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アマゾンのミュージック・ストリーミング・サービス参入はアップル、パンドラ、スポッティファイのビジネスにどう影響する?

今日、アマゾン(ティッカーシンボル:AMZN)が「プライム」のメンバー向けにミュージック・ストリーミングのサービスを開始しました。

これでミュージック・ストリーミングの市場はパンドラ・メディア(P)、スポッティファイ、つい先日アップル(AAPL)が買収したビーツ・ミュージックなど、沢山の業者がひしめく過当競争の様相を呈してきました。

しかし丁寧に観察すると、それぞれの企業の商売の目のつけどころは微妙に異なっており、かならずしもすべての企業が同じ土俵で競争してないことがわかります。

まずアマゾンの狙いは「プライム」の顧客のつなぎとめです。アマゾンは3月に「プライム」会員の年会費をこれまでの79ドルから99ドルに値上げしました。「プライム」の会員はアマゾンで買い物したときの送料をまけてもらえるほか、映画のストリーミングを一部無料で楽しめます。つまり「プライム」は航空会社のマイレージプランのような、顧客繋ぎ止めのためのサービスという性格を持っているのです。あるいはネットフリックス(NFLX)のストリーミング・ムービーと競合しているという風に解釈することも出来るでしょう。だからアマゾンはミュージック・ストリーミング単体で商売にする気は、サラサラありません。

たぶん、音楽好きの人が一番高く評価するのはスポッティファイだと思います。なぜならカスタマイゼーションできる度合いが高いからです。

これに対してパンドラ・メディアはミュージック・ストリーミングを、インターネットを通じたラジオ局と捉えています。ラジオではリスナーが曲を選ぶことはできません。そのランダム性が比較的安い使用料でパンドラ・メディアが音楽を流せる理由です。事実、パンドラ・メディアのユーザーの大部分は「コマーシャルあり」の無料サービスを楽しんでいるのであって、サブスクリプション会員は僅かです。

パンドラ・メディアは曲の間に流すコマーシャルの広告主を探すため、大きな広告営業部隊を抱えています。広告主はラジオ広告の場合に酷似しており、地域密着型の広告主が多いです。現在、アメリカで売られている新車のダッシュボードには殆どの場合、パンドラのボタンがプログラムされており、ラジオ局を選ぶのとまったく変わらない簡便さでパンドラを聞くことが出来ます。つまり車載インターネット・ラジオでは、すでにパンドラがデファクト・スタンダードになっているということです。

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クルマでパンドラを楽しむユーザーはどのみち走行中のクルマの音などがあるので、それほど音質にはこだわりませんし、選曲の自由が無いということもラジオで長年慣れています。

つまりスポッティファイの客層とパンドラ・メディアの客層はそれほど競合しないのです。

アップルはiPodのビジネスの伝統があるので、「一曲ごとの切り売り」のメンタリティーからなかなか抜け出せていません。ミュージック・ストリーミングのビジネスは自分の既存のビジネスモデルをカンニバライズするため、これまでのストリーミングの試みには「気迷い」が見え隠れしていました。ビーツ・ミュージック買収により今までとは違う、ふっきれたサービスが開始出来るかどうかは未知数です。


ところでアマゾンがミュージック・ストリーミングのビジネスに参入すると発表されて以降、「パンドラがM&Aのターゲットになるのでは?」という観測が出ています。これまで実にいろいろなネット企業がミュージック・ストリーミングのビジネスに参入したけれど、結局、マーケットシェアとしては圧倒的にパンドラ・メディアが強いわけで、その牙城は崩せていないのです。

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パンドラのビジネスモデルがローカル広告と密接に関係していることから、ロジカルなパートナーとしては同じく広告モデルであるグーグル(GOOGL)やフェイスブック(FB)の名前が挙がっています。

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それに加えて、今回、アマゾンが打ち出したサブスクリプション顧客のつなぎ止めという視点に立てば、ネットフリックスによるパンドラ・メディアの買収もまったくありえないシナリオではなくなっています。

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