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素晴らしきシビリアンコントロール

シビリアンコントロールの目的は、一義的には、軍(自衛隊)の暴走に、歯止めをかける事にあると思われています。

しかし、それだけではなく、他国との政治的駆け引きを有利にしたり、軍(自衛隊)自体の精強化に寄与するケースもあります。

政治的駆け引きでは、中国艦によるレーダー照射問題に対する政府判断がありますし、
参考過去記事「レーダー照射問題における高度な政治判断
部隊の精強化という点では、今回、良い事例ができました。

海自いじめ自殺訴訟、高裁判決確定へ」(神奈川新聞14年4月26日)

この事件に対して、(海上)自衛隊は、責任がなかったとして争う姿勢でしたし、内部告発した3等海佐を懲戒処分する予定でした。
海自は昨年、勝手に文書のコピーを持ち出したとして、3佐への懲戒処分手続きを始めた。

しかし、高裁判決が自衛隊を厳しく断罪したこともあって、小野寺防衛相は、上告の断念と3佐の懲戒処分を行わない方針を固めました。
 小野寺五典防衛相は25日の閣議後記者会見で、海上自衛隊による文書隠蔽(いんぺい)や上司の責任を認めた護衛艦「たちかぜ」のいじめ自殺訴訟の東京高裁判決について「しっかりと受け止める。判決は大変重い」と強調し、上告を断念する意向を表明した。
小野寺防衛相は会見で「公益通報を理由に不利益なことをしてはならない。判決で隠蔽が指摘されているのを勘案する」と述べた。

この事件については、(海上)自衛隊の自浄能力の不足を露呈した事件だったと思っていますが、防衛相が政治判断を下すことによって、組織の健全化が図られたと思っています。

人によっては、この事件を隠蔽した方が、海自・防衛相のイメージの悪化が避けられ、より良い人材が集まることで、組織の精強化が図れたと思う人もいると思います。(事実、海自はそう考えたようですし)
ですが、良くも悪くも情報化が進んだ現代においては、隠蔽したのではないかという悪い噂(ネガティブイメージ)は、主にネットにおいて執拗に影響し続けます。
膿を出し切るという点で、今回の判断は、マイナスの影響を最小限で食い止める良い判断だったと思っています。

シビリアンコントロール、これは防衛相という1個人のシビリアンによるものだけではなく、広く世論を反映し、国民全体としてのシビリアンによるコントロールが、巧く機能した素晴らしい結果でしょう。

最後に、告発した3等海佐の方、今後冷や飯を食わされることが確実でしょうが、是非堂々と定年まで窓際を満喫して欲しいと思います。

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