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野次の前にやるべきことがある

東京都議会で18日、妊娠や出産の支援策について質問した女性都議に対し「早く結婚しろ」「産めないのか」といった不適切な野次が飛ばされていたことが話題となっています。

都議会で野次を受けたのは、かつてテレビに出演していた経歴を持つ「美人都議」。野次の発言者は、恐らく軽い気持ちで、からかったつもりだったのでしょう。しかし、議会の本会議という神聖な場で、あまりにも不適切な発言。結婚や不妊に関する悩みを持つ多くの人を傷つけたと思います。

早期に発言者を特定し、公表すべきです。そのうえで都議会議員としての資質を持っているのかどうか、次の選挙で都民の審判を受けてほしいと思います。

さて、今回はたまたま注目を集めましたが、議会に野次はつきものです。「野次は議会の花」といわれ、野次を多く飛ばす議員「野次将軍」は花形の存在ですらあります。都議会は見たことがありませんが、国会でもあらゆる会議で野次が飛び交っているのが現実です。

国会においてもっとも多くの野次が飛び交うのが総理大臣の演説です。通常国会の冒頭で行われる「施政方針演説」と臨時国会の冒頭で行われる「所信表明演説」。衆参両院の本会議場でそれぞれ行われるこの演説は何度も生で聞きましたが、それはそれは多くの野次が飛び交います。

もっともひどかったのは2007年秋の臨時国会でした。直前の参院選で与党が大敗を喫し、参院の過半数を野党が占める「ねじれ国会」になったばかり。オーストラリアで行われたAPECから帰ってきたばかりの安倍晋三首相が9月11日に所信表明演説を行いましたが、野党議員の多い参院では首相の声が聞こえないほどの音量の野次でした。

100人を超える野党議員が大声で、口々に首相の悪口を叫ぶのです。精神的にも堪えたと思います。その翌日、安倍首相は体調不良による退陣を表明しました。

予算委員会や党首討論が行われる国家基本政策委員会などの花形委員会でも野次だらけ。与党議員の質問や大臣の答弁の際には野党席から、野党議員の質問の際には与党席から野次が飛びます。中には適切な「ツッコミ」もありますが、大半はただのイチャモン。議論の役に立っているとは到底思えません。

背景には、国会における会議が「儀式化」していることがあります。本会議は議論ではなく、質問する議員も答弁する大臣も原稿を読み上げるだけの儀式。予算委員会も結局は政府原案のまま、素通りすることが決まっているので、野党議員がアピールするだけの場となっています。

だから出席者は皆、真剣な表情など見せず、ヘラヘラ笑いながら野次るのです。こうした現実を変えるには、国会を真剣な議論の場にする必要があります。定数を減らす代わりに政策スタッフを拡充し、予算編成や法律制定における議員の関与をもっと強めなければなりません。

そうなれば野党議員も言いっぱなしではなく、予算や法律をよりよくしていくための実質的な議論をするようになります。野次の余裕などなくなり、真剣に与野党の質問や政府の答弁に耳を澄ますようになるでしょう。首長の政策を追認するだけとなっている、地方議会のあり方も変えなければなりません。

東京都の出生率は全国最低。野次の前にやるべきことがあるはずです。

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