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- 2014年06月07日 16:40
医者のさじ加減とリスク管理 公知申請 薬の保険認可とは!
子供に(長時間の)禁忌使用薬が使われた事件。観察不足があったかもしれないことはとても問題と思われる内容です。
ただ今のマスコミの記事の立ち位置に対して植田育也先生が医師としての解説をしています。 
今回のプロポフォールとは少し異なりますが、欧米で使われていても日本で保険認可されていない薬はたくさんあります。一般にドラッグラグと言われるものです。
特に抗がん剤の中でもある種の癌に間違いなく効果が認められていても、保険が通っていないため目の前の患者さんに使えない薬はやまほどあります。
悪性リンパ腫の救援療法で使われているゲムシタビンも公知申請(厚労省が保険認可されていないが使っていいと認める)は通っていますが、治療ガイドラインに薬として載っているにもかかわらず、まだ日本だけでなく世界でも認可されていません。
ジェネリック等の問題もあり、会社が儲からないと判断して新たな開発をしないのです。
(>再発又は難治性の悪性リンパ腫の効能・効果については、承認されて いない〔経済上の理由で開発中断)医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議
骨髄腫におけるベンダムスチン等も同様のことが言われています。 開発して認可されても、あと数年でジェネリックがすぐに出てきてしまうため会社の儲けが少ない。だから追加の開発はしない!だから患者に使えない!
実は昔、保険に認可されている病名(実は別の病気)をつけて、保険で認可されていない薬を使う事はある疾患においては当たり前のことでした。
真性多血症、本体性血小板血症のハイドレアという薬は、私が医師になった頃から欧米でのファーストラインの治療薬でしたが、日本ではつい最近まで慢性骨髄性白血病にしか保険認可されていませんでした。
そのためみんな慢性骨髄性白血病という嘘の病名を真性多血症、本体性血小板血症の患者さんにつけて投薬していたのです。
厚労省もそのことはわかっていました。たまに病名をつけ忘れると、保険適応外ですとばっさり点数を切られ、薬代を病院が払う事になっていましたが、病名が2種類ついていても(真性多血症と慢性骨髄性白血病等)文句は言われませんでした。
今では問題なく出せますが、約20年この問題は放ったらかされていたのです。
こういう歴史もふまえ、医師は薬の作用、副作用についてはかなり勉強しますが、保険適応等は昔のお医者さんほど無視する傾向があるのです。(私もその傾向があります)
ある記事で、まだ臨床試験段階の抗がん剤の組み合わせを患者さんに日常診療で投与して患者さんがお亡くなりになってしまった事件があげられていました。金沢大病院、臨床試験めぐり倫理指針違反か
この内容もある意味保険とか、倫理というルールを気にしない医師の行動パターンを表しています。医者のさじ加減で許してもらった時代がその行動の本質です。
では、医者のさじ加減は100%本当にだめでしょうか。目の前の患者さんに保険認可された薬は使い果たした。でも欧米や今までの経験である薬で数ヶ月以上いい状態に戻せる薬がある。(確立は50%ぐらい?自分の経験)でも認可されていない、エビデンスに乏しいということで使わないと、目の前の患者さんはもう緩和に行くしかない。使うべきか、使わざるべきか。
患者さんが同意すればいいじゃないかと言っても、本来保険外の薬を使う診療は自由診療になり全額自費になります。患者さんは払えない人が多いのです。
血液腫瘍はもうだめだと思っても、色々な事をやるとまだ反応させてすこしいい状態をキープさせることが可能な事がよくあります。(数ヶ月から半年位、長ければ年)
私はそんな患者をたくさん持っていたため、保険外だけど病名を追加して一時的に安定させる手段を構築していきました。そして患者さんと家族と話し合いを持ちながら時間を共有してきました。
そのため、姑息的ではありますが、どうしようもなくなった患者さんの状態をいくらか安定化させる手段をいくつか持っていましたし、患者さんと相談して投与してきた経験もあります。
(CMMoLにステロイド、脳悪性リンパ腫にテモゾロミドとか)
でもそれを臨床試験以外でおこなう事は現在は許されていません。保険適応外の薬はあくまで臨床試験の名目でしか患者さんに投与する事ができない時代なのです。
でもそんな状態の悪い患者さんの臨床試験は条件が難しく患者が集まらないため、基本成り立たない事が多いことが予想されます。
お亡くなりになる方が多いため、そして副作用リスクの管理が難しいため、会社もやらず、医者もできずということで、結果試験はリスクが高すぎると放置されます。
医者のさじ加減は今リスク管理の時代にはそぐわないのかもしれません。でも目の前の患者さんを簡単に見捨てたくはないんですよね。
難しい判断が要求されます。そこに保険とか、お金とかは入って欲しくはないんですけど、、、
あがきつづけていきます。
ただ今のマスコミの記事の立ち位置に対して植田育也先生が医師としての解説をしています。 
プロポフォールの件。看過できない重大事象です。亡くなったお子さんのご家族の心情お察し致します。報道では「小児で禁忌」という言葉がクローズアップされていますが、短時間ならば小児でも使用が認められているということは知っていただきたいです。
http://t.co/X8ZsnTQt3u
— 植田育也 Ikuya Ueta (@Ikuya_Ueta) 2014, 6月 5
つまり、「禁忌薬を使用した!」=「なんて非道いことを!」という構図ではないのです。現場ではこの薬剤が大きく患者さんの利益になることもあります。認可されている適応の範囲内で慎重に使用すること、これを条件に(これ大事!)、これからも使用は許されるという事を是非知っていただきたいです。
— 植田育也 Ikuya Ueta (@Ikuya_Ueta) 2014, 6月 5
今回のプロポフォールとは少し異なりますが、欧米で使われていても日本で保険認可されていない薬はたくさんあります。一般にドラッグラグと言われるものです。
特に抗がん剤の中でもある種の癌に間違いなく効果が認められていても、保険が通っていないため目の前の患者さんに使えない薬はやまほどあります。
悪性リンパ腫の救援療法で使われているゲムシタビンも公知申請(厚労省が保険認可されていないが使っていいと認める)は通っていますが、治療ガイドラインに薬として載っているにもかかわらず、まだ日本だけでなく世界でも認可されていません。
ジェネリック等の問題もあり、会社が儲からないと判断して新たな開発をしないのです。
(>再発又は難治性の悪性リンパ腫の効能・効果については、承認されて いない〔経済上の理由で開発中断)医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議
骨髄腫におけるベンダムスチン等も同様のことが言われています。 開発して認可されても、あと数年でジェネリックがすぐに出てきてしまうため会社の儲けが少ない。だから追加の開発はしない!だから患者に使えない!
実は昔、保険に認可されている病名(実は別の病気)をつけて、保険で認可されていない薬を使う事はある疾患においては当たり前のことでした。
真性多血症、本体性血小板血症のハイドレアという薬は、私が医師になった頃から欧米でのファーストラインの治療薬でしたが、日本ではつい最近まで慢性骨髄性白血病にしか保険認可されていませんでした。
そのためみんな慢性骨髄性白血病という嘘の病名を真性多血症、本体性血小板血症の患者さんにつけて投薬していたのです。
厚労省もそのことはわかっていました。たまに病名をつけ忘れると、保険適応外ですとばっさり点数を切られ、薬代を病院が払う事になっていましたが、病名が2種類ついていても(真性多血症と慢性骨髄性白血病等)文句は言われませんでした。
今では問題なく出せますが、約20年この問題は放ったらかされていたのです。
こういう歴史もふまえ、医師は薬の作用、副作用についてはかなり勉強しますが、保険適応等は昔のお医者さんほど無視する傾向があるのです。(私もその傾向があります)
ある記事で、まだ臨床試験段階の抗がん剤の組み合わせを患者さんに日常診療で投与して患者さんがお亡くなりになってしまった事件があげられていました。金沢大病院、臨床試験めぐり倫理指針違反か
この内容もある意味保険とか、倫理というルールを気にしない医師の行動パターンを表しています。医者のさじ加減で許してもらった時代がその行動の本質です。
では、医者のさじ加減は100%本当にだめでしょうか。目の前の患者さんに保険認可された薬は使い果たした。でも欧米や今までの経験である薬で数ヶ月以上いい状態に戻せる薬がある。(確立は50%ぐらい?自分の経験)でも認可されていない、エビデンスに乏しいということで使わないと、目の前の患者さんはもう緩和に行くしかない。使うべきか、使わざるべきか。
患者さんが同意すればいいじゃないかと言っても、本来保険外の薬を使う診療は自由診療になり全額自費になります。患者さんは払えない人が多いのです。
血液腫瘍はもうだめだと思っても、色々な事をやるとまだ反応させてすこしいい状態をキープさせることが可能な事がよくあります。(数ヶ月から半年位、長ければ年)
私はそんな患者をたくさん持っていたため、保険外だけど病名を追加して一時的に安定させる手段を構築していきました。そして患者さんと家族と話し合いを持ちながら時間を共有してきました。
そのため、姑息的ではありますが、どうしようもなくなった患者さんの状態をいくらか安定化させる手段をいくつか持っていましたし、患者さんと相談して投与してきた経験もあります。
(CMMoLにステロイド、脳悪性リンパ腫にテモゾロミドとか)
でもそれを臨床試験以外でおこなう事は現在は許されていません。保険適応外の薬はあくまで臨床試験の名目でしか患者さんに投与する事ができない時代なのです。
でもそんな状態の悪い患者さんの臨床試験は条件が難しく患者が集まらないため、基本成り立たない事が多いことが予想されます。
お亡くなりになる方が多いため、そして副作用リスクの管理が難しいため、会社もやらず、医者もできずということで、結果試験はリスクが高すぎると放置されます。
医者のさじ加減は今リスク管理の時代にはそぐわないのかもしれません。でも目の前の患者さんを簡単に見捨てたくはないんですよね。
難しい判断が要求されます。そこに保険とか、お金とかは入って欲しくはないんですけど、、、
あがきつづけていきます。