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通信屋が思う、IoTで見過ごされている以前に意識すらされていないこと

不肖岩永、紆余曲折ありながらも通信事業の世界の末席で禄を食んでいるのですが、末席ながらもたとえばいわゆるM2Mと呼ばれるような世界ってそれなりに昔から知っていたりはします。尤も通信の世界に入るまではいわゆるITの世界に居ましたから、頭の中にあった世界は今のIoTの世界として語られる世界と基本的に同じです。でも縁あって通信事業の世界に入り、一時期は通信規格そのものに絡むような立場も経験して、実は全然違うところが見えてきて驚いた事があります。

それは何か?いや、実は以前から触れているのですが「ITな人は通信資源が無限にあると思っている事が多い」という事。そして最近は更に「ITな人は通信インフラや通信規格そのものが永続すると信じてるのかもしれない」という事。少し過激だとは思うのですが、どうにもそんな事を思う事があるんです。製品寿命は意識してもインフラの寿命ってあまり考えない。それはそれで理解できます。そもそも目に見えないし。でも、だからといって「じゃぁどうすりゃいいんだよ」という問いに対して明確な答えが無いのが辛いのですが。

「IoTデバイスには寿命が必要だ」論

WIREDで「IoTで見過ごされている大問題:ネットにつながるデヴァイスには「寿命」が必要だ」というお話を見ました。私なりに乱暴にまとめると「モノは古くなる。だからいつか誰も面倒を見続けられなくなった時どうするかを今から考えてみようよ。」という警鐘と理解したのですが、実はここに大きな話が欠落してるんです。それらのデバイスが古くなるのは良いとして、それらを繋ぐ通信部分ってどう考えてる?というトコロ。

もちろん一般的にそんな部分を気にする必要は無いかもしれません。それらを提供するのは通信事業者であり、自由に使える帯域は(一定の必要な規制を守った上で)自由に使えば良いし、機器メーカーは商用自営を問わずそれらで使える機器を必要な通信規格や規則に則って作って供給してくれれば良いし… 確かにその通りです。それらが生存できる、あるいは生存していることに意味がある間は。でも、実は事実上寿命が尽きているにも関わらず、何かしら生き残っている為に無理やり動かしつづけなくてはいけなくなったりする事が実際にあります。あるいは何かのタイミングで「もう勘弁してください。この通信規格を使った、あるいはこの帯域を使った、あるいはこの接続方法でのサービスや機器の開発、製造、あるいは保守は止めます。」という話になって終わってしまうこともあります。無線の場合には帯域の利用目的が変わって機器自体の使用が禁止されることもあります。

それが誰かが管理状態に置いているものであれば、そうなるのが見えたとき、そして別の形で役割を継承する必要がある場合には必要な移行期間を用意し、必要な手段を講じて移行していったりします。過去から現在に至るまで、色んなモノがそうやって消えてゆきましたし、形を変えてきていたりします。でも、それらの生存にそもそも誰も責任を持てないものはどうなるのか?誰も責任を持っていないものはどうなるのか?多分どうにもならないでしょうね。

暴論その1: メンテナンスされないインターネット機器を潰すのは簡単。接続される手段をなくせば良いんです。

ネットに繋がる手段がずっと変わらないと思えばこそ、つながり続ける旧い機器を黙らせる、あるいは影響をなくさせる方法が必要だという話になるんですが、それらが繋がる手段をなくしてしまえば何も起きないわけです。

因みに有線で繋がっているとそれらをどうやって無力化するかというところを、それこそ自滅させる事まで含めて考えないといけませんが、無線の世界に持ってくると比較的簡単なケースがあったりします。WiFiは有線ネットワークの先の数十メートルを無線化しただけだし、野良APもしくはそれに近いものは元々制御不能ですからどうしようもないですが、例えば通信事業者のネットワークを経由するものであればそちらの中で無力化することは可能だし、そもそも提供される当該通信規格が変わったり終了したりすれば自動的に使えなくなるわけです。

ただし実際には社会インフラとしての通信サービスは簡単に終わらせるわけには行かない装置産業としての(法律上の責任も含めた)使命があるので簡単ではないし、事業者側の理由で利用が継続できなくなる場合には代替手段を用意する必要があるし、そもそも野良端末は入れないので最初からある一定レベルでの管理状態にあるので、それほどヒドイ事がいきなり起きるわけではないのですが。

暴論その2: IoTって実は不思議な野良端末を量産する話だったらなんだか嫌だ

別に私自身はIoT規制論者では無いのですが「何かしらのネットワークを経由してどこかに繋がる機器」という側面から見ると、今の2.4GHz帯や5Ghz帯などの状況を見ると色々と大変だよねということは思います。端末が増えれば当然混みあってみんなつながりにくくなるなんてのは序の口で、周りの帯域に悪さしないでねとかナントカカントカ。

機器の側、あるいはそれらを純粋に利用する側からモノを考えるのはとても重要なのですが、純粋なエンドユーザー視点から一歩離れてそれらの普及を考える立場に立った時には、それらが結果的に10年も20年も生き続ける可能性がある事を少しだけ考えても良いとは思うんです。もちろん「今が旬」もしくは「これから旬を迎えるぞ!」という部分で技術的な可能性を追うのは大事なのはわかってるんですが、その後に妙な残骸を残さない事ってネットワークの世界では大事だというコトを理解している方は多いと思うし、社会のインフラ的な役割を負うべきものという方向のものであれば尚更。

因みに社会のインフラ的な位置づけに持ってゆこうとして、それが上手く行った場合、一度形が決まるとそれを前提に色んなモノが派生して出てくるので、それ自体のイノベーションを期待されなくなる…というかそんな余計な事されると困るといわれて業界的には全然面白くなくなる状況になる事が結構あるのですが、それはそれ。そうなってから考える事なのかもしれないですね。

まぁ、私ごときが心配する話ではないのですが。

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