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「エコシステム・マネージメントの政治学」ハンナJコートナー、マーガレットAムート


重要な本だと思います。

本書は環境資源を管理するにあたり政治を無視することはできないということについて書かれています。

とくに最近は人類が環境に与えるインパクトが大きくなっているので個人のレベルや小さなコミュニティの単位での自然・環境保護の努力ではもう不十分であり、もっと大きな意思を巻き込んでいかなければいけないわけです。

だからこれは「環境についての本」あるいは「自然や森林に関する本」ではなく、あくまでも政治学の本です。

ここで政治学という場合、本書の著者はアメリカ人なので、米国の法律と行政について書かれています。

たとえばイギリスからアメリカに移住した初期の入植者たちは、アメリカの広大な土地を見て資源は無限だと思いました。だから法律もそれが無限であるという前提の上で制定されたわけです。

このようなメンタリティーから、そもそも土台の部分から傾いた法体系の上で行政を走らせると「資源劣化ぎりぎりのところでの経営」という保続可能収穫量に基づいた運営にならざるを得ません。

そこでは自然の法則よりも市場価値のある財を供給するというビジネスのロジックに支配されることを意味します。

さらに行政そのものも森林局と土地管理局の役回りの違いに代表されるような、縦割りの、ひとつの資源に限定した体制になっており、これからの環境行政に要求される、包括的でグローバルなアプローチとはかけ離れたものでした。

環境行政や法律の有効性をモニターするためのデータは技術の進化で昔とは比べ物にならないほどアベイラブルになってきています。

それが今後の環境マネージメントや世論形成に大きく影響する可能性が出てきました。

こうした流れから、エコシステム・マネージメントには、ある種のパラダイム・シフトが起こる可能性があります。

従来の、人間の都合だけを考えた資源管理から、複雑で絶えず変化しているエコシステムの運営の発想に変えていかなければいけないわけです。

そこでは非線形(ノン・リニアー)な発想が必要だし、確率論的な考え方も利用すべきだし、爆発的に増えているデータを上手く利用して判断に生かしてゆかなければいけません。

このように考えるとエコシステム・マネージメントの政治学は、未だ端緒についたばかりの、手探りの状態にあることがわかるのです。

大体、以上が本書のあらましですが、これは環境行政の在り方に興味がある人向けに書かれた本であり、一般書というより大学のテキストのような印象です。

また「これからのエコシステム・マネージメントはどうあるべきか?」という問題についての、方向付けは示されているけれど、安易な回答は示されていません。

つまりこの学問自体がwork-in-progressなのです。

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