- 2014年06月23日 18:22
新彊ウイグル地区の中国当局の暴力的政策について徹底検証〜中国政府がウィグル族への弾圧を暴走せざるを得ない理由
3/3●「ゼロ容認政策」すなわち「ウイグルを力でねじ伏せる政策」に暴走する中国当局
中国当局はここにきて「ウイグルを力でねじ伏せる」強硬方針を決定いたします。
2014年5月23日、新疆ウイグル自治区の政府系サイト「天山網」によると、ウルムチで22日に発生したテロ事件を受け、同自治区政府は15年6月までの1年間に及ぶテロ撲滅作戦を開始いたしました。
1年間のテロ撲滅作戦では、全住民の力を結集し、極めて強硬な措置や特殊な手段を採用してでもテロ活動を徹底的にたたき潰し、テロリストやテロ組織を壊滅し、テロリストの傲慢(ごうまん)さを壊滅していく方針だとしています。
具体的には見せしめ裁判を強行します、 ウルムチでの先月22日に130人以上が死傷した爆発テロ事件を受け、自治区イリ・カザフ自治州では27日、当局が「暴力テロ犯罪分子」と認定するウイグル族とみられる被告らに、公開の場で判決を下す「公開裁判」が開かれています。
自治州の州都グルジャ市の大型スタジアムで開かれた。各民族の幹部や民衆ら約7000人が見守る中、死刑判決を受けた被告3人を含め、6件の事件で故意殺人罪や国家分裂罪、テロ組織に加わった罪などに問われた計55人に判決が下されました。
中国メディアは、首を押さえつけられてトラックの荷台に乗せられたウイグル族とみられる多数の被告らの写真を掲載しており、この前時代的公開裁判は見せしめの側面が強いのです。
(参考記事)
中国「ウイグルを力で」方針決定
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140530/k10014841321000.html
(参考記事)
爆発事件多発の新疆ウイグル自治区、1年にわたる「テロ撲滅作戦」を開始―中国
Record China 5月24日(土)18時4分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140524-00000020-rcdc-cn
(参考記事)
ウルムチ爆発:「ウイグル族」被告らを公開裁判
毎日新聞 2014年05月28日 18時27分(最終更新 05月28日 23時49分)
http://mainichi.jp/select/news/20140529k0000m030025000c.html
また「標準化」の名のもとにウイグル族固有文化への弾圧策も一気に強化し、伝統的民族衣装まで「規制」することを当局は決定しています。
(参考記事)
中国、「対テロ」で衣装規制 新疆の少数民族に
2014.5.13 20:42 [テロ]
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140513/chn14051320420005-n1.htm
このような国家権力による服装までもの弾圧は、宗教行為の制限や中国語教育の強要に対して反発を強めているウイグル族をさらに刺激することとなります。
6月23日付け朝日新聞記事は「中国ウイグル自治区で警官5人殺害 検問所を襲撃」と報じています。
中国ウイグル自治区で警官5人殺害 検問所を襲撃
広州=小山謙太郎2014年6月23日10時56分
米政府系放送局のラジオ・フリー・アジア(RFA)は22日、中国新疆ウイグル自治区のホータン地区モーユー県で20日早朝、何者かが警察の検問所を襲い、警官5人が死亡したと報じた。
地元当局者の話としてRFAが伝えたところによると、犯人は複数とみられ、検問所の外で警備していた警官2人を刺殺した後、建物に放火した。部屋の外からカギをかけ、暖炉の煙突からガソリンを注いで火をつけたらしい。部屋で寝ていた警官3人が焼死体で見つかったという。
警察は事件の2日前、スカーフで頭を覆った女性やあごひげを生やした男性を呼び止めて尋問するなどしており、ウイグル族の住民との間で緊張が高まっていたという。
襲撃の原因は、「警察は事件の2日前、スカーフで頭を覆った女性やあごひげを生やした男性を呼び止めて尋問するなどしており、ウイグル族の住民との間で緊張が高まっていた」ことによるものです。
中国当局による「ウイグルを力でねじ伏せる方針」は、かえって大きな反発を招いているのが実情であります。
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中国習指導部はテロ勢力に対しては「ゼロ容認」つまりゼロ・トレランス方式、一切の寛容を示さない無慈悲政策を掲げています。
ゼロ・トレランス方式
ゼロ・トレランス方式(ゼロ・トレランスほうしき、英語: zero-tolerance policing)とは、割れ窓理論に依拠して1990年代にアメリカで始まった教育方針の一つ。「zero」「tolerance(寛容)」の文字通り、不寛容を是とし細部まで罰則を定めそれに違反した場合は厳密に処分を行う方式。日本語では「不寛容」「無寛容」「非寛容」等と表現され、転じて「毅然たる対応方式」などと意訳される。
5月23日付けの人民日報では、賈秀東中国国際問題研究所特別招聘研究員が中国政府の強硬方針を掲載しています。
テロ勢力に対してはゼロ容認しかありえない
人民網日本語版 2014年05月23日13:49
http://j.people.com.cn/n/2014/0523/c94474-8731725.html
ウルムチ市内の爆発事件を「テロ事件」と「定義」し、「基本的人権を無視し、人類の道義を踏みにじり、人類社会共通の秩序と人類文明共通の最後の一線に挑戦する」のが「テロ勢力の凶悪残忍な本質」であると指摘します。
ウルムチ市内で22日、暴徒の運転する車が朝市の人混みに突っ込んだうえ、爆発物を起爆し、民衆多数が死傷した。今年3月1日に昆明駅で起きたテロ事件、4月30日にウルムチ南駅で起きたテロ事件に続く、人間性を喪失した、人々を激怒させる血腥い犯罪行為だ。22日のテロ事件でテロリストは極めて卑劣かつ残忍な手段によって、罪のない人々を無闇に殺害した。基本的人権を無視し、人類の道義を踏みにじり、人類社会共通の秩序と人類文明共通の最後の一線に挑戦するテロ勢力の凶悪残忍な本質が再び暴露された。
「習近平国家主席と李克強総理は、速やかに事件を解決してテロリストを逮捕し、厳重に処罰するよう重要な指示を出すとともに、テロ活動とテロリストに対して警戒を続け、力強く打って出て、厳しく叩く高圧的姿勢を維持し続け、社会の安定を全力で維持する方針を強調した」とします。
ちょうどアジア信頼醸成措置会議(CICA)首脳会議が対テロで一致した声を発して閉幕し、新疆維吾爾(ウイグル)自治区でテロ音声動画犯罪事件16件に判決が言い渡された際に、テロリストはテロ事件を引き起こした。その野心は明らかだ。これは中国社会と国際社会の対テロの決意に対する公然たる挑発だ。このところ相次ぐテロ事件によって、中国のテロ対策が厳しい状況にあることが浮き彫りになり、テロ対策は一刻たりとも油断ならないことが改めて示された。テロ事件発生後、習近平国家主席と李克強総理は、速やかに事件を解決してテロリストを逮捕し、厳重に処罰するよう重要な指示を出すとともに、テロ活動とテロリストに対して警戒を続け、力強く打って出て、厳しく叩く高圧的姿勢を維持し続け、社会の安定を全力で維持する方針を強調した。
その上で習主席は「テロリスト、分離独立派、宗教過激派の「3つの勢力」に対してはゼロ容認の姿勢で臨まなければならない」と演説したことに触れています。
習主席はCICA首脳会議の基調演説で、テロリスト、分離独立派、宗教過激派の「3つの勢力」に対してはゼロ容認の姿勢で臨まなければならないと指摘した。少し前の新疆自治区幹部座談会では、テロ勢力に「壊滅的打撃」を与える方針を示し、テロ活動は早期に叩き、小さなものも叩き、芽のうちに叩き、電光石火の勢いで壊滅的打撃を与えなければならないと強調した。
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●まとめ
一言で言えば、中国政府はウィグル族への弾圧をもはや今となっては止めたくても止めることはできないのだと思います。
彼らの乱暴な民族同化政策の一環である漢民族大量移住計画が新彊ウイグル地区において、漢民族を都市部でマジョリティ集団と押し上げてしまったジレンマが、漢族対ウイグル族という民族対立の構図も相まって、妥協を許さない「ゼロ容認政策」すなわち「ウイグルを力でねじ伏せる方針」を新彊ウイグル自治区で強行させているのです。
中国当局にとって真に恐ろしいのは人口の9割を越える漢民族の反抗にこそあります。
彼ら漢民族の不満が爆発しないために、中国当局はウィグル族に対し一切の妥協を許さない暴力的政策に転じざるをえなかったのだと思われます。
なぜ中国当局はウイグル族の強い反発を招く危険を冒してまで、「ゼロ容認政策」すなわち「ウイグルを力でねじ伏せる方針」を強行しようとするのか、今回は当ブログとしてこの地における中国当局の暴力的政策について、その実態とその動機について徹底的に検証してまいりました。
このエントリーが読者のこの問題に対する知的考察の一助となれば幸いです。
(木走まさみず)
- 木走正水(きばしりまさみず)
- 新聞・テレビの報道分析が高い評価を受けている。



