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孤独死に年齢は関係ない ―― ひとり暮らしが当たり前の時代で社会化を迫られる死 / 『孤独死のリアル』著者・結城康博氏インタビュー

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死を社会化する

―― お話を伺っていると、結城さんは、孤独死を防ぐことよりも孤独死された遺体をできるだけ早く発見することに重点を置かれているように思います。

もちろん、救える命を救うことは大切です。それでもどうしても孤独死は起きてしまいます。

よりよい人間関係を構築しても最後は一人です。病院にもなかなか入れません。国は在宅介護を推進していますから。それに最期を自宅で迎えたいと考えている人を無理やり施設に入れるわけにもいきません。一人で生きていくことも当然の権利です。だから一人カラオケや一人焼肉をしてはいけないなんてことはない(笑)。

ただし、そういう生活を送るのならば、自分の遺体が2、3日以内に発見されるような関係を構築することが義務だと思います。誰もが社会のなかで生きているんですから「死んだあとのことは知らないよ」は自分勝手です。人知れず自分の死体が腐っていったら、周りに迷惑をかけることになりますから。

命が終わるまでが死だと思いがちですけど、お墓に入るまでが死なんだと思います。昔は遺体を灰にしてお墓にいれるまでを家族や地域がやってくれたからよかったんですけど、そうした関係が希薄になっているいま、死を社会が受け止めなければいけない時代になっている、いわば社会化しなくてはいけないのだと思います。

公的サービスあっての自助・互助

―― いまはどのような対策をとられているのでしょうか?

政府は自助と互助に期待しているようですが、これは低迷していくものだと思っています。

政府のいう自助は、簡単にいえば自己責任ですよね。自分のことは自分でする。先ほどからお話している人間関係の構築はそれにあたるのかもしれません。ただ、自分だけではそれができない人もいます。例えば、認知症患者が300万人もいると言われている中で、認知症の方に「自助してください」「自己責任です」といって片づけるわけにはいかないでしょう。

一方の互助ですが、地域の自治会も孤独死対策として、見回りを行う動きは広まりつつあります。でも、このような見守り活動にはボランティアとしての限界もあるし、自治会の高齢化という問題もあります。

自助や互助というのは、十分な公的サービスを前提に、行うものだと思います。社会保障や福祉といった公的サービスを減らして、「あとは自助・互助で頑張ってね」は対策としてズレている。まずは役所が責任を負う体制を整えること。そのためには職員を増やさないといけないと思いますが、すべて公務員がやるとなるとお金がかかってしまうので、地方自治体や地域の企業もあわせて、孤立している人を見守ることのできるシステムを考えることが重要になってくるでしょう。これが公的サービスの基本だと思います。そこから自助・互助が始まるものだと思いますね。

孤独死対策に消極的な人も射程に入れる

―― いま注目している孤独死対策にはどのようなものがありますか?

最近だと、大阪府寝屋川市のサービスが注目されましたね。ひとり暮らしの方のカギを本人同意のもとに社協が預かって、なにかあったらご自宅に踏み込めるようにする。本書でも紹介しましたが、例え24時間灯りが付きっぱなしだとか、新聞が郵便受けに溜まっているなど不審な点があっても、市役所の職員などが家の中に入るには面倒な手続きが必要なんですね。この取り組みは画期的だと思います。ただし、これはあくまで本人同意のもとのため、もともと気にかけている人にしか見守りの目は行きわたらないという問題もありますね。

あるいはこの本でも紹介しているように、新聞配達やヤクルトと連携したサービスもあります。お弁当の訪問販売もいいですよね。自治体が弁当屋さんに週に一日分だけ弁当代を出して、ひとり暮らしのお年寄りの家に、必ず手渡しで弁当を届けてもらう。地域の経済もまわりますし、お年寄りは食事を作るのも大変ですから助かるでしょう。

しかもこのサービスなら、孤独死対策に積極的でない人にも、しっかりと見守りの目が行くようになっている。孤独死予備軍にあたる人たちは、孤独死対策に消極的なんですよね。やっぱり人間関係をうまく構築できていなかったり歳をとってから引っ越してしまった場合、「助けて」とは言いにくいんですよ。財源の問題だったり、個人情報の問題だったり、いろいろ面倒な問題はたくさんあるんですが、いまアイディアは出てきているんです。

―― 孤独死問題が注目されてきているからなのでしょうか?

そうですね。孤独死の研究を初めて7、8年経っていますが、孤独死の話をして「そんなことがあるんですね!」と驚かれることは減ってきました。65歳以上の孤独死が顕在化してきて、多くの人が孤独死のイメージをもてるようになっている。その分、マスコミはあんまり報道しなくなっているんですけど。

心配なのはいまの若い世代です。一人カラオケもいいんですけど、まず自分一人では生きていけないこと、そして死ねないことを実感して欲しいですね。60、70代になってから対策をとるのでは手遅れです。誰だって孤独死する可能性はあります。歳をとればとるほど、その可能性は高くなっていくでしょう。自分の死をいかに社会の中で組み込んでいくのか、を考えなくてはいけない。そのためにも本書を手に取っていただきたいと思います。

画像を見る 結城康博(ゆうき・やすひろ)
社会保障論 / 社会福祉学

淑徳大学総合福祉学部教授。淑徳大学社会福祉学部社会福祉学科卒業。法政大学大学院修士課程修了(経済学修士)。法政大学大学院博士課程修了(政治学博士)。社会福祉士・介護福祉士・ケアマネジャー。地域包括支援センター及び民間居宅介護支援事業所勤務経験をもつ。専門は、社会保障論、社会福祉学。著書に『日本の介護システム-政策決定過程と現場ニーズの分析(岩波書店2011年)』『国民健康保険(岩波ブックレットNo.787)』(岩波書店、2010年)、『介護入門―親の老後にいくらかかるか?』(ちくま新書、2010年)、『介護の値段―老後を生き抜くコスト』(毎日新聞社、2009年)、『介護―現場からの検証』(岩波新書、2008年)など多数。

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