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袴田事件の再審開始決定を契機に日本の刑事司法改革を進めよう! - 西嶋勝彦

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 また、「証拠ねつ造、隠匿の責任者追及」も実現させるべき課題です。袴田事件は、捜査側による証拠のねつ造や隠匿が歴然としています。これにかかわった警察や検察官は、厳重に刑事・民事で訴求されるべきです。

 証拠のねつ造や隠匿は、昔からあることです。夜行列車が転覆させられた松川事件では、被告人のアリバイを証明するメモを転勤の度に検察官が持ち歩き、隠匿していました。芦別事件(旧国鉄の鉄道爆破事件)では、レールや炭鉱の爆破に使われ紛失したとされた発破器を、検察官が隠し持っていました。また、駐在所を襲撃された大分の菅生事件や長野の辰野事件では、共産党関係者が逮捕されましたが、あとになって警察官の自作自演だったことがわかりました。

 こうした例は枚挙に暇がありません。ところが、処罰されたのはほんのわずかで、村木事件(障害者郵便制度悪用事件)以外は、ほとんどうやむやになっています。裁判での偽証や、証拠のねつ造の訴追を行うのは、検察官自身だからです。

 もっとも、捜査官が証拠のねつ造や隠匿をしたとしても、裁判の最終的な責任は裁判所にあります。どういう証拠を調べなかったがために裁判を間違えたか。あるいは、証拠の評価をどう誤ったのかを検証し、司法改革にいかさなければなりません。裁判所の間違いを検証する第三者機関の設立が必要です。しかし、裁判所は司法の独立の影に隠れて、まったく動こうとしません。私は、裁判所が自主的にえん罪を検証しないのなら、国権の最高機関である国会に設置すべきだと考えています。

 これまで袴田事件のほかに4つの死刑事件で再審無罪が確定しましたが、何らかの検証手続きが行われていれば、今日のようなことにならなかったのではないでしょうか。裁判所を聖域にしていてはいけない。そう、声を大にして叫びたいと思います。

 そして、誤判が避けられないのだとしたら、死刑は廃止すべきです。先進国の中で、死刑を執行している国は、日本とアメリカの一部の州だけです。韓国では、死刑制度は残されているものの、執行を停止しています。EUでは死刑廃止が加盟条件になっています。死刑の存廃は、世論調査やアンケートの結果で決めるべき性質のものではありません。1981年、フランスでミッテラン大統領が自分の決断で死刑を廃止したように、政治家のリーダーシップで決めるべきです。しかし、日本ではそうした動きは見られません。「死刑廃止を推進する議員連盟」がありますが、中心メンバーの落選や高齢化によって活動実態がない状態です。

 最後に、マスコミのあり方についても、袴田事件で考えるべきテーマだと申し上げましょう。再審開始決定が出た以降の報道は周知の通りですが、事件発生当初はひどいものでした。「ボクサー崩れ」「まだ白状しない」といった論調の報道が相次いでいたのです。
 袴田事件の再審開始が決定した今、これらの課題について正面から議論し、刑事司法改革を進めるべきではないでしょうか。

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