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取調べの可視化は司法の適正化を求めるすべての人の利益に繋がる

裁判員裁判対象事件だけでなく特捜部の独自捜査事件についても録音・録画を実施する方向での検討が法務省で進んでいるようだ。
可視化の方向性が見えてきたのは悪いことではないが、勿論これでは足りない。

冤罪事件が発生しやすい事件は全部可視化の対象にしていかなければならない。
一般市民が巻き込まれそうなのが痴漢事件であるが、贈収賄も脱税もさらには普通の恐喝や詐欺や業務妨害なども危ない。

単に冤罪の発生を防止するためではない。
無辜の人を罪に問うてはならないのは当然だが、司法の正義を守るためにこそ取り調べは可視化していかなければならない。

どこの世界でも予断と偏見が真実の発見を妨げる。
見込み捜査は捜査には付き物だが、見込みは見込みでしかない。
先入見や思い込みで人はしばしば判断を誤まる。

捜査官の見込みに沿って証拠を収集するのは避けられないが、収集した証拠を選別し、捜査官の見込みに沿う証拠だけを取り出して立件するのがいけない。
どんなにベテランの捜査官でも間違いをすることがある。
間違いをする可能性がある捜査官の間違いを自らが正す、などということは不可能である。

間違いをしないようにするためには、間違いを犯す可能性を極力少なくする努力をするしかない。
間違いを犯しやすいのは、取り調べが密室で行われるからであり、かつ密室での取り調べについて誰もチェックできないからである。

司法は、国民のためにある。
捜査官の取調べ権限は、国民から付託されたものである。

しかし、捜査の現場でそういうことがどこまで徹底しているのかが分からない。

成績主義が横行している社会では、しばしばこういう基本的なことがおろそかにされ、自分の成績を上げるために無理なことをしてしまう。
証拠をねつ造したり、隠蔽したりして犯人をでっち上げることを司法は求めていない。
法は、あくまで正義の実現を求めているだけである。

間違いを犯す可能性を極力減らすためにはどうしたらいいか。
そういう視点から日本の刑事司法のありかたを見直すのがいい。

密室での取り調べの弊害を除去するための一つの方策として当番弁護士制度が始まった。
これをもう一歩進めると、取り調べに弁護人の立会いを認めるべし、ということになる。
自白偏重の日本の刑事裁判の弊害を除去するための一つの方策として裁判員裁判制度が始まった。
形骸化していると言われていた日本の刑事裁判がこれで変質し始めた。
作文でしかないと言われていた捜査段階での供述調書が本当に作文だった、ということが広く認識されるようになった。
捜査段階で録音・録画を実施することの必要性は多くの国民が実感していることだと思う。

検察庁はまずは自分のところだけで取り調べの可視化を実施しようと考えているようだが、これでは足りない。
警察での取り調べそのものを可視化の対象にしなければ、冤罪の温床を取り除いたことにはならない。

警察は様々な理屈をつけて取り調べの可視化に反対しようとしているが、警察の厚い壁を突破しなければ日本の司法の歪みを正すことは出来ない。
法務省ではなかなか出来ない仕事かも知れない。
こういう時こそ、国会議員の出番である。

国会は国権の最高機関である。
司法を正すことは、国民全体の利益に直結する。

国会議員は、もっと仕事をしていい。

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