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- 2014年06月25日 20:56
功利主義マーケティングのすすめ
カナダのマーケティング・コンサルティング会社Twist Imageのミッチ・ジョエルが、その著書Ctrl Alt Deleteのなかで功利主義マーケティング(Utilitarianism Marketing)という考え方を提唱している(邦訳本はこちら)。 功利主義(Utilitarianism)とは自分の利益になることは社会全体にとっても利益になり、逆もまた然りであるという考え方だ。
P&Gはもともとマンハッタンに清潔で安全な公衆トイレが少ないという観光客の不満に目を付け、チャーミン・レストルームというキャンペーンを2006年から展開していた。観光客が集まるタイムズスクエアの一角にあるビルにチャーミンセンターというスペースを設置し、清潔なトイレや観光客のためのいろいろなサービスを無償で提供していた。そのP&Gの狙いにSitOrSquatは完璧にはまった。チャーミン・レストルームというキャンペーンをアドボカシー(Advocacy: 顧客支援)マーケティングとして紹介する記事もあったが、概念的には功利主義マーケティングと同じものだと思う。
4月15日に総務省が発表した 2013年の「情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査<速報>」によると、平日のテレビ視聴時間が全体平均で前年より16.4分(約9%)減少し、40代・50代の視聴時間が前年に対して40分と初めての大幅減となったこととがその原因だとされてる。
これまでもスマートフォンやソーシャルネットサービスの利用時間の増加によって若者のテレビ離れが進んでいるという報道はあった。しかし今回の40代・50代の視聴時間の減少の理由はそうではなさそうだ。間もなく正式版が出るようだが、テレビ番組の質が低下したためではないだろうか。
一方で2月に電通が発表した「2013年の日本の広告費」によると、2013年のテレビ広告費は1兆7,913億円で前年比100.9%で、下半期だけを見ると前年比102.0%と増加傾向になっている。その内容は「金融・保険」「不動産・住宅設備」「飲料・嗜好品」などのスポット広告で、いわゆる番組スポンサーとして半年契約となるタイム広告は減少しているようだ。じっくりと良質な番組を制作するよりも、短期的に視聴率を稼げる番組を制作してスポット広告を獲得しようというテレビ局の姿勢が反映されているように思える。これではさらにテレビ離れが進んでしまう。超高画質とされる4Kテレビを購入しても、その価値を感じることができる番組は提供されるのだろうか。
このようなテレビに多額の広告宣伝費をつぎ込む代わりに、功利主義マーケティングを考えてみたらどうだろうか。飲料水メーカーなどがモバイルのゲームアプリを使って行う一過性のキャンペーンとは異なり、功利主義マーケティングは人々が抱えている問題を解決するサービスやアプリを提供し、それによって長期的にブランドの認知や信頼を獲得しようとするものだ。そのサービスやアプリは自ずとそのブランドの市場に関係したサービスになるだろう。
iPhoneやAndroidスマートフォンのアプリケーションは星の数ほどもあり、その収益化は非常に難しい状況だ。 SitOrSquatのように多くのユーザーを獲得するまでに息切れしてしまう開発者も多い。大手の広告代理店がスポンサー企業のためのアプリのコンペをするなどして、アプリ開発者と企業との仲介役をすれば面白いビジネスモデルができるのではないだろうか。きっとアプリ開発者と企業とユーザーとのWIN-WIN-WINの関係を作れると思う。
功利主義マーケティングは次にビジネスを大きく変えてしまうものになるだろう。功利主義マーケティングとは広告に関することではなく、メッセージングに関することでも、顧客との直接的な対話に関することでもない。それは真の価値と実利の提供に関することだ。それは消費者がいつも使いたくなるだけでなく、それを使うことによって多くの価値を得ることができる何かであり、それは彼らの生活において大きな注目の的となるだろう。我々が暮らしているこのメディアや広告が溢れた世界において、あなたのブランドはそのような興味をかきたて注目を集めることができるだろうか。(原文より筆者訳)企業はその製品によって機能的価値を提供するが、その製品に関連する別の機能的価値をマーケティングとして提供することによって消費者の信頼と評判を獲得しようというものだ。わかり易い例が挙げられている。画像を見るSitOrSquat(座るかしゃがむか)というモバイルアプリは、いま自分が居る周辺の利用できる清潔なトイレを教えてくれる。このサービスが評判となって多くのユーザーを獲得すると、P&Gが自社のトイレットペーパーのブランド、チャーミンのマーケティングに利用すべく2009年にグローバルなスポンサーとなった。
P&Gはもともとマンハッタンに清潔で安全な公衆トイレが少ないという観光客の不満に目を付け、チャーミン・レストルームというキャンペーンを2006年から展開していた。観光客が集まるタイムズスクエアの一角にあるビルにチャーミンセンターというスペースを設置し、清潔なトイレや観光客のためのいろいろなサービスを無償で提供していた。そのP&Gの狙いにSitOrSquatは完璧にはまった。チャーミン・レストルームというキャンペーンをアドボカシー(Advocacy: 顧客支援)マーケティングとして紹介する記事もあったが、概念的には功利主義マーケティングと同じものだと思う。
4月15日に総務省が発表した 2013年の「情報メディアの利用時間と情報行動に関する調査<速報>」によると、平日のテレビ視聴時間が全体平均で前年より16.4分(約9%)減少し、40代・50代の視聴時間が前年に対して40分と初めての大幅減となったこととがその原因だとされてる。
これまでもスマートフォンやソーシャルネットサービスの利用時間の増加によって若者のテレビ離れが進んでいるという報道はあった。しかし今回の40代・50代の視聴時間の減少の理由はそうではなさそうだ。間もなく正式版が出るようだが、テレビ番組の質が低下したためではないだろうか。
一方で2月に電通が発表した「2013年の日本の広告費」によると、2013年のテレビ広告費は1兆7,913億円で前年比100.9%で、下半期だけを見ると前年比102.0%と増加傾向になっている。その内容は「金融・保険」「不動産・住宅設備」「飲料・嗜好品」などのスポット広告で、いわゆる番組スポンサーとして半年契約となるタイム広告は減少しているようだ。じっくりと良質な番組を制作するよりも、短期的に視聴率を稼げる番組を制作してスポット広告を獲得しようというテレビ局の姿勢が反映されているように思える。これではさらにテレビ離れが進んでしまう。超高画質とされる4Kテレビを購入しても、その価値を感じることができる番組は提供されるのだろうか。
このようなテレビに多額の広告宣伝費をつぎ込む代わりに、功利主義マーケティングを考えてみたらどうだろうか。飲料水メーカーなどがモバイルのゲームアプリを使って行う一過性のキャンペーンとは異なり、功利主義マーケティングは人々が抱えている問題を解決するサービスやアプリを提供し、それによって長期的にブランドの認知や信頼を獲得しようとするものだ。そのサービスやアプリは自ずとそのブランドの市場に関係したサービスになるだろう。
iPhoneやAndroidスマートフォンのアプリケーションは星の数ほどもあり、その収益化は非常に難しい状況だ。 SitOrSquatのように多くのユーザーを獲得するまでに息切れしてしまう開発者も多い。大手の広告代理店がスポンサー企業のためのアプリのコンペをするなどして、アプリ開発者と企業との仲介役をすれば面白いビジネスモデルができるのではないだろうか。きっとアプリ開発者と企業とユーザーとのWIN-WIN-WINの関係を作れると思う。



