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「パチンコ税で2000億円」の皮算用

えーっと、何で今頃になってこれが大きく報道されているのかイマイチ理解していないのですが、パチンコ税創設に関する論議が話題になっています。以下、産経ニュースよりの転載。
「パチンコ税」創設浮上、1%で財源2000億円試算
政府・自民、法人税率下げ減収の穴埋め
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140622/plc14062209500004-n1.htm

政府・自民党内で、安倍晋三首相の主導で政府が決めた法人税の実効税率の引き下げに伴う税収減の穴を埋める財源の一つとして、パチンコやパチスロの換金時に徴税する「パチンコ税」の創設が浮上していることが21日、分かった。1%で2千億円の財源が生まれるとの試算もある。ギャンブルとして合法化する必要があるため異論もあるが、財源議論が活発化する中、注目が集まりそうだ。[...]
上記記事では「パチンコ税の創設が浮上していることが21日、分かった」なんて報じられていますが、これって2月の風営法改正議連の発足時にはすでに判明していた案件なんですよね。しかも、この議連発足に関して、それを最初に大きく報じたのは、日経ビジネス側で私が連載しているコラムだという。。以下、2月に私が書いたコラム。
パチンコが突きつける「賭博民営化」の矛盾
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20140227/260342/?n_cid=nbpnbo_bv_ru&rt=nocnt
…で一応、このような動きが本格化しはじめた理由を解説をしておきますと、そこには二つの要素があって、ひとつは「カジノ合法化機運が高まったこと」、そしてもうひとつが「自民党の税制改正大綱で『担税力に応じた新たな課税の検討』が示唆されたこと」であります。そのうち前段のカジノ合法化との関連性に関しては、これまでも散々論じてきているので以下のエントリあたりを読んで下さい。
いよいよ動き出したパチンコ換金の法制化論
http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8259311.html
そして特に皮算用的に報じられている「パチンコ税で2000億円」との関係で重要なのが、昨年末に発表された平成26年度税制改正大綱です。税制改正大綱とは、翌年度以降の増税や減税、新しい税の仕組みなど税制の具体的内容を網羅した税制改正の原案です。自公政権では、両党の議員に与って組成された「税制調査会」によって毎年発表されるのですが、その平成26年度の大綱にて以下のような表現がなされました。

平成26年度税制改正大綱―自民党
https://www.jimin.jp/policy/policy_topics/123161.html

平成25年10月1日に、政府により平成26年4月からの消費税率引上げについて確認がなされたことも踏まえつつ、「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」(税制抜本改革法)においても示されているこうした課題について検討を進め、所要の措置を講ずる。また、今後、内外の社会情勢の変化を踏まえつつ、担税力に応じた新たな課税について検討を進める。(下線は筆者)
消費税が増税された現状において、「担税力に応じた新たな課税」について検討を進めるという表記です。「担税力」というのは分かり難い表現ですが、簡単に言うと「税金を払う能力」という意味の用語で、要するに「払う能力のありそうな人から税を取れる新しい仕組みを考えます」ということになります。

上記税制大綱においては、その検討の先が何になるかについての言及はないですが、実は発表の時点で内々ではすでに色々な論議が行なわれていて、その新たな検討先として挙がっていたのが「ケータイ」「電子書籍」「ソーシャルゲーム」「パチンコ」などのITもしくは娯楽分野への課税です。すなわち、パチンコ税の創設に関するニュースとは別に報じられていた以下の報道なんかも、実は論議としては同一線上に存在するものなんですね。以下、同じく産経ニュースによる報道。
次は「携帯電話課税」か…
消費税10%だけでない、財務省がもくろむ新たな「増税ネタ」
http://sankei.jp.msn.com/west/west_economy/news/131223/wec13122318010007-n2.htm
…ということで、業界内ではタカ派業界団体によるトンデモ案として長年認知されてきたパチンコ換金の法制化案が、様々な時節を経ていよいよ本格的に国政論議として語られるようになりそうです。

もう少し内情を詳しく話せば、実は冒頭の産経ニュースが報じている法制案とは別方面の業界組織によって作られた異なる法制案も存在しており、両組織が火花を散らす一方で、その他の業界団体は双方の提案を一笑に付す形で頭から否定するという、すでにかなり白熱したプロレス的な展開です。非常に込み入った論議となるので、その辺の解説はまた別途行ないますが、現行で語られている法制案はいずれの案においても、賭博を禁じている刑法185、186条との兼ね合いの中で、非常に難しい論議を抱えているという点を最後に申し添えた上で、本稿を閉じたいと思います。

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