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最高裁大法廷での違憲状態判決について (その1) - 伊藤真

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東日本大震災について



 2011年3月11日(金)、午後2時46分に東北・関東地方でかつてない大地震が発生しました。その後、地震により生じた大津波が各地を襲い、多くの方が犠牲になりました。また、原発の問題によって避難を余儀なくされた方も多くいらっしゃいます。 被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。

 そして、2週間以上が経過した今現在も大きな余震が続き、復興もままならない状況が続いているとは思いますが、1人でも多くの方が、1日でも早く日常の生活に戻れるよう心より願っております。こうした困難に直面したときこそ、それぞれが各自の役割を果たし、自分にできることを自分の頭で考えて行動することが必要となると考えています。

 私も出来ることを一つずつ淡々と、そして確実にこなすだけです。節電や被災地に住まれている400名を超える塾生のフォローなどはもちろんですが、この国を真の代議制民主主義国家にする、すなわち、1人1票を実現する活動を継続して行っていくことが私に与えられた役割だと思っています。震災復興とともに1人1票を実現し民主主義を機能させることが新しい日本を創造するうえで不可欠の条件だと考えるからです。

 後述する最高裁大法廷での違憲状態判決を踏まえ、一部の国会議員から、「判決に従うと被災地を選挙区とする議員の数が減ることになり、被災地の声が国会に届かなくなるのでないか」という意見があるとの記事を目にしました。しかし、決してそうではありませんし、そうあってはなりません。

 これまでのコラムにも書いたとおり、そもそも現時点で被災地の方々は平等に1人1票を持っていません。国から冷遇され差別されているという現状をしっかりと認識すべきです。例えば参議院でいうと、岩手0.44票、宮城0.51票、福島0.59票、茨城0.40票、千葉0.29票です。これを文字通り「1人1票」にすることによって、被災地の声が国会に届かなくなることはありません。仮に西岡議長案では東北ブロックからは18人となります。

 どんなに被災地区選出の国会議員を増やしたところで、それによって復興が進むとはとても思えません。また、被災地以外の選挙区出身の国会議員が被災地の人々のことを無視して国政をするのでしょうか。今回の震災は正に国難なのですから、その復興策は単に一地方の住民の利益に関する問題ではなく、日本全体の問題だといえます。

 どこ出身の国会議員であろうと、被災地を訪れて被災者の声を聞くなど被災地の実情を把握し、全国民の代表として選挙区に関係なく復興策を議論できるはずです。そのためにも、被災地の方を含め、全国民が文字通り「1人1票」の選挙権、すなわち政治に対する影響力を持つことが重要なのです。

2011年3月23日 最高裁大法廷判決について



 先週の水曜日に最高裁大法廷で2009年8月に実施された衆院選の1人1票実現訴訟の判決がありました。当日は計画停電の影響で交通網が乱れる中(しかも平日です!)、100名を優に超える人が傍聴に駆けつけました。そして、大勢の傍聴人が法廷内で見守る中、判決骨子が読み上げられ、下された判決は『違憲状態判決』でした。1994年に小選挙区制度が導入されてから初の違憲判断です。

 最高裁大法廷は、投票権の価値の平等、すなわち、1人1票の実現を阻む主たる要因ともいえる「1人別枠方式」(衆議院議員の定数を配分する際に、まず都道府県に1人ずつ割り振り、残りの定数は人口比例によって配分すること)を『憲法の投票価値の平等の要求に反する』とし、これを廃止するなど『できるだけ速やかに本件区割基準中の1人別枠方式を廃止し、……、投票価値の平等の要請にかなう立法措置を講ずる必要がある』としました。

 しかも、『合憲』と判断した裁判官は1名に過ぎず、12名の裁判官が『違憲状態』、2名の裁判官は『違憲違法』であるとしました(判決の種類については、〈その2〉で説明します)。

 この判決は歴史的判決ともいえるもので、そう評価できる理由をいくつか挙げて説明しましょう。

 第一に、今までの最高裁の判例から、衆議院では3倍以内の格差(1:0.33票)なら、合憲であるといわれていた一種の定説のようなものを完全に否定したことです。今回の選挙の最大格差は2.3倍(1:0.43票)でしたから、一つの大きな壁を打ち破ったといえます。

 次に挙げられるのは、いわゆる何倍という基準を違憲判断の理由にしていないことです。つまり、今回の最大格差は上述のように2.3倍だったのですが、仮に最高裁が判決で『2.3倍だから、憲法に違反する』といえば、国会は2.3倍未満にすればよいと解釈し、例えば2.2倍とか、もうちょっとは是正して2.1倍ぐらいにしておけばいいのではないか、という具合に小手先の修正をする可能性が高く、現に今まではそういった状況が長く続いていました。

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