている。

僕の弟は46才でバリバリの会社員だけれども、よ~く見ると46才っぽいところもあるにはあるが、お互いが休みの日にしか会わないせいで僕は彼の私服しか見たことがないため、弟が46才バリバリの課長さんだということをついつい忘れてしまう。

僕の唯一の友人は松本くんというのだが、彼は一年中旅行しているせいか(先日はぶらっと韓国安旅行してた)、定住感がまったくない。プラス、「銭湯研究家」というか「日本文化としての銭湯保存運動家」のようなよくわからないことをしていてそれでも食べていけてるようなので(『関西のレトロ銭湯』←こんな本も出している)、なんというか、年齢不詳な感じだ。

確か僕よりひとつかふたつ上だったのだが、年齢的にはよくわからない。単なる「自由なおっさん」みたいな人だ。

■ポール、ストーンズ、スティング……

話は大きくなり、最近、ポール・マッカートニーがライブをキャンセルしたとかしなかったとかで世間は騒いでいた。

僕も御多分にもれず10代前半は熱烈なビートルズ+ジョン+ポールファンだった。ジョンは「ジョンの魂」、ポールは「ビーナス&マース」を愛聴していたものだ。

ジョンはとっくに死んだが(あの日僕はしくしく泣いたが)、ポールはまだ元気そうだ……。その様子は、こんな動画でもわかる。

これは2年前なので、ポールは70才(今は72才)。はっきり言って(何がはっきりかわからないが)僕の母親と同じ年齢だ。

で、そんな目でじっくりポールの動画を見てみると、僕の母親と同じで、やっぱり72才の雰囲気が出ている。

一言でいうと、老いている。頬はたるみ、背筋は少し丸くなっており、歩行も遅い。声は不思議なもので昔とほとんど変わっていないものの、全体的にゆっくりしており、「下がって」いる。

が、ここに独特の「味」がある。

もうひとつ、最近なぜか僕の頭のなかで、ローリング・ストーンズの「ギミー・シェルター」がリフレインしており、我慢できずにこれまたYouTubeで見てみた。

これは2006年の動画らしく、ミックは今年70才だから、動画時は62才頃だろう。

だからかしれないが、ポールを上回る若さを発揮している。全部見なくとも、ミックはあのいつものミックなので、高齢社会を考えるにはあまり参考にならないか。

■肯定体としての「子ども」

その他にもスティングの最近の動画とかも見てみたが、まあ若い若い。スティングは子どもに自分の財産を一銭も譲らないという相変わらずの「らしさ」で最近話題になっていた(スティング「300億円の遺産は6人の子どもたちに残さない。自分で働け」と宣言!)。

ポールにしろミックにしろスティングにしろ僕の母親にしろ松本くんにしろ、まあ全員(50才になってみれば僕にとってはミックも母も同じ感じだ)若い。

が、同時に年をとっている。つまり老いている。

つまり、そこには常に「死の匂い」が漂っている。もちろん現実の死臭ではなく、若い人よりは「死」が近い、死がリアルに近づいているという意味だ。

もちろん人間(この地球に生息する生き物の一種としての)であれば、どんな人にも平等に「死」は常にそこにある。

が、この大原則というかアタリマエのことを、僕らの日常は忘れさせている。忘れて、日々仕事をしたり食事したり趣味に興じたりしている。

今日、たとえば交通事故で死ぬかもしれないが、そうした可能性を完全否定して、日々の小さな案件に悩み続ける。

それが、我々人間だ。

高齢社会は、ほぼ全員が若く見える社会だ。50才の新人類タレントが毎日のようにテレビで騒いでいる。ポールのファンの団塊世代がポールライブがキャンセルになったと残念がっている。キース・リチャーズのファンが、キースより5倍ビールで膨れ上がったお腹を抱えながら「サティスファクション」を熱唱する。

上げ始めたらきりがないものの、いま、この社会は変な狂想曲に乗り始めたように僕には見える。

それは、自分の年令と身体の衰えをとりあえずカッコに入れた、永遠の若さを信じる狂想曲だ。

だが僕には、そこには「否定」はないように思える。ニーチェのいう完全な肯定体としての「子ども」に誰もがなったかのようだ。

これに関しては、我が国得意の「臭い物に蓋」でもないような気もする。★

※Yahoo!ニュースからの転載

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